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第3幕〜セリーヌの工房・⑩害虫駆除

 

 人型になれるようになりクロネもアミュも、たった数日で戦えるほど動きが良くなってる!やはりこの世界の獣は……賢いのだろうか……。


 ヒュ━━ヒュヒュ━━━


 山頂だから今日は風の音が強く冷える。


 オボロが寒そうにしてる……


 ……


 アミュは別の方で、飛んでいる蝶らしき虫を追いかけている……。


 ━━!!


(これは……チャンス!)


 クロネが後ろから羽根を広げそっと包み込み、弾力ある胸をオボロの背中に押し当てた……。


「……これならば、寒さも紛れますわ……」


 クロネはオボロの後頭部のもふもふに頬を当てている。


(綺麗な毛並みですわ、オボロ様)


 色んな事にうっとりしているクロネ!


 背中に胸の感触も伝わり……何だか恥ずかしいオボロ……。

(クロネの羽根の中はいつも暖かいし……優しい感じ……)


 ━━と、工房からセリーヌとメルが出て来た。


 羽根に包まれているオボロとクロネを見てしまうセリーヌとメル!

(オボロちゃんも中々やるわねぇ)

 口角を上げるセリーヌ。両手で目を覆いセリーヌの後ろに隠れてしまうメル。

 メル自身、軽く触れたり口づけをする割には、他人の密着してる姿を見るのは恥ずかしいらしい……。


 バサッ!バサッ!


 何事もなかったかのように羽根を戻し、少し後退するクロネ!

(み、見られてしまったかしら……)


 オボロはキョロキョロしてしまっている……。


 セリーヌが庭の丸テーブルの椅子に座り、メルはテーブルに立つ。

 何か話があるらしい……。

 オボロはクロネを座らせ、自分は立った。


「3人に……ちょいと害虫駆除をしてもらいたくてさ」

 と話を切り出した……。


 山のふもとに洞窟があり、そこはセリーヌの幻惑で人間は立ち入れない。入れるのは獣くらい。その洞窟では鉱石や食用になる獣がいて、セリーヌの生活には欠かせない場所。ここ最近、『ギャメレオン』と言う獣が出入りして洞窟内を我が物顔でいるらしい。


「で、オボロちゃん達に駆除してもらいたいのさ。クロネもアミュも……そろそろ狩りの時間さね?」

 と、ニヤリと言うセリーヌ。


「洞窟まではメルに案内させるさね」

 胸を張り立っているメルを指差すセリーヌ。


 ここの山頂の工房への近道があり、セリーヌとメルしか使えない移動手段があり、それを使用し地上まで行く。降りたらメルに洞窟まで案内してもらう流れ。そして駆除対称のギャメレオンは……ギャーギャー鳴くから、馬鹿でもわかると。


 セリーヌには借りが有り過ぎるので、オボロは快く引き受けた!アミュを呼び、準備して地上へ向かう。


 工房脇の水場から少し離れた崖……。メルの後に付いていく……。


 崖っぷち━━


 見降ろすと……下から風が吹き荒れている!


 ━━魔法陣が現れた!


 メルは魔法陣へ行き手招きする!恐る恐る魔法陣へ乗る3人。


「その魔法陣は、そこでしか使えないやつさね!エアショットって魔法さね!」


 遠くから大声で説明してくれたセリーヌ。


 魔法陣から乗っているオボロらに真下からエアショットが放たれる!!


 ━━!


 魔法が放たれたのに、ダメージを負う感覚がない!

 エアショットの発射される勢いで魔法陣が地上に向かい一気に移動した!!

(はぐれ島の脱出の時、肉球砲を推進力にしたのと、使い方似てるな)

 オボロは思っていた。


「ねぇねぇマスター!これ、私が開発したんだよ?……師匠とだけど……」

 さも自分がメインで開発したかのように話すメル!


 ━━


 ━━━━


 何か絶叫マシンを思わせる……あの感覚……。少し無重力をお尻に感じているオボロ。クロネは特に感じていないのか普通に立っている。アミュは周りをキョロキョロしながら景色を楽しんでいる。

 ちなみにメルは身体が小さく飛ばされてしまうので、両手でオボロのお腹にしがみついている。


 ━━地上


 数分くらいで地上へ!

 降りた所から見上げると……山頂は見えない……。半日以上かけ戦いながら山頂へ来たのが嘘のようである。


 この岩伝いに歩けば洞窟があるようだ。オボロの撫で肩に座っているメルは、ギャメレオン駆除の他に、ついでに鉱石や食用になりそうな獣と、アミュのリュックの素材があれば回収したいとオボロに話してきた。それを聞いてたアミュは、くるくる回りながら喜んでいる。もちろん回収先は………オボロのD=Dディメンションドアの中!


