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第3幕〜工房へ

 

 冒険者のスコットと別れ、クロネ、アミュの所まで行くオボロ……。


 噴水のある中央広場を通る……。避けて行く人間達……。広場を通りぬけ、出入り口へ向う……。ここでも、オボロを避けて行く人間達……。

 避け方も明らかにと言う感じ……。気にせず出入り口へ向うオボロ。

(なんか初めての現場に現場監督として行って馴染み無い職人達に見られてる雰囲気だよ……)

 当時を思い出すオボロ。

 門番に手を挙げ、よろしくね的な感じで町を出る。

 クロネ達の方へ方向を変え歩き出す。

 反対方面には……少し遠くにセリーヌの後ろ姿が見える。


 合流するオボロ。

 クロネは羽根を大きく広げ出迎える!アミュはカサカサと駆け寄り、オボロの背中に飛び付く!たまらず、よろけるオボロ……。

 クロネ、アミュに自分だけ出入り可能なのと、買い物、ギルドの利用が可能と伝えた。しばらく寝床は……外になるとも伝えた。

 クロネもアミュも無事に戻って来て嬉しそう!

 オボロは、普段より喜び方が違うけどなんで?と聞くと……。

 クロネはオボロが町にいる間の、ちょっとした出来事を話してくれた。


 ………


 腕組みして聞いているオボロ。

「ふむふむ……で、そのセリーヌって魔力高そうな女性と小さいメルって子と知り合いに……ね。それで、何か困ったら工房に来ても良い……ね」


「そのねっ!小さいメルって子はアミュがみつけたんだよっ!」

 と得意気に言うアミュ。


 オボロはアミュの頭に手を当て

「俺はクロネもアミュも一緒に町に入れるのが理想だったんだけど……やっぱり現状は厳しい……二人はどう?」

 と、意見を求めた。


 アミュは即座に

「アミュは、お兄ちゃんと一緒がいいっ!」

 と両前脚を挙げて答える。


 クロネは……

「私も……オボロ様と一緒が良いとは考えてます……。問題は2つあります……以前申し上げたとは思いますが、人間の臭いが苦手なこと……もう一つは……私とアミュの身体、でしょうか……」


(確かに、はぐれ島で、人間の臭いが苦手とは言ってたな)


 オボロは地面に寝転がり

「あーぁ!やっぱり二人のその外見だよなー」


 ………


 ………!


「クロネ!セリーヌって人、魔力高そうって言ったよね?」

 飛び上がるオボロ!


 頷くクロネ。


 オボロ

(魔力高いなら、何か知ってるかも)

「良し!その人のところへ行こう!来ても良いってんなら、行こうじゃないか!」


 ━━━翌朝


 クロネが言うにはここから見える向こうの山頂だと。

 狩りをし、食事しながら向かうことにした。


 山の手前には森……。直線距離なら、さほど距離は無さそう……。

 曲がりくねった木、葉は緑ではなく紫や朱色……。雑草も長く歩きにくい……。異様さのある森である……。

 クロネには狭いから無理して戦わなくても良いと伝え、森へ侵入。雑草を角錐つのきりで掻き分け進む……。アミュはこういう森は得意そうなので、おだてて先陣を切らせた!


 薄暗い森の中……。

 枝に蛇が巻き付きこちらを見てる………。アミュが飛びかかり噛み付きで仕留め捕食する……。オボロが角錐で野犬を突き刺し、薙ぎ払い進んで行く……。


 おかしい……。

 結構進んだのに山道らしいのが見つからない……。似たような所を回っているような……。方向感覚が狂っているのか?


 と、アミュが一点を見つめている……。


「お兄ちゃん!クロネちゃん!ここっ!」

 と、鋭い前脚で雑草を刈り取り、後ろの木々を斬る!


 スカッスカッ!


 アミュの前脚が空を斬る!


「やっぱりここだよっ!」


 アミュは空を斬った所を進んで行く……。

 オボロ達を呼ぶ声!

 恐る恐る進むオボロ達……。

 まるで本物そっくりな木々を貫通するかのように通り抜ける………と!


