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第6幕〜共闘

 

 湖から突如上空へ飛び出し横回転しながら落下しオボロとジルファスの間に現れた大きな巻き貝!


 ……静観


 突起物のある巻き貝の入り口から……


 ぬるっと深緑色の蛇の顔が這い出て来た!


 太い胴体を持ち上げ牙を光らせ……


「キッシャーッ!キシャシャーッ!」


 威嚇と思われる大きな鳴き声を発した!


 たまらず耳を塞ぐオボロ達!


(こいつは……宿蛇!)


(やかましいにゃ!……宿蛇ってやつみたいだにゃ!)


 突起物のある巻き貝ごと這いずる宿蛇!


 と、巻き貝が振動し大小の突起物が全方位で発射された!


 ━━!


「きゃっ!」


 悲鳴を上げたエレナータ!


 ━━肉球脚星(キャスター)


 地面を滑るように高速移動しオボロは━━


 カキン!カキン!


 エレナータに飛んで来る突起物を角錐(つのきり)で跳ね返し盾になるよう前に立つ!


(やばい!間近で見ると……マキちゃんそっくり!)


「だ、大丈夫かにゃ?は、離れてて……下さい……にゃ」


 エレナータを意識し過ぎて多少裏声になってしまったオボロ!


「ありがとうございます!」


(声が……なんか変でしたわね……それにジルファスよりも早く駆け付けてくれた!)


 軽い身のこなしと正義感に心を撃たれたエレナータは戦況を振り返り見ながら奥の木の陰へ移動し……こっそり見届ける。


 ズルズルゆっくり這う宿蛇!


「おーい狼さーん!お嬢さんの護衛だろ?しっかりしてくれよ!」


 剣を構えたままでエレナータの所まで行けなかったジルファスは━━


「くっ!その呼び方やめろっ!……それと……お嬢守ってくれて……ありがとう」


 宿蛇が牙を剥き出してジルファスへ噛み付きに来た!


 脚力で跳ね避ける!


 口から魔法陣を展開しアクアボールを放つ宿蛇!

 アクアボールが腹に直撃し胃液を吐き飛ばされるジルファス!


(巻き貝の所は固くて攻撃は通らねーよな)


 オーラを溜め……剣先から飛ばすジルファス!


飛爪尖(ひそうせん)!」


 宿蛇の鱗をかすめ削った!


(やっぱ剣だと威力弱いな……)


 ━━「んにゃー!」


 オボロが真上から角錐を振りかぶり━━思い切り頭部を叩きつける!


 悲鳴を出し巻き貝の中へ後退りし、籠ってしまう!


 宿蛇が大人しくなる……。


 オーラが使えるジルファスに敬意を表しオボロ


「狼さん、やるねぇ」


 不愉快に返事するジルファス


「へっ!そりゃどうも!」


 と、巻き貝が横に回転しこちらへ体当たりして来る!


 両脇に避ける二人!


 回転しながら突起物を飛ばす宿蛇!


 オボロは避け、かわし、角錐で弾く!ジルファスも同様に剣で撃ち落とし篭手で防ぐ!


 エレナータが居た方向を見るオボロ


(とりあえず避難はしてくれたみたいだな)


 これで集中出来ると、角錐を鞘に納め━━


 ━━「肉球砲!」


 肉球の形のオーラを撃つ!


 回転する巻き貝に弾かれ上空へ消えて行く肉球砲!


(あれ?弾かれた……)


 行けると思ったオボロは凹む……。


(あいつもオーラ使えるのか?……まぁ獣人なら当然、か……しかしあれだけのオーラは中々見ねえな)


 驚き、感心するジルファス。


 回転を止め、顔を覗かせている宿蛇は唸り威嚇する!


 剣の柄を両手で握り間合いを詰めるジルファス……。


 オボロは何やらブレインマウスで会話をしている様子……。


『……合図するから……頼んだぞ!』


 オボロは上空へ飛び━━


 両手で二発肉球砲を真下に撃つ!


 土煙が舞い……大きな穴が完成した!


「狼さん!協力してその穴に落すにゃ!」


(何をしようってんだ?)


「中の蛇……引っ張り出すためか?」


「いーや?」


 ……不思議がるジルファス


「なぁ狼さんなら……威嚇得意だろ?」


 確認するオボロ。


「まぁ……それなりに……」


 答えるジルファス。


「穴に落としたら……巻き貝の中に向かってありったけ威嚇して欲しいにゃ!」


「お、おぅ……」


 何をするか未だわからないジルファス……。


(俺のあの威嚇なら問題無いか……)


 オボロは穴と反対側へ移動し始めた!なんとなくジルファスは自分が引き付けるのがベストと考え、間合いを詰めたり左右に動き宿蛇の注意を引く。


 その隙にオボロは岩を踏み台にし━━


 オーラを全身に巡らせ━━


 発射し━━


 高速縦回転し宿蛇へ体当たりする!


