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幕間〜楽屋裏話

 

 さて、ここは舞台裏にある楽屋のテント。舞台監督の指示で裏方が慌ただしくしている。

 木製のマイクも持つメル。後方にカメラを持つチビ。


 カメラを前にし、深呼吸するメルに照準を合わせるチビ。


「さぁ!はじまりましたー!メルのっ!突撃っ!楽屋訪もーん!」


 カメラギリギリまで顔を近づけるメル。


「えー第3幕が終わり、演者達が休憩のため、続々と楽屋へ戻って居ます!」


 テント入り口付近を移すチビ。


「はい!皆さんお疲れ様でーす!お疲れ様でーす!あっ!長老、お疲れ様でーす!」


 楽屋に戻る長老を呼び止めるメル。


「長老と海神の二足のわらじ、見事な演技でしたぁ!」


「なるべくイメージを壊さぬ様に演じてます」


 大人な回答をする長老。


 のそのそと楽屋入り口を入ろうとするダリル。


「あー!ダリルさんダリルさん!」


 テントの入り口の布を止めダリルを脇へ強引に誘導するメル。それを追うカメラマンのチビ。


「どーもお疲れ様でーす!オボロに立ちはだかる敵役から、絆を深めアニキと呼ぶまでになりましたが、演じてみていががでしたか?」


 木製のマイクを口元に運ぶメル。


 こめかみ辺りを人差し指で掻きながら


「あっ……そう言うの……ちょっと苦手なもので……」


「役柄とは裏腹に、控え目なダリルさん!何かひと言を!」


 無理矢理マイクを近づけるメル!


「えっと……そうですね……とにかく、がんばります!」


 逃げるように楽屋テントへ行くダリル!


「と、とりあえず意気込みをいただきましたぁー!!」


 テント周辺を見渡すメル。それに合わせるようにカメラワークするチビ。


 ━━!


 楽屋テント入り口から離れた道具置き場のテント付近に、トツとミリルを発見する!


 素早く向かうメル!必死に追うチビ!


 トツとミリルから見えない様に、木箱に隠れるメル!その後ろからこっそりカメラを向けるチビ……。

 メルは小声で


「えートツとミリルを発見しましたぁ……何か会話しているようですよ?」


 マイクを木箱から少し出し、会話を盗み聞きしようと試みるメル!


 トツに詰め寄っているミリル


「ちょっとさぁー貴方、ちょいちょい立ち位置ずれてるのよっ!!わかってるのっ!?照明さんがせっかくバミってるのに!」


 あたふたしてるトツ


「演者として前に出たい気持ちが勝っちゃって……つい……」


 飽きれ顔のミリル


「端役は端役らしく謹んでこそ、主役が輝くものよ!何よ?ちょっと色っぽいクロネにデレデレしちゃって……もぉ……知らないっ!」


 ぷんぷんしながら大股で楽屋テントへ歩くミリル!


 空を見上げトツ


「3幕は俺……頑張ったよな……うん!頑張った!」


 木箱に隠れているメルとチビ。


 小声でメルは


「どうやら……ミリルさんに演技や立ち位置についてダメ出しをくらっていたトツさんでしたぁ……」


 楽屋テントへ向かうメル!

 入り口の布をめくり、中へ侵入するメルとチビ……。

 大きなテントの中は天井まで届く仕切りで区切られ、個室の楽屋がいくつもある!テント内手前の部屋は大部屋のようでエキストラや出番の少ない演者のスペースとなっている。


 個室の楽屋へ向かうメル。


 と、1人の演者が楽屋から出てきた!


 ━━!!


「しぃ━しょぉ━━!!」


 セリーヌに飛びつくメル!!

 カツラを脱ぎ、特殊メイクのままのセリーヌ


「あぁメルか。お疲れ様です……カツラって蒸れるから……苦手なのよね……」


 うんうんと頷くメル。


「私さ……本当は……下戸なんだよねぇ……」


「皆さん!なんと師匠はお酒が飲めないようですっ!!」


 と、マイクを両手に持ち伝えるメル。


「声が、イメージに近いってだけで決まったからねぇ……まぁ出演させてもらって嬉しいさね」


「セリーヌ口調でコメントもらいましたぁ!!」


 楽屋へ戻るセリーヌ。


 少し先の楽屋で話し声が聞こえる!


