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第1幕〜VS 自分よりもデカイ奴

 

 腹ごしらえをしたオボロとクロネは寝床の洞窟の裏手の森の中ほどまで来ていた。


 右側に岩壁が連なり、木々が生い茂る。

 昼間でも岩壁で陽が遮られ薄暗い。

 なのでオボロ一人の時はこの付近は嫌っていたのである。


 クロネの歩き方も、慣れてきたようだ。

 段差は、ぴょんと両足で飛び越えてはいるものの、覚えが早く感じ取れる。


 すると━━━

 木々の向こう側が、明るく見える!


 ━━━!!


 右側には少し傾斜のある岩壁。下の方には3ヶ所ほら穴のような箇所。

 岩壁の前は広く、所々深めな窪みが何ヶ所かある。


 窪みを見てオボロは

(落とし穴、か?人為的に感じる………もし人為的な落とし穴のようなものなら、近くに人間が生活しているのかも!)

 かすかな希望を抱く。


 その間クロネは、優雅に広場の上をゆったりと旋回していた。


 次にオボロは、3ヶ所のほら穴を覗きに行く。

 クロネも降りてきてオボロの隣を歩く。

 どのほら穴を見ても、オボロが入れるくらいの入り口。クロネの体型では、とても入れそうもない。


 最初に右のほら穴……

 静かに覗き込むオボロ。

 ……

(何も無さそう)


 次に真ん中のほら穴……

 小石を奥へ投げ込む……

 コーン…コンコン……

 ……

(特に反応無し)


 最後に左のほら穴……

 オボロは潜入を試みる……


 ━━━!!

 オボロの耳と口元の髭が、ピクリと反応した!!!


(何か居る!)

「クロネ!下がって!」落ち着きながら言う。


 奥の方から物音!

 ゴロゴロゴロゴロー!


 ━━!

 外へ逃げるオボロ!

(間に合わないか!)

 転がる球体に弾かれるオボロ!

 クロネも避けるが、触れる程度にぶつかり態勢を崩す!


 ほら穴から出てきたのは……


 伸びれば2メートルほどあろうか……灰色のダンゴ虫。顔の部分には赤褐色の歪な2本の牙、と言うかハサミ!

 顔はクワガタムシ、身体はダンゴ虫のような生物が、こちらを出迎えた!


「ここへ来て、ボスキャラですかにゃ?」オボロはつぶやく。

(俺よりも数倍デカイ奴じゃねぇか!クロネとほぼ同じな図体。今の実力でなんとかできるか?)焦るオボロ。


(ここで逃げたら、クロネにみっともないとこ見せてしまう!)変なプライドが出たオボロ。


 クロネは嘴を前に出し、臨戦態勢。


 一方ダンゴ虫は、長い触覚をぴょこぴょこ動かして居る。


 触覚が止まった!!


 ハサミを閉じ、数え切れないほどの脚を動かしオボロに突進してくる!!


 ━━━!


(狙いは俺の方か?)


 オボロは横に避ける!


 ダンゴ虫は岩壁を這い上がり、ぐるりと身体を丸ませ、そのままオボロ目掛けて転がって来る!


(やっぱ狙いは俺だな!)


 ダンゴ虫は体型の小さなオボロを獲物に決めたようだ!


 またも、回転するダンゴ虫に弾かれ、吹っ飛ぶオボロ!


 オボロの前に羽を広げ、鳴き声を荒げるクロネ!


 一瞬怯むダンゴ虫。


 オボロは

「ありがとう、クロネ!」


 クロネは、なんとかしてオボロの力になりたいと考えていた。


 飛び立つクロネ!

 ダンゴ虫の上方を左右へ飛び、羽をばたつかせ叩いたり、脚のかぎ爪で、蹴ったりしている!


 オボロは

(クロネ、俺のために……よし!横から俺も反撃だ!)

 と、爪をチャキン!と出す!


 身体に流れるこのエネルギーのようなもの。完全ではないがなんとか使える!


 エネルギーを身体全体に巡らせる!身体が軽く熱くなる!


 ダッシュでダンゴ虫の真横へ行き爪で切りかかる!


「裂空爪!!!!!」


 ちょっと傷が着く程度であった………


(硬い鎧みたいだな……それならば)


 両手を広げ、両肘を目一杯後ろへ引き……ぷにぷにの肉球を押し当てる!!


「にゃーーー!肉・球・掌・底ぃぃーー!!!」


 ━━ヒット!!


 ダンゴ虫はよろめき倒れ込む!!!


「よし!これなら、戦える!」少し自信がつくオボロ。


 ……エネルギーを巡らせると五感が冴えるように思えた!


 ダンゴ虫は態勢を整え、ほら穴へ入っていく。


(逃げたのか?)

 オボロは思う。


 クロネは、傷ついた羽を嘴で突付いていた。


 ゴロゴロゴロゴロ!

 ほら穴から、回転して突進してきた!!


 クロネの方へ来る!!


 オボロはクロネの前に立ちはだかり回転するダンゴ虫を両手で受け止め回転を止める!!!

 後ろ足を踏ん張って!!

 肉球は、摩擦でただれそう。


「クロネ!下がって!!」叫ぶオボロ。


 クロネは、少し離れてバサバサと浮遊した。


「にゃにゃにゃーーー!!!」


 ダンゴ虫と、相撲状態になっている。

 丸まったダンゴ虫。

 両手で受け止めてるオボロ。


 ……


 ……


「んにゃ!にゃにゃーー!!」


 オボロの身体が熱くなりうっすらと光る!エネルギーが漏れ出てるような。


 ダンゴ虫が少し持ち上がる!


