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第1幕〜リベンジ・ダリル・1

 

 オボロが迎え撃つ提案をしてからは、なるべく別行動は避け、寝るときも交代でしていた。さらに、昼間はオボロが見える範囲で、クロネが上空から定期的に観察をする徹底ぶり。


 それから四日後━━


 わざとらしく砂浜でトレーニングしているオボロ。

 クロネから、こちらに来る猿の群れを見かけたと知らせがあったからだ!


 砂浜と森の境目辺りに、子猿の群れがオボロたちを見ている。


 オボロは、構えて威嚇する!

「うぅぅー!しゃ━━━━!」


 子猿たちは、弱々しく威嚇し返す………。小石を持つもの、太めな枝を持つもの………。子猿たちはどことなく震えている………。


 子猿の群れを見渡すオボロ………。


 ため息が漏れる………。

(子供使うか?びびって震えてる子猿もいるぞ?……余分な争いはしたくないからな……)


 ━━━と、オボロは両手を上げて……

「あー。えーと。無理して戦わないくて良いぞ?怪我したくなかったら……あっちの岩場で見学しててにゃ?」

 身振り手振りで、訴えかける。


 クロネも、オボロの提案には賛成している様子。

(はぁ……なんてお優しいオボロ様!)と感心するクロネ。


 ……


 通じたのか、ゾロゾロと岩場へ向かう子猿たち。

(なんとか通じてるみたいだな)

 そこへオボロも向かう。

 萎縮してる子猿たち……。

 オボロ「君たちに手は出さないから安心してにゃ!……それで、この後何匹くらい来る?」

 敵意なく優しく話かける。


 ……


 子猿たちは、六匹立ち上がり両手を前に出す。


 ……!


 オボロ「なるほど!賢いなお前たち!………30匹くらいだな!……よし、ありがとう!」


 頭を下げ、先人切って立ち上がった一匹の子猿の頭を撫でる。


 数をクロネに教えるオボロ。

 砂浜へ戻り待機する。


 クロネ「オボロ様、賢明な判断かと!」


 オボロ「だよにゃ……さすがに子猿に手を出したくないよ……。おそらく次から……」


 森の奥から猿の鳴き声が迫ってくる!!


 構えるオボロとクロネ!


 1、2、3……子猿が教えてくれた数に近いな!活気ある猿たちが止まらずに攻めてくる!!


 オボロ「すまん!クロネ頼めるか?怪我させる程度で」


 クロネ「お任せ下さい!オボロ様!」

(ここで少しでも私が!)


 クロネはフワッと飛び上がり森の方面へ羽をバッサバッサと動かす!


 羽から突風━━━!


 よろめく猿たち!

 それでも立ち向かってくる猿たち!


 クロネはすかさず猿たちを牽制するように、飛び回りながら羽で猿たちをいなす!


 と、数匹がオボロに向かってくる!


 オボロは構えて、避けつつ回し蹴り!腹部への拳!そして一本背負い!!


 クロネも負けじと羽を直接当て吹き飛ばす!羽のビンタのように!


(おぉ!クロネやるなぁ!)

 戦いながら、関心するオボロ。


 活気ある猿たちは、やられながらも、立ち向かおうとしてる………。

 それを見てオボロは先ほどと同様に両手を上げ………

「俺は無駄な争いはしたくない!……戦いたくない者は向こうの岩場で見学してて欲しい!」


 ………猿たちは、少し困惑気味……。

(ダリルにかなり言われたな?)と、判断するオボロ。


 オボロは、爪を出し、空振りの裂空爪を猿たちに向けて放つ!!!砂浜には裂空爪の跡がくっきりと!!

 オボロの後ろでは、クロネが睨みを効かせ、態勢を低くし、いつでも飛べるよう待機していた!


 後退りしてしまう猿たち……。


 オボロ「んにゃ!怪我したくなかったら……岩場で、子猿たちを守っててくれないか?」

 諭すよう猿たちに促す。


 猿たち「キィ……キキ……」

 諦めたのか、弱気な鳴き声で皆、子猿たちのいる岩場へ移動し始めた………。


 ………


 オボロとクロネは、腹ごしらえに、高い岩壁の上で取って来ていた水分多めな果実を食べている。オボロは、この果実は結構気に入っている!梨のようにみずみずしく甘さも丁度よい!


 ……


 …………


 砂浜と森の境目に、神輿に乗ったダリルが登場!隣には槍持ちのトツ!


 ダリル「準備運動は楽しかったかい?子猫のオボロちゃん?」

 岩場の方へ向き

「だらしないなぁ……あいつら」呆れるダリル。


 オボロは怒りを抑えてる!

 顔を下にし、つぶやくように「……二回も姑息な手段でけしかけて来て……しかも無理矢理子猿たちを争いに巻き込んで………。長を名乗る資格ねぇな………。調子乗った中学生かよ?」


 ダリルは耳に手を当て

「聞こえませんなぁ?子猫のオボロちゃん?」嫌味まじりに放つ。


 クロネは黄色の瞳を光らせダリルとトツを交互に見ている!


 オボロは顔を上げ、高い岩壁の方へ歩きながらにっこりと

「とても良い準備運動だったにゃ!おかげであっちの猿たちは降参してるぞ?………もしかしたら………群れを離れて俺の所へ来るんじゃないのかにゃー?」


 ━━!