丸鋸弾(まるのこだん)!」


 宿蛇はジルファスに気を取られ、巻き貝は横回転していない!突起物を破壊し、前に動いた!


 そしてもう一撃丸鋸弾を食らわすオボロ!さらに動く宿蛇!


 穴までもう少し!


 剣を鞘に納めジルファスがオーラを全身に巡らせ━━


 両手で押し込む!


「ぬぉぉ━━!」


 声を張り全体重を乗せる!


 ドドドド……ドスーン!


 宿蛇が穴に落ち、巻き貝の入り口が上になった!


「頼むにゃっ!」


「耳ぃ塞いどけぇー」


 大きく息を飲み込み━━


「ハウリングテラー」


 巻き貝に顔を突っ込み威嚇するジルファス!その威嚇音は……低音で身体の芯まで衝撃が走る感じであった!


(スコットの雑音歯よりひどいな!)


 堪えるオボロはジルファスと入れ替わるようになり……


『ホノカ!出番だ!』


 ブレインマウスでホノカに知らせた!


『よぉし!任せとけマスター!』


 ジルファスが後方に居るのを確認したオボロは━━


 口を限界まで開け、舌の上に小さなD=D(ディメンション=ドア)を展開した!


 両開きのドアが開き━━


 ホノカが大きく息を吸い込み━━


 炎を吐いた!


「灰になれっ!ファイアブレス!」


 炎は勢い良く巻き貝の中に入り込み……巻き貝の隙間から煙が漏れ出した!


 D=Dを解除し、大きく後退するオボロ……隣にはジルファス。


(こいつ……火を吹いた?)


 信じられないような顔でオボロを見ていたジルファス。


 ━━ピシッ!


 高温で巻き貝に亀裂!


 ピシッピシッ!ビシビシビシ!


 ガラガラ……ガラン……ガラン……。


 硬い巻き貝が大きな破片となり……まる焦げの蛇が現れた!


「良し!駆除完了!」


(身体の感覚も、大丈夫そうだ!)


(この猫獣人…何者だ?)


 そう感じたジルファスは


「あぁ!俺のおかげ、だな!」


 さも自分が手柄を揚げたかの言い方をした。特にそこには触れずオボロは


「手伝ってくれて……ありがとうにゃ!狼さん!」


 と、お礼を伝えたがジルファスには……言い方が小馬鹿にされたように感じ……苛立ってしまう。


 離れた木の後ろから二人の戦いを覗き見していたエレナータは興奮していた。大きな獣との戦闘を間近で見るのは数える程度で、ジルファスと護衛の兵士が小物と戦っているのを見るのが通常であった。


(あの猫の獣人、活き活きと戦っていたように見えます!それに……火を吹くなんて!きっと凄い経験をされているのでしょう!)


 胸元で両手を組み


(なんだか興味が沸いて来ました!……それに……この鼓動……止まらない!)


 ジルファスよりもオボロばかり目で追っていたエレナータ。


 駆除した宿蛇の巻き貝の破片を見つめるオボロ……


(この破片……メルは欲しがるよな……今D=Dを出すわけにもいかないし……)


 オボロを見ているジルファス


「なぁ……猫の獣人さんよ……名前は?」


 サッと振り返り


「オボロ、にゃ」


 ……


「……オボロ、ね……俺はジルファス……狼の獣人さ!」


 ニヤリと笑うオボロは


「うん知っているにゃ!狼さん!」


(こいつ……知ってて俺のことを!)


 苛立ちを消すように拳を強く握るジルファス!


(あのマキちゃんに似た女性……気になる……けど……驚かせちゃったし……メル達も見られたかも知れないし……)


「悩んでても仕方ない」


 ポツリとつぶやき


「じゃ!俺は行く所あるから……さよならにゃ!」


 ジルファスを背にし大きく手を振り歩き出すオボロ。


 ━━「お待ち下さい!」


 簡素なドレスの裾を持ち上げ小走りでこちらへ向かって来たマキ似の女性!


「お、お嬢?」


 振り向くジルファス!


 振り向かずピタリと歩みを止めたオボロ!


(え?まさかの呼び止められた!)


 女性がマキに似てる事を意識し過ぎて動揺するオボロ……。



       【戦歴】


 オボロ・ジルファス

          VS 宿蛇


 ジルファスのハウリングテラーで怯ませ、ホノカのファイアブレスで勝利


 【能力】


 ・ジルファス

 飛爪尖

 ハウリングテラー

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