サンドスネークと神官
ティスはティラノを抱えて声のする方へ移動した。
「きゃぁぁぁーーーーーーっ!誰かいないのっ!お願いっ・・・誰でもいいからたすけてぇぇ~~」
何かに追われているのだろう。
声ははっきりと助けを呼んでいるのが分かった。
この辺りだと、間違いなくサンドスネークだ。
とにかく急がないとっ!
助けを呼んでいるのは間違いなかったので、ティスは移動速度を上げる為に走り出した。
「はぁっ、はぁっ。あの丘を越えたら見えるかなっ」
ティスは正面に見える丘の向こうまで行って状況を確認しようとした。
「よしっ!ここまで来れば・・・・・・・あれっ」
丘まで上がって、その先を確認しようとしたら、足元が滑り出した。
「やばっ・・・やばい。足元が・・・・って、間に合わないっ!!」
丘の先はなだらかではあるが崖になっていたが、踏み込んだ先の足元が崩れ出した。
ズザザザザザァァァ・・・・・・・・。
「うわっ・・うわっ・・・・うわぁぁぁぁぁ・・・・・・・・っ!!」
ティスはティラノを抱えたままかなり滑り落ちた。
「戻れるかなっ」
緩やかだったので、大きな怪我はなかったが、一応上まで戻れるか確認してみたが、
「いやぁぁ・・・・戻れないなっ。・・・って、それよりも、向こうはっ!!」
ティスは助けの声がした方を慌てて確認した。
「ねぇ、あなたっ。助けに来てくれたの!?ありがとうっ。でも、ちょっと急いでいるんだけどねっ。何か魔法は使えないのおっ!」
助けを呼んでいた女の子は全速力で走りながら、こちらに向かって大声で叫んできた。
「えっ・・・ちょっと、まってっ・・・って、こっち来ちゃだめーーーーーーーーっ!!」
ティスは少し痛みのあるお尻をさすりながら女の子は何から逃げているのかを確認する為に顔を上げた。
何と3匹のサンドスネークから追われていて、そのまま、ティスの方に向かって来ていた。
ティスは急いで立ちあがると、右側に走り出した。
「こっちへ・・・・こっちへ向かって来てくださーーーーーいっ」
走りながら大声で、女の子を右側に誘導した。
ティスは走りながら女の子と誘導して走り出したが、サンドスネークは変わらずに追いかけて来ていた。
「ごめんねぇーーー。ちょっと、あれっ、何とかしたいんだけど、あなた魔法は使えるの?」
「ゴメン、今は使えない・・・・・と、思う。危ないっ、避けてっ!!」
ドゴォーーンッ!
ジャンプして攻撃してきたサンドスネークが丁度自分達が走っている真ん中に直撃してきた。
二人はかろうじて2手に分かれてサンドスネークの攻撃をかわすと、そのまま合流した。
「ちょっとっ、あなた。魔法も使えないのに助けに来たの!?馬鹿じゃないっ!!」
「いやっ、状況を確認しようとしたら、崖から落ちちゃって・・・・って、そんなことどうでもいいよ。所で、君は・・・・・」
「それより、魔法が使えないなら、君がその手に抱えているモンスターをあの蛇どもに投げつければいいんじゃないの?」
女の子はフードをの中からこちらを向いてティスの抱えているティラノを見てそう言った。
「何言っているんだよ。そんなの無理に決まっているじゃないか?」
「そう・・・でも、こうして走っているだけじゃあ。解決方法がないわ。それに、向かっている方向はこちらで合ってるの!?」
「ごめん。分からない」
「ちょっとっ、わからないって何よ!?あなたが、右へって言ったんじゃない!」
少し怒り気味に返事をして来た。
「いや・・・・だってっ、君が蛇を連れて、僕の方に走ってきたから、とにかく右か左に逃げなきゃって思ったんだよっ。そもそも、何で、僕の方に来たんだよ」
「そんなの決まっているでしょ。か弱い女の子がモンスターから逃げていて、そこに助けに来てくれた人がいればそちらに行くでしょ」
「あっ、そっちに蛇飛んできてるよっ」
ドゴォーーンッ!
「あなたっ、何、悠長に言っているのよ。もっと、早く教えなさいよっ」
「教えたのに何で怒られるんだよ」
「えっ、何か言ったっ!?」
「いいや、別にっ・・・・」
「それより、どうするのこの状況っ!!」
このまま、走っていても長くはもたない。
わかってる。
ティラノは魔法を使えないみたいだし・・・。
あっ、そうだ・・・。
「ティラノっ、何でもいいから、何か魔法で攻撃できないかっ」
キャオッ!
ティラノに魔法を促すと、両サイドにウインドカッターが発動していた。
ウインドスラッシャーはやっぱり無理か・・・。
「ねえっ、そのモンスターは魔法を使えるのっ!!」
声をかけられると同時に魔法が放たれた。
2つの魔法は風を切りながら、サンドスネークに向かって行った。
先頭を走っていた2体に直撃していたが、ウインドカッターでは牽制程度にしかならなかった。
しかし、少し距離が取れたので隣で走っている女の子に尋ねてみた。
「それより、君の方は何か魔法はないの?」
「そんなの見てわかるでしょ!?私は神官なの。バフや回復は出来るけど、攻撃は大してできないのよ」
回復!?
もしかして、MPの回復も出来たりするのかな!?
「ねえっ。MPの回復もできるの?」
「できるわ。でも、あまり得意じゃないの。それで、あなたにかければいいの!?」
「違うよ。ティラノにかけてもらえるかな?」
「ティラノって、そのモンスターの事。いいけど、大丈夫なの?」
「うん。大丈夫だよ。急いでくれる?」
「わかったわ。聖なる奇跡をここにっ!キュア・マジック」
神官が魔法と唱えるとティラノの体が青白くて薄い光に包まれた。
「これで回復したの!?」
「少し待ってもらえる。回復には若干の時間がかかるの。光が消えたら大丈夫よ」
少し待ってみると、本当にティラノをまとっていた光が消えた。
「これで、MP回復出来たんだよな。それなら、ティラノあいつらを倒してくれ」
「ちょっと、そんなちっこいモンスターがサンドスネークを倒せるの!?さっきみたいな魔法じゃ、何発撃っても意味ないわよ」
「まあ、見てなよ。ティラノ、よしやれっ!」
ティラノの両サイドにウインドスラッシャーが生成された。
そして、生成が終わると先ほどと同じ様にウインドスラッシャーは融合して先頭のサンドスネークの首を切り落とした。
「そのモンスターすごいわねっ」
「モンスターじゃないよ。ティラノだよ」
「はいはい、ティラノね。そしたら、次もお願い」
「ティラノもう一度できるか!」
きゃおっ~
ティラノは力なく鳴き声を上げた。
「どうしたの!?その・・・ティラノ!?だっけ。鳴き声を上げてるみたいだけど・・・・」
「MP全回復で3発はいけるはずなんだけど・・・・」
「あっ・・・私、全回復は無理なの・・・」
「それじゃあ・・・残り2体は・・・・・・」
ドゴォーーンッ!
ドゴォーーンッ!
1体をやられてサンドスネークたちは怒りをたぎらせているようで、2体連続で飛んできた。
何とかかわすことが出来たが、せっかく出来た距離も一気に詰め寄られてしまった。
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