 カチンとくるダリル!

「ほーぉ?あいつらの群れのボスになろうってか?……笑えるぜ!」鼻で笑うダリル。


 オボロ「どうだろうか?群れのボスをかけて、一対一で勝負!と、言うのは?」

 流れはオボロにある!


 ………


 ダリル「そーだなぁ?強い者が、まとめる!わかりやすくて良いね!」と、神輿から降りる!

 右手に棍棒。左腕には………オボロにやられた箇所に木の革が巻かれていた!


(包帯的なやつか?まだ傷は癒えていないのか……?)

 疑心暗鬼なオボロ。


 オボロ「んにゃ!決まりだにゃ!……そっちの槍持ちの方は手出ししないでにゃ?」と、クロネに目配せする。

 クロネは頷き、トツの斜め前に陣取り片方の羽を広げ

「これは正式な♂同士の戦い!手出し無用でお願いしますわ!」ピシャリと釘を差す!


 ……トツは構えていた槍を、しぶしぶ神輿に立て掛けた……。


(ここまでは、順調、だが……あのリーチの腕は厄介だ)

 オボロに、眉間を強打された記憶が蘇る!


 ダリルは右腕をゆっくり回し、首を左右に鳴らしながらオボロの前に立つ!


 両者睨み合う!!


 ゆったりした波の音………


 ━━━!


 先手必勝!オボロが動いた!

 態勢を低くし両手を広げ爪を砂浜に突き立て、砂を掻き出しダリル目掛けて目潰し!


 右腕でガードするダリル!


「小細工無しにゃー!裂空爪!」真正面から繰り出す!


 傷付きながらも耐えるダリル!


 両者避けながら、ガードしながらぶつかり合う!


 ダリルの左の死角から、オボロが攻める!

 ━━━!

 棍棒を左に持ち替え振り向きオボロの腹部を強打!!!

 波打ち際の岩場の方へ飛ばされるオボロ……。


 オボロ「ちっ!やっぱり嘘、か……」


 ダリル「すっかり回復してらーな!」木の革を剥がしてオボロの方へ投げつける!


(オーラ使ってて良かったにゃ……)オーラで緩和していたオボロ!


 オボロは岩場に手をかけて立ち上がる……。

 目線は……岩場の凹み!


 ダリルは両腕にオーラを溜めている感じ………。


 ダリル「そろそろお寝んねですかねぇ?子猫ちゃん!」

 突進して、飛び上がるダリル!


 オボロは凹みから何かを爪だけで取り出し、ダリルを上手くかわす!

 そして凹みから取り出した何かをダリルの右肩辺りに投げつける!!

(頼む!貼り付いて……くれ!)


 ………ペタ!!


 何かがダリルの右肩に貼り付いた!!


 オボロは倒れ込みながら、それを確認。


 クロネは

(あれは……もしかして……?)

 羽を嘴に当て、笑いをこらえてる。


 ダリル「んーなんだ?これ?」

 左手で取ろうとするダリル。だがもう遅かった!

 貼り付いた何かが右肩にギッチリと食い込んでいる!!


 ダリル「取れねぇぞ!……うぐぐぐ……てめぇ!何してくれたぁ━━!」と、叫ぶ。


 オボロは立ち上がり

「……ダリルさん?……解説……必要……かにゃ?」時間稼ぎをするつもりでゆっくり問いかける。


 ダリル右肩の何かを取ろうともがきながら

「いや、いらねぇ……」明らかに強がっている。


 オボロ少しニヤつき、煽るように

「……やせ我慢は━━よくないにゃ?」


 舌打ちするダリル……


 オボロ

「んにゃ!……優しい俺が……親切・丁寧に解説してやるにゃ!………そいつは『吸血ヒトデ』貼り付いたら最後!……血を吸い尽くされるまで……離れませんぞ?」ちょっと脚色したオボロ。


 ダリル「んだと!?仔猫ちゃんのくせに、ずるいことするんだな!」まだ強がってるダリル!


 オボロ「まぁ?ここの砂浜は?………俺の庭って言うか━━」得意げに言い放つ!


 まだ、笑いをこらえてるクロネ。

 ━━トツが槍を手にした━━━!


 ━━バサッ!!


 トツの前に羽を広げる!

 クロネは見逃さなかった!

「手出し無用と……伝えてましたわよ、ね?」


 ……再度、槍を神輿に立て掛けるトツ……。


 ━━!


 と、ダリルはうずくまる!

(た、たしかに血を吸われてる感じは、する……。でもすぐにはくたばらねぇはず!………仕方ねぇ………使うか!)


 うずくまるダリルに、手応えを感じてるオボロ!

(ありがとう!吸血ヒトデ!)

 爪を出し裂空爪の構えをとる!


 ダリルはうずくまりながらオーラを溜めている………。


 顔を上げ━━


 口を開き━━


 腹の底からだろうか、オーラを放ってきた!!!!


 ━━━!!


 オボロは裂空爪の構えをやめ、両腕を交差させオーラで防御の構えに変えた!!

(間に合う、か?)

 放たれたオーラに正面からの防御!


 砂煙が舞う!


 オボロは、防御したとはいえかなりのダメージ!


 両羽で目を隠すクロネ!

(オボロ様………)


 ダリルは、痛みをこらえて立ち上がり

「ダリルキャノン!!……隠し玉ってな!」

 不敵に笑う………。



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