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第5幕〜財政管理

 

 ベンチで三つ目兎の串焼きを食べるオボロ達。やはり下味してあると肉も美味しく香ばしい!味わうオボロ、クロネ、そしてばくばく食べるアミュは……味わって無いのが伺えた。夕方までまだ時間あるため宿屋へ一旦戻る。


 ━━宿屋グーグー


 戻って来たオボロ達。

 カウンターに小さなアミュくらいな女の子がカヌスと会話しながら座って食事をしていた。振り向く女の子は、オボロ達を見て━━


「お、お客さん?お母さん?」


 怖いのか少しおどおどしていた。カヌスは、最近泊まってくれてるお客さんと説明し、娘のカーラを紹介してくれた。

 カウンターの椅子からひょこりと降り、丁寧にお辞儀をするカーラ。


「……カーラです!……えっと……ご、ご宿……泊……あ、ありがとう……ございます!」


 宿屋の娘らしく、慣れない言葉ではあるが挨拶してくれた。

 オボロは食べ残った三つ目兎の串焼きを袋から一本取り出し


「ちょっと冷めてるけど、どうぞ」


 と、カーラに手渡した。


 と、何やら下から視線が!


 ━━!


 アミュがオボロの後ろに隠れハーフパンツの裾を掴み、顔を見上げ小声で……


「お兄ちゃんっ……アミュの串焼き……」


 どうやら串焼きが一本減り、独占欲が出てしまったようだ。


 軋む階段を登り部屋へ……。


 部屋へ入るなりアミュが膨れっ面でオボロに抗議する!


「アミュの串焼きだよっ!他の子に上げちゃ……めっ!」


 ……


(本気怒りでは無さそうだな……)


 そう考えるオボロは、また今度余分に買おうなと、なだめる。その言葉に機嫌を戻すアミュ。こんなので騙されてはまだまだねと後ろで思うクロネ。


 D=D(ディメンション=ドア)を出し、首から下げた募金箱ほどの鞄からメルとホノカを出す。二人とも背伸びをし羽を広げ部屋をゆったり飛び回る。


「あの中狭過ぎだぜ!」


「何よっ!あんたが入りたいって言うから二体ぶんにしたのに文句言わないでよねっ!」


「はいはい!すいませんねぇ」


 メルとホノカのどうでも良い争いが始まる……。


 テーブルに残した三つ目兎の串焼きを広げたオボロ。アミュが飛びつき食べ始める……。食事中は大人しいアミュ……。

 ホノカが刺してある肉を一つ引っ張り、両手に持ち食べ始めた!


 ……


「おぉぉぉ!美味いよ!マスター!」


 ガツガツ食べるホノカは美味しさに興奮してるのか……身体から煙が立ち昇っていた!メルも何気にホノカと同じように両手に持ちテーブルに座り食べていた!


「うんうん!味付けしてあると美味しいね!」


 メルとホノカを見てオボロは


(ん?ホムンクルスって味覚あるのか?そもそも水と空気で問題無いってセリーヌさん言ってたが……)


 謎が深まるホムンクルス……と言うかメルとホノカ。


 食べ終わったメルは


「ねぇマスター?皆にも食べさせても良い?」


 オボロはチラッとアミュを見る。視線に気付くアミュは肉を頬張りながら


「ふうん!メルだぢなら……びぃよぉ」


 それを受けメルとホノカは一本丸々D=Dへ仲良く運んで行った。


(チビちゃん達にも分けてあげるのか……)


 仲間思いなのか……共有したいのかは定かでは無いが……。


 満足したのかアミュはベッドに寝転がりお昼寝する……。お腹が膨れ……コルセット状に見せかけた四本の脚がだらしなく広がってしまっていた!

 オボロはアミュをベッドに正しく寝かせ毛布を掛ける。それを見ていたクロネは


「オボロ様?……その……私には良く理解出来ないのですが……この人型の容姿は……やはり目立ってしまうのでしょうか?」


 ━━!


