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第6幕〜ゼクセン大迷宮・②

 

 ━━ゼクセン大迷宮内


 ナナの魔力量が豊富だが、ノーコンというのが発覚し落ち込む黒い魔石のゼクセン……。


「んーファイアボール!」


「それっ!アクアカッター!」


 離れた石壁の的を狙って魔法を放つナナの声……。掛け声は立派だが……命中率はほぼ皆無……。天井や床に無残に魔法が放たれている……。


(まぁそう上手くはいかんじゃろな……)


 ナナに声をかけるゼクセン。


「習うより慣れよじゃ!」


 黒髪ボブの髪が広がるほど勢い良く振り向き真剣な眼差しのナナ


「はいっ!先生!」


 離れた的を凝視し……一生懸命魔法を放つナナ!


 そんな姿を魔石のゼクセンは手は無いので口を出しながらしばらく見守る……。


 疲れたのかその場に寝転がるナナ。


 ……


「ねぇ先生?魔法陣……ごちゃごちゃしてて難しい……」


 天井を見上げ弱々しく呟く。


 ……


「初級の魔法陣で、そんなこと言ってたら……中級なんぞ無理じゃな……」


 寝転がり身体を揺らすナナ


「えー……もっと簡単に出来ないのぉ?」


「お主……ものぐさか?それとも楽しようとしとるのか?」


「そ、そんなこと無い!私が使うんだから、そうに出来たら良いなって……」


 うつ伏せになりながら話すナナ。


 ……


「しっかり魔力の流れを掴みじゃな……魔法陣の大きさ、角度を色々試してみぃ。良い塩梅なのが見つかるじゃろ」


 優しく諭すようアドバイスするゼクセン。


「とにかくやってみる」


 もそもそ起き上がり、水を飲み干し再度訓練するナナ。


 少し離れ見守るゼクセン。


(まぁ楽しんでるようじゃから……良いかの)


「えいっ!……やぁー!……まただぁ!」


 ナナの様々な感情の声が響く迷宮内……。


 ……


 ━━!


(おっ?感覚が掴んで来たかの?)


 ━━ドーン!

 ━━ズバッ!


「あっ!結構当たってるじゃん!……ファイアボールはぁ魔法陣を下斜めに傾ける……アクアカッターは……手の平くらいな大きさっと!」


 ……


「それっ!」


「えいっ!」


 ━━ドーン!

 ━━ガシャンガシャン!


「うんうん!エアショットはぁ大きめっと!……ロックシュートは……上向き魔法陣で小さめ、かな!」


 サッと振り向きナナ


「どう?先生!三回に一回は命中してるよ!」


 伝えるナナの顔は誇らしげ。


「そうじゃな!飲み込みが早いのぉ」


 褒めるゼクセン。


 体を重たそうにし椅子に座るナナ


「ちょっと休憩……」


 机に突っ伏し目を閉じた。


(魔法……使えてるよ私!すごいな……魔法……って……)


 ……


 ……寝息


 ……


 ━━!


 突如ナナの前に魔法陣!そしてそこから━━


 スタッ!


 小さな半透明な水色の猫が姿を現した!

 軽く寝息を立てているナナ。


「なっ?……猫?……しょ、召喚魔法か?」


 驚き近寄る魔石姿のゼクセン。


 ちょこんと座りナナを見上げている猫。ゼクセンには興味が無い様子……。


 サッと飛び上がり机に突っ伏しているナナの隣に座る猫。


「え?何?」


 近寄った猫に気付き起きるナナは猫と目が合う!


 猫はナナの手の甲を数回舐めた。きぬとおぼろに舐められている感覚を思い出すナナは、一筋の涙を流し


「きぬ……おぼろ……そっか……私、異世界に居るんだったよね……ちゃんと帰るから……」


 ゼクセンが声をかける。


「お主が寝とる時にその猫……魔法陣から出てきたぞ」


 ゼクセンと猫を数回見るナナは信じられない顔をする。


「わしゃ……嘘は言っとらんよ」


 無言で首を縦に振るナナは、恐れずその猫を触り、撫でる。嬉しそうな猫は尻尾の先からコップに水を注いでくれた。


 ━━!


「なんと!」

「え?うそぉ?」


 二人は声に出てしまう。


「ねぇ先生!この子何?」


「いや、わしが聞きたいくらいじゃよ」


 ……間


(私の魔法?さっき寝ちゃった時に……)


「ねぇ、あの的を攻撃出来る?」


 ナナは自分の顔を水色の半透明な猫の顔へ並べ話しかける、と直ぐ机から降り、ゆらゆら尻尾を動かし……水球を飛ばす!


 バシャーン!


 離れた石壁の的に水球が当たり飛び散った!


 ━━!


「きゃー!すごいすごい!」


 大喜びのナナ!

 感心するゼクセン。


(召喚魔法なら、もっといかつい獣や魔獣のような姿……やはりそれとは違うようじゃ)


 と、水球を放った猫は力尽きたのか蒸発するように消えてしまった!


