第2幕〜戦利品と固有魔法紙
死骸となったシーサーペント……。
……クロネとアミュの目線はシーサーペントの死骸……。
(きっと食事したいんだろうな)
と、思うオボロ……。
問題無いだろうと、二人を食事に行かせる。二人はぴょんぴょん跳ねながら向かった!二人で協力し死骸を陸地へ引っ張り上げる!長い胴体が現れる!胴体は尻尾の手前で終わっていた。
啄むクロネ!噛み付きもぞもぞと飲み込むアミュ!
(さすがにこの光景は……慣れない!)
口を押さえるオボロ……。
シーサーペントの角が気になるオボロは、近寄り見て触ったりした……。
(結構頑丈そうだし……持ち手をリーベに工夫して貰えれば……武器になるかも!)
ゴーラの漁船がこっちに来た!
オボロは両手を挙げ振る。
岩場ギリギリに接岸し、ゴーラが甲板から降りてくる。オボロは退治の報告と……二人が食事中なので待って欲しいと伝える。
ゴーラはオボロに退治した証明で頭部と腕2本を持ち帰りたいと言った。
クロネもアミュもそこまで食べてないから間に合うと思い、ゴーラと協力して証明部分の確保にあたった。
食事中のクロネとアミュ……。
作業中のオボロとゴーラ……。
太い水掻きのある腕、細長い犬の様な頭部……。
腕はオボロとゴーラで漁船へ運び、頭部はクロネに運んでもらった……。ゴーラと船乗り達はオボロとクロネに感謝の言葉と歓喜の声を贈った。
オボロ、クロネは漁船に乗りザザ村へ帰還することに……。
戦いの後のまったりとした時間……。
漁船の揺れも心地よい……。
クロネは嘴で羽根の手入れ、オボロは木箱を椅子代わりにして地平線を眺めている……。
上の方で笑い声が………。
━━━!
アミュが帆の支柱から糸を垂らし潮風に揺られるのを楽しんでいた!!
呆れるオボロとクロネ………。
(あれ?呼んだ覚えないが?)
オボロはアミュを呼ぶ。
すぅーっと甲板まで糸を使い降りてオボロの前へ!
オボロ
「アミュ……なんで漁船に乗ってる?」
アミュ
「……付いて来ちゃ駄目なの?」
蜘蛛ながら上目遣いで。
悩むオボロ……。
クロネが割って入る!
「アミュ?オボロ様を困らせないの!」
脚を全て丸めコロコロ転がり、しょんぼりするアミュ……。
オボロ
「理由はわからないが……仲間や家族が居るなら……戻ったほうがいい」
甲板をコロコロ転がりながらアミュは
「アミュ……独りぼっちだもん……」
ちょっと言い過ぎたかもと思ったクロネ……。
転がるアミュを目で追いながら
「何か……訳あり、か?」
心配そうに尋ねるオボロ。
まだコロコロ転がりながらアミュは
「今は……話たくない……」
ミシミシと軋む甲板……。
オボロ
「うんうん、とりあえず村まで行こうな。そこで話をしよう」
転がりを止め、立つアミュ……。
「……うん」
弱々しく返事をする……。
オボロはゴーラと船乗りの所へ行き事情を説明。外見は大きく怖いが敵意はないから安心して欲しいと……。クロネも後ろで頭を下げる。まるでアミュの保護者のように……。
昼過ぎくらいになろうか……ザザ村へ帰還。
クロネは頭部を掴み村内へ運ぶ。ゴーラとオボロは片腕ずつ運ぶ。後を追うアミュ。
広場にシーサーペントの頭部と両腕が置かれ、かなりの存在感を出している!そしてそれよりも存在感があるのは━━アミュ!
マーマン達はかなり距離を取っている!
オボロとゴーラは長老へ報告と事情説明をした。長老は静かに聞き、退治の件の感謝を伝えた。アミュに関しては敵意無いなら居ても構わないとも話してくれた。それを聞くマーマン達は、しぶしぶ長老に従った……。
オボロはアミュの所へ行き、村の滞在の許可はもらった事を伝え、マーマン達を驚かせないように!と釘を差した!
海水まみれで乾燥し、ごわごわな体毛………。オボロはクロネにアクアボールで身体を流したいと相談する。
村の隅っこでアクアボールを数発浴びるオボロ!ハーフパンツも脱ぎ全裸で!クロネは恥じらいと興奮で、オボロの全身を見入る!浴び終わり、全身を震わせ水気を飛ばし毛づくろい的なことをするオボロ。ハーフパンツを木の枝に干す━━━
と、ポケットからボロボロの紙切れが落ちる!
爪で拾い上げるオボロ……。
崩れないよう広げると……!
━━━複雑な魔法陣!
長老を呼ぶオボロ!
ゆっくり歩いてくる長老……。
濡れた魔法陣の紙切れを見せるオボロ。
近付き、じっくり観察する長老……。
━━━!
