第4幕〜クロネVSセリーヌ
ザザ村を離れ、クロネのかぎ爪で掴む木箱に乗り込み、飛行移動するオボロ達。クロネが気を配り速度は緩やかに飛んでくれていた。
心地良い風……。
空から見る地上は……大きな木々は小さく見え、草原を走る野犬や狼は米粒くらいに見える。
(セリーヌさんに、シーサーペントの鱗を何枚か譲ろうかな)
工房を出発し何日経ったか不明なオボロ。
「マスター?工房近くなったら師匠にもうすぐ着くって連絡するね!」
メルが話してくれた。
セリーヌの工房━━
庭のテーブルの椅子に座り、だらけているセリーヌ。
「ここを発ってから……14日さね……」
律儀に日数をカウントしてたセリーヌ。
━━バンッバンッ!
テーブルを両手で叩きつけ
「少し遅くなる所じゃー無いさねっ!!オボロちゃんのお腹もふもふしたいのにさ!」
己の欲望が露わになるセリーヌ!
「ふぅ……戻って来たら……皆まとめて説教、さね!」
と、メルからブレインマウスが━━!
『あー師匠?久しぶりぃ?元気にしてた?メル達もう少しで戻るからねー』
……
肺が萎むほど長いため息をつくセリーヌ
『わかったさね』
普段よりも低い声で返すセリーヌ。崖の移動魔法陣に乗り、地上まで降りて行く。
上空━━
長い移動で飽きたのか、木箱の中でお昼寝してしまったアミュ。オボロの肩に乗るメル
「マスター?師匠に連絡しといたよ。クロネー移動魔法陣の所までお願いねー」
返事をするように鳴き声を上げるクロネ。
(工房に戻ったら、とりあえずゆっくりしたいな)
そんな事を考えていたオボロ。
移動魔法陣の近く━━
手前で木箱をゆっくり下ろすクロネ。そして人型へ戻る。背伸びをするクロネとオボロ。
森の幻惑からセリーヌが出迎えてくれた。
「しぃーしょぉぉう!!」
久しぶりのセリーヌに飛び付こうとするメル━━━!
魔法陣が現れアクアボールが放たれた!!
もろにくらってしまうメル!オボロの方まで飛ばされるメル!
「ひっ?えっ?師匠?」
下を向いてるセリーヌ。
羽扇子を構えるクロネ!
意味がわからずメルを抱きかかえるオボロ。
「ずいぶんと……お早い……お帰りで……」
いつもと声質が違う事に気づくメル、クロネ、そしてオボロ。
(アミュが戻りは遅くなるって伝えてたよな……)
「ここまで……遅くなるとは……思わなかったさね……」
(セリーヌさんご立腹か?)
「オボロちゃんの……お腹……もふもふしたいのにいつまで経っても戻って来ない!」
後半は早口なセリーヌ!
(そんな理由で怒ってるのかしら?)
まだ構えているクロネ。
顔を上げ━━
「さぁ!お説教の時間……さね!」
目が血走ってるセリーヌ!!
メルがオボロの肉球の上で慌てる!
「あぁー!これ師匠のたまにあるストレス発散よっ!逃げて!逃げて!」
と、言われても寝てるアミュ、手負いのメルを置いて逃げるわけにはいかない!
「オボロ様!アミュとメルを守って下さい」
羽扇子から魔法陣を出しエアカッターを放つ!
同じくエアカッターを放ち相殺するセリーヌ!
━━!
(……私と互角?)
オボロは木箱を目一杯押し進め、離れた所から見守る事に。
(やばくなったら……二人を止めないと!)
セリーヌが地面を滑るように前進し大きな魔力陣から、小さなアクアボールを広範囲に放つ!
その場で羽に魔力を込め、自身を包むように防御するクロネ。
「闇羽織!」
アクアボールがクロネに当たり飛び散る大量の飛沫!!