「あー!待ってよぉ!」


 手を伸ばすナナ。


(良し、もう一回出してみよう)


 先ほどの猫をイメージするナナ。


 魔法陣が展開され━━


 再度現れる水色で半透明な猫!


「出来たー!おいで!」


 ナナの前にちょこんと座る猫。色んな角度から眺めているナナ。


(可愛いなぁ)


 ナナを見ていたゼクセンは


(魔法陣の紋様が少し違かったの!考えられるのは……こやつの固有魔法じゃな)


「どうやら水属性が得意そうな奴じゃの」


「うんうん!私もそう思う!ってことは……他の属性も同じ様に出来るかも!」


 意欲を出すナナ!


「先生?迷宮なんだから……他に部屋はある?」


「まぁそれなりにあるが?」


「ちょっとぉ集中したいからぁ一人にさせて欲しなぁ……」


 甘えた声で訴えたナナ。


 ふわふわと移動し、扉を出現させたゼクセン。


「ほれ、好きに使って結構じゃ」


「ありがとう先生!」


 駆け足で部屋へ向かうナナ。


 扉が閉まる……。


 残されたゼクセン……。


 静まる迷宮内……。


「わしに当たらんよう気を使ったのじゃろか……」



 別室━━


 床にぺたりと座り目を閉じ思案するナナ。水色の猫を出す手順を一つ一つ追っていく。


 ……


 魔法陣から水色の猫が現れ、そして魔法陣へ戻すナナ。


(魔力の粘土……みたいな感じ?)


 何かコツを掴んだナナ。


「良し!色々とやってみよ!」


 やる気と期待が湧き出るナナ。


 ……


 どのくらい時間が経っただろうか、別室から出てくるナナはゼクセンの前に立ち━━


「先生!見てて!」


(何か顔付きが変わったのう)


 胸元で両手を祈るよう組み合わせ前方に魔法陣を四つ発動させた!


(みんな、出てきて!)


 各魔法陣から━━


 水色の猫、緑の燕、赤い馬、茶色の熊が現れた!どれも半透明で、大人しくしている!


 ━━!


 ゼクセンはくるくる回転し驚いている様子!


「みんな!お願い!」


 ナナは号令を出す!


 それぞれが的に目掛け攻撃をした!猫は水球を、馬は火球を、燕は鋭い刃を、熊は岩の塊を!


 全てが的に当たり崩れた!


 と、同時に四体全て消滅してしまった!


 立ってるのがやっとなナナは


「へへへ……どう?先生……私、すごくない?」


 そう言い残しその場で寝てしまう。


「せめて一体ずつ出せばよいものを……無理しおって」


 数時間ほど経ち目を覚ますナナは、ゼクセンにまくし立てるように解説し始めた!四体それぞれの名前、どのように発動させたかを。ゼクセンは黙って聞く。早口なのがいささか気になるが……。


「なるほど、な。魔力を粘土細工のようにして形を形成させた……と……」


 何度も頷くナナの鼻息は荒い。


「おそらくじゃが……お主の固有魔法ではなかろうかの。召喚魔法とは、また別物と言った感じじゃろうか……」


「使いこなせるようになるよ!先生!」


「四体同時は、魔力切れなりやすいから、そこだけは注意じゃ!」


 と、すでに四体出しているナナ!


「出すだけなら大丈夫だよ!」


「なんと!」


 驚くゼクセンを待たず紹介していくナナ。


「この子がブルーキャット、この子がレッドポニー、飛んでる子がグリーンスワローで大っきいのが、ブラウンベアー!」


(馬ではなかったんじゃな……どうりでサイズが小さいわけだ)


「見た感じじゃが……色と属性を合わせたのか?」


 ゼクセンは投げかける。


「すっごい先生!良くわかったね!」


 即答し感心したナナ。


(魔力量の豊富だから可能じゃろな……魔族やエルフでもこんな芸当出来るのは……少なかろう……)


 ナナはレッドポニーを残し練習をしている……。


(別室で何かコツでも掴んだのじゃろか……発想力には驚かされるわい)


 グリーンスワローを見上げながら号令を出しているナナ。


(身を守るプロテクト……威嚇や牽制にも成り得る魔法……なんとか形にはなってきとるな)


 自分で出したブラウンベアーの大きさにビビっているナナ。


(わしが生きていた頃じゃったら脅威としか言えんのぉ……)


「先生見てた?みんな的に魔法当てられるよ!」


 にんまり笑顔なナナ。


(……先生?)


「ん?お、おぅ見とったぞ!」


 小さく飛び上がり喜ぶナナ。


「して……お主の固有魔法じゃが━━」


 ━━右掌をさっと前に出すナナ!


「もう決めてるの!」



空想魔法(ファンシーマジック)



【能力】

 ・ナナ

 空想魔法

 ブルーキャット

 レッドポニー

 グリーンスワロー

 ブラウンベアー



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