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悪党の復讐  作者: 島津宏村
誕生と暗躍
5/22

計画と準備1

「首相だと?」


「ああ。そうだ。首相を消す。」


俺はこの組織をみくびっていた。まさかここまでの目標があるとは。


「君が驚くのもわかる。しかしやらなければいけない。君には現在の状況を教えよう。

昨今の日本の政治家はある団体が牛耳ってる。

勿論、シンジケートもその団体の壊滅に取り組んだ。

団体の名は『A』。

Aは日本だけではなく、世界の国の政治家を取り込もうとしている。

彼らの目的は『A』つまり、全ての原点に立つこと。

これだけ聞けば君もシンジケートと手を組めばいいと思うだろう。

ただ、話はそう簡単にはいかない。Aの目的はある宗教と深い関わりがある。

その宗教の名は『源』。

人間をもとの姿に戻すと主張している。

もとの姿というのは、農耕にいそしみ、神を敬うことらしい。」


「それなら我らが神の意向にも沿ってるんじゃないか?」


「ただ、この話には続きがある。

さっき話したのはAの表向きの主張だ。

エージェントが持ち帰った情報によると、Aの目標はAの幹部に近い人物や、いわゆるAよりの政治家はある一つの場所に集まって、優雅な暮らしをする。

勿論、近代化された最新の都市で。

これが奴らの計画だ。

今の政治家や富豪は金は持っているものの、マスコミや警察に取り締まられることを嫌う。

だから何も言われず、好き放題できる島に住めるとなれば喜んで参加するわけだ。」


「その島ってのはどこなんだ?」

どうやらAはシンジケートの敵と見なされているようだ。


「本州一帯だ。」


「まさか」


「そのまさかだ。Aは日本を狙ってる。

だから奴らは政治に目を付け、影響や圧力を強めていた。

そしてとうとう議員全員がAの派閥になってしまった。

我々の目標を達成するためには政治の力が不可欠だ。そこで」


俺は割り込んで言う。


「首相を殺してAに揺さぶりをかける。」


「その通り。だがそれは大きな目標だ。まだすることがある。」


それは俺が考えている。


「ああ。そうだ。首相を殺して、どうなるか。代わりの政治家がやってくるだけだ。となればどうするか。お前たちはどうしたかった?」


「それは…君の仕事だ。」


「つまり、お前たちは何も考えていないということだな。どうやって揺さぶるかは俺に任せろ。」


今の俺には何でもできる。勿論政治家の揺さぶりも。


「今さらだが、あんたの名前は?」


「本当に今さらだな。私のことはrと読んでくれ。」


「分かった。ところでrお前には何ができるんだ?ある程度の知識はあるようだが。」


「ばれてしまったか。まあいい。その通りだ。私は根っからの軍人でね。最近は訓練をしてスパイとしても活動できるが、戦略を立てるほどの知恵がない。」


「計画を立てて相手に勝ちたいなら、まず自らの戦力を知っておく必要がある。」


「なら教えよう。

シンジケートのメンバーにはそれぞれアルファベットで名前がつけられている戦闘員が、p~zの11人非戦闘員がa~oの15人。

民間の軍事企業などとの契約があるから、人数は気にしなくていい。

ところで、君はどうするつもりだね」


俺は中学生の時に感動したことがあった。

それが1次方程式だ。

電車に轢かれる前ならこんなことは思い付かなかっただろう。

だが今は違う。

神によって俺の頭の効率は上がった。

1次方程式は適当な数を両辺にかけたり、わったり、足したり、引いたりすることでXの解が面白いように単純にでてくることがある。

相手の揺さぶり方も同様だ。

一目見ただけでは崩せないような方程式。

だが、一つの鍵となる数をいれることでいとも簡単に崩れ落ちる。

すなわち揺さぶるポイントは多くなくていい。

鍵となる人物をピンポイントで狙い、組織全体を崩す。

これが俺のやり方だ。


「ケーキ食うか?」


「食べる。作ったのか?」


「いいや、買ってきたのさ。」

唐突な誘いだが背に腹は変えられない。ここに来て、甘いものは食べてなかったからなおさら食べたいものだ。


うまかった。今までろくなものを食べてなかったことも関係しているのか、高級レストランに行った気分になった。


ついでだ。

「ケーキも買っとくか。」

友達にも食わせてやろう。


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