 ━━洞窟


 薄暗く、水が落ちる音が定期的に響く……。

 五感のオーラを最大限使うオボロ。クロネも羽扇子を持ち臨戦態勢。アミュは岩壁を触ったり落ち着きない……。


 後ろの方が明るくなった━━


 振り向くと……メルの身体と羽根が、発光してるかのように光っていた!


「私が出来る唯一の能力だよ!マスター!……あんまり長い時間は無理だけど」


 と、アピールしオボロの頭の上辺りで、周りを照らしてくれた!


 奥へ進みながら、メルが見つけた鉱石をD=Dへ放り込んでいく……。


 天井から蝙蝠の群れ!


 クロネの羽扇刀うせんとうとアミュの撚糸輪ねんしりんによる斬撃であっさり殲滅!!メルとオボロは、回収係……。クロネもアミュも狩りが出来るのと、人型での初の実戦に手応えと喜びを感じていた。


 いくつかの分かれ道……

 左の道の奥から、「ギャーギャー」と聞こえる!

 迷わず鳴き声のする道へ!


 少し天井が高く開けた場所……。洞窟内をメルが照らす……。


 ━━━!


 壁に張り付いているギャメレオン!深緑色の鱗状の身体、尻尾も長い。大きなドーム状の目が不規則に動いてこちらを見ている!威嚇なのか鼓舞なのか……とにかく耳を塞ぎたくなるくらいな鳴き声!洞窟なので、鳴き声が反響する!


 クロネもアミュも構えている!オボロはメルを守りつつ、少し後方で構えている!


 羽扇子からエアカッターを放つクロネ!壁伝いに躱し、目をギョロギョロさせながらクロネへ飛びかかって来た!クロネは動かない!バサッと羽根を広げ魔力を込めている!そしてギャメレオンの横っ面をビンタ!!


剛翼打ごうよくだ


 壁にうねりながら激突するギャメレオン!岩が飛び散る!すかさずアミュがお尻から糸を噴射する!


捕縛網ほばくあみ・麻痺」


 腹部を包み込み、壁に固定させるギャメレオン!麻痺効果により徐々に痺れてくる!


「ギャギャギャギャーギャー」


 首を振り回し、鳴きまくる!


 オボロはメルにお願いしてD=Dから角錐つのきりを出してもらった。走りながら受け取り角錐を口の上から突き刺した!!


「あとは……二人で!」

(クロネとアミュに、もう任せよう)


 刺した角錐で口が塞がり鳴き声が止む。


 クロネは羽扇刀でアミュは撚糸輪で、ギャメレオンを切り裂いた!

 ギャメレオンの目はまだ動いている!

 アミュが近づき……撚糸輪を首に当て……そのまま押し込んだ!スッと分断され、首だけ壁に残り……胴体から後ろが地面にずり落ちる……。


 こちらに振り向き……


「アミュがとどめを刺したよっ!お兄ちゃんっ!」


 と、無邪気に微笑む!


 オボロもクロネも、残酷な事をしたのに……その笑顔……恐ろしいと感じてしまった。


 オボロは角錐を回収しに行く……。人間で言ったら生首!目がこちらを向いてて悪寒が走る……。目を瞑り……ゆっくりと角錐を引き抜く━━━━!!


 目がぎょろりと一回転し


「ギャ━━━━ギャギャ!!」


 最後の断末魔なのか……目が動かなくなった。


 メルに言われ、ずり落ちたギャメレオンの死骸をD=Dへ放り込むオボロ……。

(なんか俺、出番無しだな……)


 連携されてるように思えたのでクロネに尋ねてみたら……アミュとブレインマウスで意思疎通してたとか……。なるほど、と感心したオボロ……。


 少し奥へ向かい鉱石が採れる場所へ行き、メルの指示で鉱石採取となった。セリーヌと生活してるせいか知識はあるメル。手際良く指示し動かされるオボロ達……。アミュは指示を聞かなそうなので、見張り番をやらせた。ひとしきり採取の目処がついたので洞窟を出ることに……。


 しばらく歩き出口付近に来た━━!


 オボロの耳が反応する!


「待って!外……何か居る!」


 オボロはD=Dを出してメルを避難させた!クロネは羽扇子を、アミュは撚糸輪を持ち進む………。


 洞窟から出ると━━━!


「ギャーギャーギャ!!」


「ギャギャギャ━━━!!」


 うるさいほど鳴く、数十体は確認出来るギャメレオン達が出口を取り囲む!!


 ━━━!!


(あの断末魔は……仲間を……呼んだのか?)



【能力】

 ・クロネ

 剛翼打


 ・アミュ

 捕縛網・麻痺



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