第5幕〜入浴
入浴シーンは各自のご想像を混ぜてお読み下さい。
グーメラのお礼の夕食をお腹いっぱい食べ終えたオボロ達は部屋へ戻る。アミュはそのままベッドへ直行し寝る態勢。オボロとクロネはソファーでくつろぐ……。メルが出せ出せと言ってくるだろうと、先にD=Dを出しておくオボロ。当然のようにドアが開きメルとホノカが部屋を飛び回る。クロネも満足したのか少しうとうとしている。
(クロネもアミュも初めての依頼で気疲れしたかな?……ちょっとずつで良いから町に慣れて、人間の生活に溶け込めてくれたら……嬉しいな)
「……マスター?」
メルに呼ばれ振り向くオボロ━━!
タオルを身体に巻いたメルとホノカは、ちょっとオボロから距離を取りしおらしく浮いていた!
(なぜそんな格好に?)
両足を擦りながらメル
「あのね……マスター埃臭いから……身体洗おう?」
人差し指をちょんちょん合わせながらホノカ
「埃臭いマスターは……埃ごと燃やすからな!」
自分の匂いを急いで嗅ぐオボロ……。
確かに埃っぽい……。今日は依頼もしたし、外に居た時間も長かった。
ふらぁとオボロの前に来るメルはロングヘアーの毛先をくりんくりんと、指先でいじりながら
「それに……私達も水浴びしたいし……」
と、小さな両手でオボロの手を引くメルとホノカ……そしてお風呂場へ……。
まだソファーでうとうとしているクロネ……。
シーサーペントの鱗の篭手、脛当てを外し……ハーフパンツを脱ぎ……人間で言えば全裸な状態のオボロ。
浴槽から湯気が立っていた!
(おっ?水じゃなくて……お湯!)
メルとホノカを見るオボロ。
二人とも片手を前に出し、湯船へ誘う。
手を湯船へ浸し熱さを確認……。
数回掛け湯をしたオボロの身体は体毛がペタンとなり、引き締まった内側の筋肉が露わになる。
片脚を入れ……浴槽の縁を持ち……
静かに湯船へ浸かる……。
ざぶーん……。
浴槽から溢れるお湯……思わず━━
「んんーあぁ……ふぅ……」
セリーヌの工房が最後だったので久しぶりのお風呂!
(やっぱりお風呂……良いね)
メルもホノカもタオルを巻いたまま湯船に浸かり、湯船に身を委ねた。
大人しくしてるメルとホノカにオボロは
「お風呂……二人が準備してくれたの?」
お湯が気持ち良いのか無言で親指を立て返事をするホノカ。メルは浴槽の縁に両腕を枕にするように顎を乗せ
「宿屋に来た時から考えたのぉ。水浴びも良いけどぉ……お風呂も体験してみたかったのぉ」
逆上せそうな勢いのメルを、浴槽の縁に座らせたオボロ
「ありがとうな……メル……ホノカ」
優雅に湯船に浮かぶホノカは、両足をばたつかせメルにお湯の飛沫を飛ばし……クスクス笑う。浴槽の縁に座ってるメルも負けじと、両足をばたつかせホノカにやり返す。
メルとホノカの懲りない小競り合いが始まる……。
メル「せっかくのお風呂なんだから……静かにしなさいよぉ!」
ホノカ「へーんだ!お湯を熱くしたのは俺だぜ?」
メル「それがどうしたってのよぉ!」
そっぽを向き口笛を吹くホノカ。
メル「ぐぬぬっ!マスターの前だからって……」
縁から濡れた羽で重たそうに飛び、ホノカ近くの湯船に飛び込むメル!
ジャバーン!
体積の小さなメルにしては、良い音を鳴らし湯船へ沈んでいった!その飛沫がホノカの顔に直撃!ゲホゲホむせるホノカ!
湯船から飛び出し……お風呂場内で追いかけっ子する二人……。
平和な争いだなぁと、湯船に浸り微笑ましく見守るオボロ。
……
……!