「ほぅ防ぐか?やるさねクロネ!」
まだ闇羽織のままのクロネ……。
メルは身体をお越し
「普段魔法使わない師匠は、ストレス発散のために、たまにお説教と称して私達を的に魔法連発しちゃうんだよ!」
頭を抱えるオボロ……
「メル!止める方法は?」
「魔力が少なくなるか……師匠が飽きるまで……かな」
弱々しく答えるメル。
闇羽織を解き、上空へ飛ぶクロネ!黒い羽を広げ━━
「翼針羽釘弾!!」
大量の魔力を帯びた黒い羽がセリーヌを襲う!!
その場を動こうとしないセリーヌ!足元に大きな魔法陣を展開させる!
「アクアバルーン!」
足元の魔法陣から、野球ボールほどの水泡がセリーヌを隙間無く埋め包み込んだ!
翼針羽釘弾を水泡でほとんど相殺してしまうセリーヌ!
━━!!
(何よ?あの魔法?)
上空で停滞しているクロネ。
「ねぇ?オボロちゃん達ぃ……あんまり遅いから……どこかで修行でもしてたのかと考えたけど……思い違いさね」
皮肉混じりな言い方のセリーヌ。
━━!!
その台詞に、怒りを覚えるクロネ。
(なんか癇に障る言い方!)
「オボロ様の事を……何も……知らずに……」
羽に魔力を溜め━━
「闇巻き!!」
大きな黒い竜巻がセリーヌを襲う!!闇巻きに飲み込まれるセリーヌ!
(これで落下する所を狙って━━)
闇巻きからセリーヌが放り出された!!
羽扇刀で落下するセリーヌを狙いに行くクロネ!
バサッバサッバサッ!
━━!!
「ブラックウィング」
黒色で蝙蝠のような形の羽で、落下からの態勢を立て直し空中で待機するセリーヌ!!
━━!!
羽扇刀で切りかかる前に、逃げられてしまったクロネ!!
「……やはり飛べるのですね」
目を細めセリーヌ
「半魔だからって、外見で羽が無いからって……飛べないとは限らないさね?」
(ブラックウィングは魔力の翼……長く使えば魔力は減る一方……クロネに悟られては……ダメさね)
互いに空中で羽ばたいている!
(セリーヌに近づけない……魔法を放っても……防がれる……)
オボロの方を見るクロネ。
(あちらに被害は無さそうね)
━━!!
余所見をしたクロネに、突っ込むセリーヌ!!
「余所見しては……ダメさね!」
大きな魔法陣を展開しファイアボールを広範囲に放ちながらクロネへ迫る!
「くっ!闇羽織!!」
羽を大きく広げ、魔力を込め防ぐクロネ!!周囲に煙が立ち込める!!
(クロネがまる焦げに!!)
慌てるオボロ。
そのまま地上へ降り立つセリーヌ。クロネが居るであろう真下に魔法陣を展開し━━
「エアカッター」
連続してエアカッターが真上へ飛ぶ!!
「闇巻き!!」
上空に黒い竜巻が停滞している!!闇巻きに弾かれるエアカッター!!クロネはどこに??
周囲を見渡すセリーヌ……。
(ファイアボールを防いだとは言え……無傷では無いはずさね)
上空にはまだ闇巻きが停滞している。その中心にクロネは居た!!息を切らせながら
(セリーヌを侮っていたわ……私は魔力が高いから強いと過信していたのかも……)
停滞している闇巻きが弱まった……黄色の目が太陽の光で反射する。
「その中さね!」
闇巻きの真下に魔法陣を展開!
「フレイムピラー」
魔法陣と同じ太さの火柱が噴出した!!
━━!
「クロネ━━━!!」
地上から叫ぶオボロ!!
クロネは目を閉じ集中し魔力を上げる……。弱まっていた闇巻きが大きくうねる!!下方の先端が細くなり竜巻のドリルのようになった!!
真下から迫るフレイムピラー!
高速回転の闇巻きのドリルとフレイムピラーが激しくぶつかる!!