 毛布を掛けていた中腰のオボロ


(あっ!クロネ気付いてしまった?)


 ヒヤッとするオボロはソファーに座り、残った三つ目兎の串焼きを手に取り食べる。


(二人の人型のモデルは恐らく俺の、爽太の記憶の中からだと思う……服装に関しても……メルに任せてしまってたからな………)


 ようやく口を開くオボロ


「クロネも、アミュも、もちろん俺もだ!今日、町を見て歩き改めて感じたよ……。クロネも人間の言動や行動が少しはわかったろ?優しく手を差し伸べる人もいれば、興味本位で集団で押し掛ける。怖いと思えば距離を取られる……」


 今日を思い返し、頷くクロネ。


「目立つぶん……それに恥じぬように振る舞えば良し!こんな姿だから、恐れられ距離を取られ当然なんだよ!でも俺達は唸るだけの獣じゃない!人間と同じように会話出来る!……対話と態度!」


(難しい事言ったかも……)


 話終わって感じていたオボロはクロネを見る……。眉間に皺を寄せ険しい顔をしていた。


 と、クロネ


「オボロ様と出逢って、ずっとオボロ様を見てきた私としては……何となくは理解出来ましたわ。オボロ様が恥を欠かぬよう務めますわ!」


 少し考え方が違うように感じたオボロであったが……前向きなクロネの言葉を否定するのは勿体無いと思い、ゆっくり頷き肯定した。


 ……各々夕方まで部屋で過ごす。


 クロネは羽の手入れをしている。抜け落ちた黒い羽をホノカが集める。

 オボロはソファーに寝転がり、メルと話をする。


 顔の周りを鬱陶しいくらい飛び回りメル


「マスター聞いてる?これから旅するんだから、色々必要でしょ?そのためにお金を稼いで貰わないと……マスターのサポート出来なくなっちゃうよ?」


(確かに必要だが……)


「ほら、夕方ギルド行けばシーサーペントの鱗が換金されてるから、まずはそこからだよ」


 メルに伝えるオボロ。


 お腹に座るメル。


「それはそうなんだけどぉー」


 何か言いたげなメルは、お腹のもふもふを撫でながら


「こっちも……沢山ホムンクルス達が居て……大変なんだよぉ」


 ━━!


「え?ちょっとメル!D=Dの中どうなってる?」


 ついに切り出すオボロ!


 ふわりと浮かぶメル


「んー口で説明するの難しいなぁ……。今はチビちゃんと先輩ホムンクルス達が他の子の育成したり、区画整理したり、片付けしたり、私がホムンクルス生成したり……それで材料とかぁ……素材とかぁ……必要?」


 最後だけ半疑問系なメル……。


(育成やら片付けは理解出来るが……区画整理って……何をするつもりなんだ?)


「そ、そうか……メルなりに俺達のために頑張ってくれてるんだな……助かるよ!ありがとうメル!……で、今何体居るんだ?」


 そこも気になるオボロ。


 指折り数えているメル……。


「んー……私とホノカ抜かして……二十体!」


(あれ?かなり増えてるな)


「そ、そんなに必要?」


 質問するオボロ。


「えーと……師匠がね……沢山居た方が一体一体役割りが減るから楽だろうって!それに私も楽になるし!」


 何か楽観的に言ってはいるが……沢山居て統率が取れるのか心配なオボロ……。


(確かにセリーヌさんの言うことは間違いではないが……)


 夕方━━


 陽も落ちて来たので、アミュをお越し、メル達をD=Dへ戻しギルドへ向うことに。軋む階段を降り夕飯は戻ったらとお願いして宿を後にする。


 広場では散歩する人、数人で談笑してる人、カップルと思われる男女……様々な人間模様が見られる。串焼きの店主が恐る恐るオボロに声を掛けて来た。


「あのぉ……その……昼間は沢山買ってもらいありがとうございました!おかげさまで本日は完売しました!」


 と、ペコリと頭を下げ他の露店よりも早く店終いの準備をする店主。話しかけられるとは思っていなかったオボロは、少し戸惑いつつも、また買う事を告げ手を振った。


 ギルド━━


 オボロを先頭に入る。

 数名の冒険者と……療養中のスコットも居た!