 静かに近付き……入り口の布をめくりこっそり侵入するメルとチビ……。どうやらアミュの楽屋のよう。


「素晴らしい演技でしたわ!○○ちゃん!はい、水分補給よ!」


 *プライバシー保護のため、自主規制があります。ご了承下さい*


「ありがとうママ」

 チューチューとストローで水分補給するアミュ。


「こんなに、アクションあるとは思わなかったー!!みてよママ!身体中アザだらけだよ!!」


 愚痴るアミュ。


 肩に手を当てるアミュママ


「大丈夫!○○ちゃんは出来る子!精一杯ママがサポートするから、頑張るのよ!」


「うん……頑張るよ……こんな大役初めてだしね!」


 やる気を取り戻すアミュ。


 ガッツポーズを決めアミュママ。

「そうよ!○○ちゃん!この演目をやりとげればきっと……いや!必ず注目を集めるわ!」


 静かにアミュの楽屋を出るメルとチビ……。


「以上、アミュの楽屋でしたぁ」


 隣の楽屋へ移動するメル。


「失礼しまぁーす」


 布の前で声掛けするメル。

 中から返事があったので、中へ入るメル。


 黒い羽を外し、優雅に紅茶を楽しんでいるクロネ。


「クロネさんお疲れ様です!ほとんど出ずっぱりですが体力的に問題は?」


 質問するメル。


「日々鍛錬してるから……問題ありませんね」


 クッキーを手に取り一口食べるクロネ。


「演じるにあたり、気をつけていることはありますか?」


 クッキーに目が行くメル。


「ひとつひとつの動作を、神経を研ぎ澄ませて演じることかしら!セリフが無くても雰囲気と外見で存在感があるので、そうならないよう気を配ってます」


「では……最後に……マスターとの艶っぽいシーンは……どのような気持ちで?」


 恥ずかしがるメル。


「やはりそこは……普段シャキッとしてるクロネではなく、メスのクロネとして感情を乗せて演じさせてもらってます」


 と、クッキーを1枚メルに渡すクロネ。


「差し上げますわ」


 マイクを放り出し、両手でクッキーを貰うメル!


「もぉクロネさん大好きぃ!!」


 チビと半分こして、クッキーを楽しむメル達。


 クロネの楽屋を後にするメル。


 そして隣の楽屋へ入るメル。


 制服姿の女の子が台本を読んでいた!


「お疲れ様でーす!青葉ナナさん!」


 台本を置き椅子ごとメルの方を向く。


「わぁー!本物のメルだぁ!嬉しい!会えて!」


 今の所、接点の無いナナは感激する。


「まだ出番は少なく、シーン事に、時間経過がありますが、心掛けていることは?」


 メルの質問に答えるナナ。


「んーシーン事に、ちょっとずつ成長していくナナを心掛けてます!話し方とか表情……サキさんに対しての態度は特に心掛けてますよ」


「なるほど、なるほど。ナナがどう成長して行くか楽しみです」


 ナナの周りを一周するサービスをするメル。


「以上、青葉ナナさんでしたー!」


 楽屋を後にするメル。


 最後に━━


 マスターの楽屋へ行くメル。


 ドアを叩くメル。


 気だるそうに

「……どうぞー」


 マスターの楽屋へ入るメル。


 そこには━━


 着ぐるみの頭部を脱ぎ、背中のチャックを下ろし、扇風機の風を強くし、ソファーでだらけているオボロがいた!


 *プライバシー保護のため、自主規制をかけてます。ご了承下さい*


 素顔をモザイクにし撮影するチビ。


「なーんと!!マスターこと、オボロは……着ぐるみと言う衝撃映像がっ!!」


 カメラにしがみつき伝えるメル!


「お疲れ様でーす!マスター!」


 ふらふらと片手を上げるオボロ。


「3幕まで演じてみて、手答えは?」


 ……


 ……


「手答え、ね……着ぐるみ来て、あのアクションは……さすがに堪えるよねぇ……」


 水分補給するオボロ。


「もぉーマスター主役なんだからーしっかりしてよぉー!!」


 インタビュー忘れ、叱るメル。


「ほら、俺はアクションと演技だけだから、生アフレコする声優さんの方が苦労してると思うよ?」


「これまた衝撃事実!!演者とは別にセリフは声優さんという事実!!」


 気を取り直し質問するメル。


「アクションで気をつけていることは?」


「オボロはアクションシーンでは良く動き回るから、舞台装置や小道具を壊さないようにしてるよ。ほら、壊したら……裏方さんに迷惑かかるし……さ」


「なんとも、裏方思いなマスターでした!!」


 メルにカメラを向けるチビ。


「これで、メルの楽屋訪問は一旦終わりまーす!!第4幕からもぉー楽しんで下さいね!」


 可愛くウインクし、楽屋を出るメルとチビ。



今回は息抜きとして、書きました。今後も同様に楽屋裏話を書く予定です。

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