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第7幕〜町へ行こう!

第7幕始まりです!


ナナの活躍、オボロ達の奮闘そして………。



 

 ━━異世界ガイアール


 青葉ナナ、15歳、中学卒業直後に、事故で亡くした父である青葉爽太の声に導かれるかのように魔法陣で転移。その転移先で最初に出会ったのは大魔道士ゼクセンなる人物の意識が入り込んだ黒い魔石。そのゼクセンが生涯をかけて自分の有り余る魔力で大迷宮を作り上げていて、ナナを弟子として魔法を修得させ脱出した。


 そして今はゼクセンの隠れ家で小屋を清掃中……。


 溜まった埃、砂、朽ちた壁、抜けそうな床、窓ガラスは割れ風通しが良すぎる小屋……いっそ建て替えた方が早いのではと思ってしまったナナ。


 空想魔法(ファンシーマジック)で力のあるブラウンベアーと水を出せるブルーキャットを駆使し清掃する。


【空想魔法】


 ナナの固有魔法。初歩的な魔法ですらノーコン気味なナナが自ら身に付けた魔法。ポニー、猫、燕、熊と4種類の動物を模した魔力の塊を作り出し動かす。


 ゲホゲホ!ゲホッゲホッ!


 いくら掃除しても埃が舞い、たまらず小屋の外へ駆け出すナナ。


『……ーい……おーい……れか……だれ……』


 ━━頭の中に聞き慣れない声が!


 辺りを見渡すが誰も居ない!居るはずも無い!ここはゼクセンの結界が張られているためである。


 漂うようにナナの背後から現れる魔石片ゼクセンは


「どうやら上手くいったようじゃの」


 小屋の脇のへ赴く。そこはゼクセンに言われ魔力を注いだ種を撒いた場所!後を追うナナが目にしたのは━━!


 数時間前までは新緑の双葉だったのが、すでにナナの身長を超えるほどの樹木へ成長していた!しっかりと根を張り幹も太く艶のある葉!


 背伸びするくらい見上げたナナは


「うぉぉぉ!これが異世界!ファンタジー!」


 異世界物のラノベを好むナナは興奮気味!


「すごいね先生!すごいよ先生!さっきまであんなに小さかかったのに!」


「そんなに驚くことかのぉ?」


 現代とガイアールとの温度差による発言をしてしまうゼクセンの反応に不服なナナ。


『そこのぉきみぃ……おじょうさぁん』


 頭に響くやたらのんびりな話し方……。


「あっ、はい!私?」


「よかったぁぁ……気付いてくれてぇぇ」


 と、明らかに樹木から声が聞こえてきた!


「うっそ?喋る木?」


 驚きと興奮のナナ。


「驚かせてぇぇ……ごめんよぉぉ」


 無言で首を横に振ったナナ。


「ぼくにぃ、魔力をぉあたえてぇくれたのはぁぁ、君ぃぃ?」


「え?うん!私だよ!先生に言われて……だけど」


「すごぉくすごぉく……助かったぁ……あーりーがとぉぉ」


 ペコリとお辞儀するナナ。そして顔を起こすと樹木とナナの顔面の間に魔石片ゼクセンが!


「えぇーいまどろっこしい!おいドリアードよ!わしじゃよ!わ・し!どうもお主の話し方はのんびり過ぎて慣れん」


 と説教染みたゼクセン。


(ドリアード?)


「えぇー?あなたは……だぁれぇ?ぼくぅ、しーらないけどぉ」


 ………


「おのれ!もうわしの声を忘れたんか?」


 ………


「あぁぁぁ!」


 ……


「もしかしてぇぇ、ゼクセェン?」


「そうじゃよ!わしのくだらぬ話を飽きもせずに聞いてくれてたドリアードよ」


「すごい先生!木と会話出来るんだね!」


 目が輝いているナナ。


「いやぁ……迷宮作るってえぇ言ったきりぃ……ぜーんぜーん来ないと思ったらぁ……まさかぁ……そんな姿でぇ……再会とはぁぁ」


 相変わらずのんびりなドリアードの話し方に痺れを切らしたゼクセンは一方的にナナに紹介し始めた。

 喋っているのは精霊ドリアード。同種のドリアード達とは馴染めず1人森の木々を転々としていた所知り合った。初めは話し相手くらいの気持ちで接していたが、ドリアードの方から懐いて来て最後までここの隠れ家で一緒に居た。