フレイムピラーを掘り進むように落下する闇巻き!炎が闇巻きに吸われて広がり空気中に消えていく!!そのまま落下した闇巻きは地面を掘り進み消滅した!!
バサッバサッ!
静かに地上に降り立つクロネ!しかし、服はボロボロ……肌はススだらけ……髪や羽も傷んでいる……。息が荒いクロネ!
「闇巻き穿孔迅!」
(土壇場で閃きましたわ!)
立っているのが精一杯なクロネ……。
(もぅこれは止めないと!)
オーラ全開でクロネの前に向かうオボロ!
「やるじゃないさ……魔力量では私よりあるようだけど……魔法の扱いは素人さね!」
と、アドバイスとも受け取れる発言をするセリーヌ。
「た、確かにそうかも……知れませんことよ……それでも……オボロ様に……傷一つ……付けさせ……ませんわ!」
詰まらせながらも言い返すクロネ。
「にゃー!!もぅ良い!クロネ!」
四つ足でクロネの前に立つオボロ!!D=Dから魔力丸と大きめな布をチビちゃんから出してもらい、クロネに渡す。
(もぅ……なんてみっともない姿を……)
「ありがとうございます……オボロ様……」
未だ目が血走ってるセリーヌ!
「オボロちゃーん?助けに来ちゃったぁ……んーもふもふしたいから……手は出したく無いさね!」
(話しても聞く耳無さそうだにゃ)
立ち上がり構えるオボロ。
「あっ!ねぇオボロちゃん?私も旅に付いてって良いかしら?」
舌を出し唇を舐めるセリーヌ!
(ダメ!絶対ダメ!オボロ様が許可しても……私は許しませんわ!)
クロネの込み上げる怒り……。
「んー?クロネよりは知識もあるしぃ、強いしぃ……役に立つさね!」
片方広角を上げ微笑するセリーヌ。
無言で聞いているオボロ……。
(もぅ普段のセリーヌさんでは無い……どう止める?)
バサッバサッバサッ━━!
後方でクロネが動き出した!
魔力丸が効いたらしい。
「まったく言わせておけば……似たようなキャラは━━」
「一人で良いのよ!!」
残り魔力を注ぎ羽を何度も羽ばたかせ、複数の闇巻きをセリーヌへ放つ!!
(まだやる気か?クロネ!)
周囲の岩や大地を巻き込み黒い竜巻がセリーヌを襲う!
(こりゃ防げないさね……)
アクアバルーンで身を守り、わざと闇巻きに吸い込まるセリーヌ!!
そして闇巻きから放り出され、ブラックウィングで態勢を整え地上へ舞い降りた!!
(魔力が……もう少ない……さね)
━━!
(やはりそうなってしまいますわね……)
落ち込むクロネ……。
魔力尽きたか……その場に倒れてしまった!
少し前にお昼寝から起きていたアミュ……。木箱から戦いを覗き見していた……。
「えっ?なんで?クロネちゃんと……セリーヌ?……お兄ちゃんもいるっ!!」
木箱から飛び出し魔獣化して助けに向かうアミュ!地面を滑るように移動する!オボロ、クロネの前に陣取るアミュ!!
「もぉぉっ!いくらセリーヌでも……アミュ許さないよっ!?」
大きな魔法陣がアミュの前に展開される!!前脚を上げ発動しようとした刹那━━!
立っていたセリーヌが、ふらつき倒れた!!
それを確認したオボロ
「アミュ!!ストップ!ストップ!」
両手を交差させバツを作り、魔法を阻止した!
辺り一面の雑草は燃え消え、地面は変形し、以前と全く違う景観になってしまった……。
【戦歴】
クロネ VS セリーヌ
ほぼ同時に魔力枯渇により、引き分け
【能力】
・クロネ
闇巻き穿孔迅
・セリーヌ
ファイアボール
フレイムピラー
アクアボール
アクアバルーン
エアカッター
ブラックウィング
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