長老の目が見開いた!!
オボロとクロネを長老宅の裏手に誘導する。
長老は少し興奮しながら
「若い獣人よ!こいつをどこで手に入れたぞえ?」
オボロは記憶を辿っている……。
━━!
「洋館でタランチュラを倒し、アミュを助けた時に床にあったのを無我夢中で手に取った記憶が……」
長老は小声になり話してくれた……。
この魔法紙は【固有魔法紙】でこの世界に2つと無い貴重な魔法紙。固有とは生まれ持った特別な魔法で持ち主しか扱えない。固有魔法は様々で使い道が無いものから、世界を破滅へ導く物まであり、どのくらい存在してるかも長老でも知らない。そして固有魔法を扱う者が……死を遂げた後に残るのが【固有魔法紙】で、死に場所なのか、別の所なのか、死んだ直後なのか、数年先なのかさえ不明なのだと。
さらに続ける長老……。
仮に発見し、通常の魔法紙のように契約しようとしても、魔力の無いもの、適性が無い者は扱えず、その場合は……固有魔法紙は灰となり消滅してしまう。
逆に固有魔法紙と契約が成立すれば、その魔法は契約者が使えるようになる!
またその者が死ねば固有魔法紙がこの世界のどこかに現れる!
「この固有魔法紙……かなり高度な固有魔法かも知れん!……わしが知ってるのはこのくらいぞえ……。大切に保管し魔力の長けた者あるいは、知識のある者に相談するがええ。相談する時は……くれぐれも慎重に相手を選ぶぞえ?騙される可能性もあるぞえ?」
と、長老は話してくれた。
オボロもクロネも半分理解した感じであった……。
オボロは身体を乾かす名目で村内を練り歩く……。
クロネは隅っこで自分にアクアボールを浴びせて海水を洗い流し始めた……。
何やら村の入り口のほうが騒がしい……。
子供のマーマンとアミュが飛び跳ねている!
(なんだろ?)
近くに行くと……!
木と木の間に蜘蛛の巣を真横に張り、それに乗っかりポンポン飛び跳ねていた!
(アミュは子供らしい所あるから、遊びから仲良くなれるのかな)
と、微笑むオボロ……。
近くにルーベのお店があだたのでシーサーペントの角の事を相談することにした。
ルーベにあれこれ説明するオボロ……。ルーベがとりあえず角を見に行きましょうと言うので、二人で向う……。
ゴーラとグリナがシーサーペントを解体していた。ルーベが二人に事情を説明し、譲ってもらえることに!ルーベは傷だらけのオボロを見て、篭手や脛当てとかもどうかと提案してくれた。防具あれば少しは安心だと。その提案にはオボロも賛成だし、あれば良いなとは考えていた!早速ルーベと武器防具作成の会議を始める………。ルーベはポケットから紐を取り器用にオボロの寸法を測り始めた……。
(なるほど……単位はなくても紐の長さを記録してるんだな)
こいつの鱗は頑丈だし色も綺麗!売っても良し加工しても良し!な代物らしい。確かに鱗の色はエメラルドグリーンで綺麗である!予備も含めて大量に袋に詰め込むルーベ!
角のある頭部をルーベとオボロで店舗まで運ぶ………。
クロネは日向で羽根を広げ乾燥させている。
アミュは子供のマーマンと追いかけっ子してる。
グロテスクな顔を作業台に乗せ慎重に角を取り出すルーベ。……角を取り出した中から水色の透き通った不規則な凹凸の小さな石を取り出すルーベ。売れるかもしれないからと、手渡されるオボロ。
店舗外に出て、あれこれ希望を地面に描き説明するオボロ!長さは背中に背負えて取り出しやすく、それをしまう固定具。持ち手はこの手でも持ててしっかり握れて、押し込める時に使う平な部分もつけて欲しいと!注文の多い猫獣人……。それでもルーベは乗り気で真剣にオボロの話を聞いてくれた!ルーベはまたロープを取り出し背中のサイズや手のサイズ、爪を出した状態を何度も確認した。オボロは何もお礼が出来なくて申し訳ないと言うと……ルーベは村のために集会所や討伐をしてくれたのだから、気にしなくても良いと返された。それにオボロの話を聞くと創作意欲が広がり楽しいとも言ってくれた!同じ事をグリナと先日話をしたばかりなんですよと、にっこり微笑んだ。
集会所を見に行くオボロ。
屋根がもう少しで完成しそう。内部のテーブルや椅子の作成も同時進行してた!グリナに話しかけるオボロ。グリナの中では仕上げの段階らしい。オボロもパッと見ただけだが、見栄えも良いし、建設計画も噛み合ってるとグリナを褒めた!それにはグリナも感激し、たくさんの知恵をありがとうございます!と感謝された!
こうして長い1日が終った。