 眩しい陽射し!

 茶色の岩肌に道!

 振り返ると先ほどの森!


「アミュ!凄いじゃないか!やるな!」

 抱きかかえて褒めてやりたいがオボロの腰に悪そうなので、頭を肉球で優しく撫でる。


「んとねっ!アミュの目が勝手に反応するのっ!」


 普通に言うアミュだが、魔力の高いクロネですら見抜けなかった幻!

(やはりアミュは……自分の魔力が高く、無意識のうちに使っているのに気づいていないわ)

 恐るべしと、思うクロネ。


 ゴツゴツした山道を登って行く3匹……。


 ━━━羽音が後ろから近付いてくる!


 振り向く3匹!


 茶色の全身、オレンジ色の大きな羽、腹部の先に針、そして大きな口!ベッコウバチだ!


 上空へ飛び、金切り声をあげ、口を開き中から針をぬるっと出して落下してくる!


 アミュがサササッと前に出て

「まかせてっ!」


 魔法陣を展開……しかも5つ!


「ロックゲイザー!」


 魔法陣から矢じりのような細長い石が放たれる!

 全て命中はせず、2発のうち1発は羽を貫通!もう1発は腹部へ命中!そのまま地面へ落ちるベッコウバチ。

 アミュはすかさず真上へ飛び、お腹を膨らませ……お尻から網目の糸を出す!網目の糸はベッコウバチを捕縛した!アミュは噛み付き毒で弱らせ……その流れで食事へ……。


 食事中は静かなアミュ……。


 オボロ

(あっ!……俺の出番無し)

 クロネ

(魔法陣を5つですって?)


 針は飲み込め無かったらしく口から遠くへ飛ばすアミュ。

「お兄ちゃん!クロネちゃん!アミュ、役に立つでしょ?」

 無邪気にアピールするアミュ!

 オボロは肉球で拍手。クロネは羽根で拍手。

(役に立つどころでは無いだろ?)

 と、同じことを思うオボロとクロネ。


 先へ進む3匹……。

 森が小さく見え始めた。

 かなり登ったみたい。

 道幅は狭くなったり広くなったりと不規則。


 崖の下の方から何かが猛スピードで来る!


 現れたのは………首長コンドル!!

 崖から少し離れた上空で左右に飛びながらこちらを見ている!


「ここは私が!」

 首長コンドルよりも高く飛び斜め上から目を光らせ威圧するクロネ!!


「オボロ様!見てて下さいませ!」

 アミュには負けたくはないと強く思い!


 両羽根に魔力を溜め、一気に羽ばたかせる!


「闇巻き」


 黒い竜巻が襲う!


 鷹首長コンドルは竜巻に飲み込まれ、放り出される!

 が、態勢を立て直し、首をうねらせて口からエアカッターを放ってきた!

 魔力で強化した羽根で、エアカッターを弾くクロネ!

(闇巻きだけでは威力は弱いですわね……)


「それならば!」


 再度羽根に魔力を溜め闇巻きを放つ!そして、闇巻きの中に羽釘弾うていだんを飛ばす!!


 大きな闇巻きの中に無数の魔力で強化した黒い羽が舞う!!


 首長コンドルを飲み込む!!


「闇巻き羽乱舞!!」


 放り出された首長コンドルは無数に切り刻まれて岩肌へ激突!!

 山道へ転がり落ちた!


 当然のようにクロネは、獲物を啄み始める……。こっそりアミュも近付き仲良く食事……。


 食事をしてる二人を見ながら

(また俺の出番無し……と言うか……クロネもアミュも俺より遥かに強いのでは?)

 と、尻込みしそうなオボロ。


 食事が終わったクロネとアミュ。

「いかがでした?オボロ様?」

 振り向き、嘴に血をつけたまま話しかけるクロネ。


「お、おう!なんか新しい技出来たみたいだな!かっこよかった!」

 褒めるオボロ。


「うん!クロネちゃん!羽根から風が飛び出して凄かったぁ!」

 アミュも前脚を上げ下げして褒める。


 身体をくねらせ照れるクロネ。

(褒めてもらえて嬉しいですわ!オボロ様ぁ!)