 この木は一般的な木ではあるが精霊ドリアードが宿り木として宿れば話は別で、神木となり様々な実りをもたらし希少な存在になる。

 ナナもブルーキャットもブラウンベアーも座り真剣に話を聞く。途中ドリアードが調子を狂わすかのように、愚痴や訂正をするがほぼ無視で話を進めて行くゼクセン。


「……と、まぁ腐れ縁、と言う訳じゃよ。わしかてドリアードには助けられておった。食料や知恵、隠れ家の監視それと……話し相手」


 話し相手の所だけ、照れ臭そうな言い方なゼクセン。


「ほぉぉんとゼェクセェンはぁ……素直じゃぁ無いよねぇぇぇ」


「一言余計じゃ!」


 小言のようにゼクセン。


「精霊さんなんだ!あっ!私、青葉ナナ!よろしくね」


「あおば……ななぁぁ?はじめて聞く響きぃぃ」


 ……


「それにぃ……魔力のぉ質がぁ……何かちがーう」


 ━━!


(こいつ、ナナの魔力をそう感じるのか!)


「なぁドリアードよ。こやつ……ナナはの……ガイアールの人間ではないのじゃよ」


「あぁぁぁ!なんかぁ……そんな気は、したぁぁ」


 ゼクセンは簡単ではあるがナナがここへ来た経緯をドリアードへ説明する。


「大変だったんだぁぁねぇぇナナぁぁ」


「……うん……でもこんな体験二度と出来ないかもだから、楽しみたい!」


 期待溢れる笑顔で話すナナはその後もゼクセンとドリアードの会話を興味深く聞く。


「ナナには悪いんじゃが……ドリアードにも魔力を与えて欲しいんじゃ!」


「お願ぁぁい、しまぁぁす」


「わしもドリアードも……魔力が枯渇すると生きて行けん……今はお主だけが!頼りなんじゃよ。もちろんお主を戻す方法は責任持とう」


「うん!私も先生居ないと……知らない事だらけだし!協力する!ドリアードにもね」


 ブルーキャットの尻尾の先から散水してあげるナナ。


「ありがとぉぉう、ナナァァ」


「はーい!先生!私、町に行ってみたい」


 手を挙げて発言するナナ。


「……そうじゃな……わしも近隣の状況は確認しておきたい……わしが死んで200年くらいは経っておろうからな」


「ゼクセェェン!もぉぉっとだよぉぉ!ぼくが知り得る範囲だとぉぉ……800年はぁ経ってるぅぅ」


 ━━!


 ゼクセンは楽観視していた!

 200年の年月も歴史はあるがドリアードの言う800年が真実なら自分の知っているガイアールではないであろうと。


「ナナよ……わしもお主と似たようなものかも知れん……年月が経ち、恐らく地形が変わり国や集落も存続してるとは言い切れん……」


「じゃあ一緒に知って行けば良いじゃん!」


 気楽に言うナナ。


「ずいぶんと簡単に言うのぉ……」


(わしの知識がどこまで役立つかわからぬ……ナナもそうじゃが、わしとて全てが未知である可能性も……)


 ゼクセンは準備するナナをしばらく待たせ、ドリアードの知っている事を聞き出す事に。


 ……


「なんじゃと?わしが大迷宮へ潜って、十年後くらいに枯れ果てたとな!」


「ずうぅぅっと、待ってたんだよぉぉ、ゼクセンのことをさぁぁ」


 ……


「だからぁぁ、800年くらいってのはぁ……この森達にぃぃ聞いたのぉぉ」


「お主の知恵が頼りじゃったのに……」


「ごめぇぇん、ゼクセェェン……」


(ここの森はわしが来た頃からあまり変化が見られていない……こんな陰湿な森は年月が経過しても人は寄り付かないって事になるのぉ)


