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第2幕〜オボロの恩返し・1

 

 歓迎会と宴の翌朝━━


 長老は早起き……。

 家の前の長椅子に腰掛け、村内を眺めている………。


 オボロはクロネに相談してる……。

 集会所の建て替えの手伝いをしてあげたいと。

 クロネは快諾したが、自分では細かな事が出来ないため、オボロの手伝いは出来ない事を伝えた。そこはオボロも理解した上での相談である。だから滞在期間は少し別行動でどうか、と言う内容。それを聞きクロネも賛成と伝える。クロネは、魔法の精度を上げたかったのも賛成の理由の1つであった。クロネはゴーラの漁の護衛的なのを希望していた。そうすれば漁を邪魔する魚や鳥を魔法で追い払いかつ、食料にも困らないと考えてたのである!


 ━━ということで各自別行動へ


 クロネは砂浜へ行きゴーラに交渉する。

 昨日の戦いぶりを間近に見ていたゴーラは、むしろありがたいと!もちろんクロネが狩った獲物は食べても構わないとも言ってくれた。

 クロネはゴーラの船の帆の丸太を足場にし全てを見渡せる位置に陣取った!

 こうしてゴーラ一行は近海へ漁へ出かけていった……。



 オボロは━━


 村の家屋を1つ1つ見て回っていた……。

(猿たちよりは技術はあるようだ……)

 隙間だらけではあるが家としての機能は果たしている!……釘らしい鉄製ので打ち付けてあるが……おそらく使い回しだろうか……頭のひしゃげた釘、錆びついてる釘……。爽太の居た世界からしてみたら……残念過ぎる……。


 集会所の解体作業を見に行くオボロ……。

 指揮をしてるマーマンがいたので話しかける。

 名はグリナ。他のマーマンより大きく腕も太い!猿たちのダリルやローグよりも体型はしっかりしていた。グリナはこの村の大工的な役割をしている。ゴーラも漁の無い日は手伝いをしているみたい。

 オボロは作業の様子を見ている……。作業人数的には問題無い。グリナの指示でそれなりにテキパキ動いている。

(設計図なんて……無いよな……)

 工具類も見た限り、使い込まれて、正確には切れないだろう……。この世界には寸法と言う概念は無いのだろうか?様々な憶測と現実がオボロの中で処理されて行く………。


 うろちょろ歩き回るオボロ……。

 先日オボロとクロネがやらかして倒れた木々がチラッと目に入る!

 ……

 ……

 ……あぁ━━!


(ログハウス!これしか無い!)


 爽太だった頃、座学で勉強した程度の知識ではあるが、材料と組み方さえできれば可能性はある!と。外見はここなら、風情ありそうだとも感じた。


 早速グリナを呼んで、地面で図解を描きながら説明するオボロ。グリナも初めてな試みなので緊張と興奮があった。猿よりは意思疎通は出来ることがオボロのストレスを和らげていた。とは言え別世界の技術なため説明も難しく、手探りでのスタートになりそうであった……。


 その頃クロネは━━


 漁を邪魔しに来る鳥を片っ端から、魔法で狩っていた!魔法陣の大小、魔法陣を出す速さ、命中精度。理解出来る範囲で試していた。もちろん狩った鳥は……甲板へ山積みにしていった!

 ゴーラ達は、クロネの鮮やかな狩りを見ながら漁に励んでいた。



 オボロはと言うと……


 解体作業の中、グリナになんとか理解してもらおうと説明をしている……。グリナも質問が出るくらい理解は進んでいる……。とりあえず今日はここまでにして、また明日にと言うことにした。


 背伸びするオボロ……。


 そこへ小柄で細身なマーマンが話しかけてきた。

 この村で雑貨屋みたいなことをしてるルーベ。生まれつきこの体型で他のマーマンのように漁や体力の必要なのは無理なため小物を作ったりして村の生活を助けている。

 と、ルーベはオボロにズボンを渡してくれた!どうやら成長してパツパツなズボンを見て、作ってくれた!

 早速オボロは長老宅へ入り履き替えた。色は深緑、長さは膝が隠れる程度なハーフパンツ!ベルト通しもあり、はぐれ島からの愛用のベルトで締める!その場で屈伸し軽く跳ねる!

(おぉ動きやすいかも!)

 ドアを開け、ルーベに握手し感謝を伝えるオボロ!ルーベも、気に入ってくれて嬉しいと!


 解体作業を見ているオボロの元へ、クロネが大量の鳥が納まった網をぶら下げて広場へやって来た!


 ドサドサドサッ!


 クロネはオボロに目を輝かせ


「オボロ様ぁ!大量ですわ!」


 それを見てオボロは

(いやいや大量過ぎでしょ?)

「凄いじゃないか!クロネェ━」

(どう狩ったかわからんが……俺より強いのでは?)

 と考えてしまうオボロ。


 言うまでもなく、今宵も焼き鳥メインな宴となった……。オボロもクロネもマーマン達も、幸せそうに食べている……。

(なんか大勢で食べる食事……良いよな)

 ふと感じるオボロ……。


 ━━━━━━━


 ナナは2学期が始まり、約束通りモモカちゃんと登下校。

 心配するクラスメイトや、励ますクラスメイト。どの先生方も、無理はしないでねと言ってくれる。

 それが逆にプレッシャーにもなり得るが、素直に受け取るナナ。


 昼休み━━


 1人屋上に居るナナ。


 風が吹き抜ける屋上……。


 フェンスに寄りかかるナナ……。


 無意識のうちに、嫌なことを思い出さぬよう、無理して笑顔を出している自分に気付くナナ……。


 今の支えは……おぼろと、きぬと、サキ叔母さん、ダイにぃ……それと幼馴染のモモカちゃん……。


 パパの言葉を思い出すナナ……。

「パパは……ナナの笑顔が……大好きだよ!」


(今居る周りの人達に……感謝と……笑顔を!)


 ナナ「パパ……ママ……これで良い、よね?」


 自問自答するナナ……。


 ━━帰宅するナナ。


 玄関開けて速攻おぼろを探すナナ!


 きぬがおぼろを毛づくろいしていた。

 生後間もないので体毛もふさふさではなく、毛づくろいしても跳ねてる所が見られる。


 毛づくろいされてるおぼろを、しゃがんで見守っているナナ。


(おぼろ!仲良くしようね!)


 この心の声が伝わったのか……


「ミャオ!ミャーオ!」

 と、毛づくろいされながらも鳴くおぼろ。


 リビングに毛づくろいをする音が響く………。




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