 真っ直ぐ受け付けのミティーラの所へ!またもやギルド長の部屋へ指示され向うオボロ。


 トスクールの待つ部屋のドアをノックし入る。


 ソファーに座ると目の前には……テーブルに布がかけられ何か置かれていた!


 トスクールも対面のソファーへ座り……


「わざわざご足労すいませんねオボロさん。換金は滞りなく済みました」


 と、布をハラリと取った━━


 ━━!


 小高い丘のように積まれた銀貨!


(どのくらいの額だ?)


「ご説明しますと……鱗の枚数は五十枚ありまして、状態が良かったので一枚辺り銀貨三枚と相場よりも高く買い取らせてもらいました。それと、大量なので換金手数料が発生する規則となってまして……それが銀貨五枚となります……。オボロさんの換金された額は……銀貨百四十五枚となりました」


 ━━!


(手数料引かれても……問題無いな)


「あ、ありがとうございます」


 用意しておいた袋に詰めるオボロの手が少し震えていた!


(大金……大金……大金……)


 その様子を見ているトスクール。


「それなりに大金ですので強盗にご注意下さい……と言ってもお強いですから……返り討ちですかねぇ?ハッハッハ!」


 お世辞を言われたオボロは苦笑いしながら袋に銀貨を詰める。


 何か言われる前にギルドを後にし、宿屋で食事をし、クロネとアミュを町の外で狩りをさせに行く。


 ━━宿屋グーグー


 月明かりの中、宿屋へ戻るオボロ達。

 グーメラと娘のカーラが一階の掃除をしていた。威勢良くおかえりと声をかけられ、ただいまと返すオボロ。


(まだ小さいのに家の手伝いしてるのかな……だとしたら偉いな)


 掃除をしてるカーラを見て思うオボロ。


 部屋へ入ると━━


『はいはい!マスター!出してー』


 メルからブレインマウスが!


 D=Dを出すとメルがひゅんっと飛び出す!


「マスター!はい!」


 と、大きく両手を広げるメルに……何事だと、オボロ……。


 抱きかかえる袋をジィっと見つめるメル!


 ━━!


「ん?これ?大金?」


 袋をギュッと抱きしめるオボロ!


 少し呆れ顔でため息まで漏らすメル


「はぁぁ……えーと……マスターにその大金……管理、出・来・ま・す・か?」


(うっ!す、鋭いところ攻めるな!メルめっ!)


「んーどこに保管ようかなぁ……とは考えてます」


 と、弱々しくオボロ。


「だーかーらー!ここっ!」


 D=Dをピシッと指差すメル


 ━━!


「あー!……あーね!銀貨も物質だもんね!」


 なんか納得してしまったオボロ。


 両腕を組みメル


「そっ!お金は私が預かるわ!マスターは必要になったら言ってね!いつでも出すから!」


 と、銀貨の詰まった袋を半ば横取りされてしまうオボロ!

 重たそうにふらふら飛びD=Dへ戻るメル。


 ━━パタン


 静かにD=Dの扉が閉まる……。


(メルには……わかっていたのだろうな……マキちゃんと結婚してからは……俺はお小遣い制だったし……)


 切なく天井を見上げるオボロ。メルの強引なやり取りを、ただ見届けたクロネとアミュ。


 本日、メル銀行が設立されました……。


♢私とキャットふぁーざぁーを見つけて下さりありがとうございます!

♢不定期更新ですが、ブックマークや応援、コメントよろしくお願い申し上げます!

      ⇩⇩⇩⇩⇩

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