 そして━━


 レッドポニーに乗っかりゼクセンを待つナナ。ゼクセンはナナがショルダーバッグのように下げているD(ディメンション)B(ボックス)の中へ入る。


「えーと……ドリアード留守番よろしく?」


「まぁかぁせぇぇてぇぇ」


 薄暗い結界の外へ……。


 細めな木、太めな木、葉は赤黒かったり紫だったり……日光がほとんど地面に当たらずジメっとぬかるむ。色だけのイメージで言うなら……陰湿、多湿、そして不安、恐怖……。そんなことを思いながら進むナナ……。


「うっへぇー!寒気しかしないよぉ……。ねぇ先生?いきなり襲われたりしないよね?」


 念を押すかのように聞く。


「ここの森はの、わしが生きていたころからあまり変化はなさそうじゃ!居ても生命力の強い奴くらいかの。後は毒気に注意、じゃな!」


「ど、毒気ぇ?」


 余計に寒気が全身を襲うナナ!


「お主の魔力ならこの辺の毒気なんぞ問題なかろ?」


(魔力でなんとかなるものなんだ……)


 理屈は今ひとつだが納得してしまうナナ。


 真っ赤な蛇のような生き物が舌を素早く出し入れし移動するナナ達を枝に絡みつき観察している……。ぬかるんだ地面には獣か人間か不明な骨が見えた!


「……うぐっ!」


 直視してしまい吐きそうになるナナ……。


(これじゃ人間なんて隠れ家に来ようとは思わないよね……)


 数時間ほど移動したであろうか……乾いた風がナナの全身を捕らえた!


「うーむそろそろ森から出られるかの……もうひと息じゃて!」


 ただぶら下がっているゼクセンは呑気に励ます。


 そして薄暗い陰湿な森から出ると━━


 少し先は切り立った崖!


 地平線まで広がる大地!そして森!草原!


 見たことない鳥が隊列を組み優雅に飛ぶ!


 全身に浴びる日光と、少し強めな風!


「うっわぁぁぁ!もぅ……叫びたくなるぅぅ!」


 ナナは異世界へ来てはじめて開けた場所へ来られ感動と興奮ばかり!


 反対にゼクセンは……


(森の出口は……少し荒れ地で先に集落が何ヶ所かあって国があったはずじゃが?)


 ……


(やはり予想通り地形も変化し人間が暮らす場所も変化しとるようじゃ……)


 ゼクセンが生きていた頃とは全く景色が違い……落ち込んでしまう。


 崖ぎりぎりまで移動し遠くを見渡すナナ……。


「ねぇ先生?建物がある場所……ここから見えないね……」


 見渡す限り、自然豊かな景色……。


「ナナよ!集中して魔力の反応を察知出来そうか?」


「んん?」


 ……


「すまぬ……魔力サーチとわしは言っている。魔力が高い物や生物、魔力が活発に動いているのを探ると言う事じゃ!わしの弟子なら出来るはずじゃて!」


「う、うん!やって見るよ」


 深呼吸し目を瞑るナナ……。


 ……


 鳥のさえずり……揺れる木々の音……自分の心臓の音……


 微かに遠くで鐘がなるような音!


 その方向に意識を向けるナナ!


 わずかではあるが、ぼんやり光る玉が集まっているのを確認した!


「あ……!あれ?かな?」


 ━━!


「さすが!ナナじゃて」


「うん……うん……えーと向こうにいくつも反応あるみたい!」


「良し!そこへ向えば町に近付けるじゃろ!」


 ナナは初めての異世界。


 ゼクセンは知っている世界だが時が経ち過ぎて新たな世界。


 二人とも未知なる世界に緊張していた。



遅い展開、幼稚な表現ではあるかと思いますが、お付き合いしてもらえたら嬉しいです!


どこか一部分でも読み手の心に響いたら良いなと思っています!

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