 さらに登って行く3匹……。


 崖から遠くを見ると、森は少ししか確認出来ず、スーデルの町が小さく見えた。


 しばらく登ると、広めな山道が広かった!

 見通しが良い!


 ━━━ンゴゴゴゴ!


 地面が割れそこから大きな口、トラバサミのような鋭い歯、土管のように太い胴体で尻尾へ向うほど細くなってる蛇のような獣が現れた!


 ドスン!と地面に落ち、うねうねその場でうごめいている……。


 一応構えるオボロ!

 ……

 ……

 ……


 クロネもアミュも動かない!


(あれ?これ俺が仕留める雰囲気?)

 後ろを向くオボロ……。


 クロネもアミュも、目を光らせ期待の眼差しか、早く仕留めろの仕草なのか……わからない……。


 背中から角錐を握り、筒から抜き、構えるオボロ!!

(まぁ、やれるだけやるか)


 五感オーラ、身体強化をするオボロ!

(なんか、妖怪の野槌みたいだな……)


 うねうねが止まり、身体をくの字に曲げ、尺取り虫のように迫ってきた!


 避けるオボロ!


 身体をくねらせ、上から口を開け飲み込もうとする野槌!


 角錐を真横にし、持ち手と先端を持ち、野槌の口に噛ませる!

 そのままの姿勢で両足の爪を出し耐えるオボロ!

 角錐をトラバサミの歯がしっかり噛んでいる。

(押し負ける……か)


 両腕に力を込め、野槌を少し押し返し……

 角錐を手放し……

 その隙に野槌の下に潜り込み……喉あたりに━━


「肉球掌底ぃぃ!」


 野槌は仰け反りそのまま倒れ、腹部の縞模様が丸見えになる!

 角錐はその反動で崖付近に転がった……。


 野槌はうねりながら態勢を整え、地面を食べ始める!


(今、食事とか?)


 ━━と、口をモゴモゴして食べた地面を石礫にして吐き飛ばした!


 鱗の篭手で防御するオボロ!

(ルーベ、ありがとう!腕痛くないよ!)


 また地面を食べ始める野槌……。


 オボロは走り角錐を取り、地面を食べている野槌の真上に飛び上がり、角錐の握りを強く持ち━━━


 腹部を刺し貫通させた!


「ぐぎゃぎゃぎゃ!」

 気持ち悪い声を出す野槌!


 食べていた地面をボロボロと吐き出す……。


 トラバサミの歯をガチガチ鳴らしうねうねしている野槌!


(こいつしぶといな……)


 チャキン!と両手から爪を出しオーラを込める!


(距離は問題無い……)


 右の爪!左の爪!交互に下から振り上げる!!


 爪の形のオーラがバツ印のように交差し野槌を通過する!


「裂空爪・たすき


 裂空爪が通過した通りに綺麗に斬り刻まれた野槌!

 地面にどす黒い血が流れる……。


 野槌を仕留めたオボロ!


 後方で戦いを見学していたクロネ

(もう、なんて素敵な戦い方!うっとりしてしまいますわ)

 と思いつつ

「見事ですわ!オボロ様!」


 アミュはその場でぴょんぴょん跳ねながら

「わぁーさっすが!お兄ちゃんっ!……それ、食べて良い?」


 オボロは角錐を抜き、背中にしまい

「アミュはまだ食べるの?」

 と、驚く。


 クロネは大丈夫そうなので全てアミュに譲った。


 食事中のアミュ……。


 岩肌に寄りかかり少し休むオボロ……。

 隣にクロネも行き、そっと寄り添う………。



【戦歴】

 アミュ VS ベッコウバチ

 捕縛網からの噛み付きにより勝利


 クロネ VS 首長コンドル

 闇巻き羽乱舞で勝利


 オボロ VS 野槌

 裂空爪・襷で勝利


【能力】

 ・オボロ

 裂空爪・襷

 ・クロネ

 闇巻き羽乱舞

 ・アミュ

 ロックゲイザー

 捕縛網



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