「フン、ニャーーー!!!」


 オボロは力一杯、左側へ押し倒す!!


 土煙とともに、ダンゴ虫が転がる!


 クロネは目を見張った!

(あの小さな身体で……見事だし、やはり……勇敢!)


 息が上がるオボロ!

「はぁ……はぁ……にゃー……」


 ダンゴ虫は丸まったのを解除し、触覚を動かす。


 ━━━!


 ハサミを大きく広げて、オボロ目掛けて襲ってくる!!


「くっ!!?」


 よろめきながらも、ギリギリかわすオボロ!


 突進が止まらず森へ突っ込むダンゴ虫!ハサミとその体格で木々が倒れて下敷きになってしまう!


「ハハ!……不利になって頭に血が登ったか?」

 軽く笑うオボロ。


 ━━━!


 木々に下敷きになってるのを見て、何かを思いつくオボロ。


「クロネ!」呼ぶオボロ。


 隣に来るクロネに、小声で話すオボロ。


「………。………。………頼んだぞ!」


 クロネは首を縦に振り広場上空へ飛び立つ。


(後は、あいつが、どう動くか……。クロネが飛んでるから、必ず俺に突っ込んで来るはず!)

 そう考えるオボロ。


 下敷きになったダンゴ虫はようやく動き出す。

 触覚を動かす。


 狙い通り!


 ━━━!


 オボロ目掛けて襲ってくる!


 必死に避けるオボロ!

 ハサミに多少切られるも、それでも避け続ける!


 なおも、息が上がってるオボロ。


 チラチラ上空を見ながら避け続ける。


 ━━━!


「クロネーーー!」叫ぶオボロ!


 クロネは上空から鋭いかぎ爪を広げながら、ダンゴ虫の長い身体の真ん中あたり目掛けて滑空!!


 そこへ真上から両足で押さえ込み、かぎ爪を地面にガッチリ刺す!

「クカカー!!」

 クロネの雄叫び!


 クロネの押さえ込みで、身動きが、頭の方だけになるダンゴ虫!


「そのまま踏ん張ってくれ!」

 オボロは、ダンゴ虫の頭に自身の顔ほどの石を両手で持ち上げ、一気に振り当てる!!


 ━━━脳震盪!!


 効いたようだ!


 ヘナヘナと倒れ込むダンゴ虫!


 その頭にオボロは乗った!


 チャキンと爪を出し、長い触覚を2本刈り取った!


「まずは……ここ!」


「んでーー」


 片方のハサミを両手で持ち、へし折ろうとするオボロ!


「んぐぐぐー!!」


(エネルギー巡らせないと厳しいか?)


 エネルギーを巡らせ、集中するオボロ!


「んにゃにゃにゃーー!!」


 メキメキ……ミシミシ……


 折れそうな音!


 クロネは押さえつけながらも、オボロの戦いを見入っている。


「うぉぉぉりゃぁぁ!!」


 ━━━ベキベキ……ベキベキ!


 へし折った!!


 その勢いで後ろに転がるオボロ。


「悪いが使わせてもらうよ〜!」と、オボロ。


 へし折ったハサミを地面に刺し立ち上がり、クロネの方を見る!


「クロネ!ごめん!背中借りるね!」

 言いながらオボロは、クロネの背中を駆け上る。


 息が上がって、しんどい……。


(これで、とどめを!)


 へし折ったハサミを振り上げて、ダンゴ虫の身体の鎧の繋ぎ目を見定めるオボロ!


「ふぅーー。行くぞ!」

 深く深呼吸して飛び上がるオボロ!


 ダンゴ虫は、まだ気絶している様子。


「んにゃらー!!!」

 (俺の居た国の先人の知恵だ!)

 掛け声と共に鎧の繋ぎ目に、

 両手で頑張って握りしめるハサミが食い込む!!


 そう、古来、鎧相手には、鎧の隙間に剣を差し込み殺傷する戦い方があった!

 それを利用したのだ!


 ぶちゅぶちゅ……。


「んおぉぉぉ!!」


 飛び上がり、今度は両足で体重をかけて押し込む!!


 ぶちぶちぶちぶち……。


 緑色の体液が飛び散りながら溢れ出る………。


 倒したようだ!


「はぁはぁはぁ……」

 オボロは、転がる落ち、天を仰ぐように地面に倒れる……。


(空が……綺麗、だ)


 初めてのデカイ獲物に勝利、である!


「ガッガー!ガッガー!」

 鳴きながらクロネはオボロの近くへ。嘴をオボロの頬にスリスリする。


「俺たちの、勝ち、だな!」

 嘴に手を当て、微笑むオボロ。


 ………


 しばらく身体を休め、死骸を持ち帰ろうとする。が、運べそうもないので、へし折ったハサミで顔の方の半分ほどを切り取った。


 クロネは、両足で掴み先に寝床へ飛び立った。


 オボロは、多少よろめきながらもゆっくり歩いて森の中へ入っていく………。


 その一部始終を、岩壁の上でひっそりと観察していた二匹の猿だちが、そこにいた……。


       【戦歴】


 オボロ・クロネVSダンゴクワガタ(勝手にオボロ命名)


 クロネの押さえ込みと、オボロの鎧通しによる貫通撃により、勝利。



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