ソファーでうとうとしていたクロネが、お風呂場から聞こえるメルとホノカの声で目を覚ます……。
(あら?オボロ様も……居ないわ……)
ソファーから立ち上がり……声のする方へ、聞き耳を立てる……。
メルとホノカがまた言い争ってる内容の会話……。
(水浴びして、はしゃいでるのかしらね?)
━━!
もう一度、集中し聞き耳を立てるクロネ!
━━!
その会話の中に『マスター』と言う単語が登場していた!
(え?もしかして……水浴びしてるのは、メルとホノカ、そして━━)
クロネの細い目が見開く!
「オボロ様ぁ?」
声に出てしまうクロネ!
(私がうとうとしている間に……メルとホノカに……誘惑でもされたのでしょうか?……まさか、それとも……オボロ様から……二人を誘って?……メルとホノカだって……立派なメスですわ!ホムンクルスとは言え……その様な感情があってもおかしくありませんわ!)
かぎ爪をカツカツと鳴らしその場を細かく歩き回り、あらぬ妄想を繰り広げるクロネ……。
お風呂場からは、時折オボロとメル、ホノカの笑い声も聞こえる……。
……
……
見開いていたクロネの目が……段々と元の鋭い細い目に戻って行く……。
(メルとホノカに任せておけませんわ!)
色々な事を決意したのか、静かにお風呂場へ向うクロネ……。
お風呂手前の小部屋……。
オボロ達の話し声と、カーテンの隙間から湯気が立ち込める……。
肘上まである両腕の手袋をサッと引っ張り……床へ落とす……。
羽扇子も床にそっと置き……。
チャイナドレス風の服をスルリと脱ぎ……そのまま床へ……。
かぎ爪のある長い脚を折り畳み……下着を脱ぎ……床へ……。
(なんと言って入って行けば良いかしら?)
……
大きく深呼吸するクロネ!
カーテンに手をかけ……
(参ります!)
勢い良く開けた!
━━シャッ!
仁王立ちのクロネ!
色々と丸見えである!
「私がお背中を洗いますわ!」
湯船に使っているオボロ達━━!
「あークロネ!」
慌てて両手で目を隠すオボロ!
湯船からメルとホノカも飛び出し、手際よく大きなタオルをクロネに巻き付ける!
クロネ「?」
(何かおかしい事をしたのでしょうか?水浴びなら……衣服は不要なはず……)
メルが下から現れ、クロネの耳元へ行き小声で
「ちょっとクロネ?せめてタオルくらい巻きなさいよっ!一人ならともかく……マスターが居るんだよ!」
そう耳打ちされ、メルとホノカを見るクロネ……。
二人ともタオルを巻き、隠す所は隠していた……。
ぴちゃん……ぴちゃん……
天井の水滴が悲しく床に落ちる……。
オボロはまだ両手で目を隠している……。
メルとホノカは……少し呆れた顔……。
……
━━!
ようやく気が付くクロネ!
狭い浴室で羽を広げ……巻かれたタオルごとさらに前面を隠しオボロ達に背を向けたクロネ!
(……セリーヌの所では一人でしたから……てっきり……複数だと……そう言うルールなのかしら?)
━━!
(オボロ様は……オス!目的のために大事なことを忘れてましたわ!)
顔全体が湯気が出そうなほど赤くなり……
「す、すいません!私とした事が……急に押しかけて……その……すいませんオボロ様……」
背を向けたまま、平謝りをするクロネ。
両手で目を隠したままオボロ。
「あー、浴槽狭いから、さ……お風呂は一人ずつでぇ……良いんじゃないかな?」
━━ぴちゃーん!
━━ぴちゃーん!
「うん!せっかく来てくれたんだから……背中洗ってもらおうかな……クロネに」
まだ目を隠しているオボロ。
(無碍に返すのは可哀想……)
「えー?クロネにだけなのぉ?」
「俺にも洗わせろよマスター?」
と、メルとホノカの訴え!
「あーわかった!わかった!三人に洗ってもらうことにするよ」
今宵は、素敵なメス達に背中を洗ってもらったオボロ……。
アミュはベッドで良く眠っていた……。
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