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急成長

登場人物

【ティス】  Dランク冒険者、『最強のモブ』という二つ名を持つ、才能無しの戦士。引退を考えた岩トカゲの討伐時、不思議な夢でもらった卵を育てる事になる。

【ティラノ】 ティスがもらった卵から出て来た10cm位の小さな二足歩行のトカゲ!?生まれて四日後に突然、むくむくと急成長して15cm位になる。

 ティスは手をティラノの側に出して、


「ティラノ。干し肉だぞ」


 と声をかけて、手の平の上にティラノを誘導してみた。

 目の前で干し肉をちらつかせたので、ティラノは気づかずにトコトコと歩いて、


 キャオッ・・・キャオッ・・・


 と鳴きながら、手のひらの上にのってきた。


 ティラノは手のひらの上にのっていることに気づかないようだ。

 夢中で手のひらの上でも干し肉をもぐもぐと食べていた。


「ははっ、手のひらにのっても怖がらないんだな」


 ティスは小さくちぎった干し肉を続けて食べさせながら近くでまじまじと見てみた。


 大きな頭に長くて太い尻尾これだけ見れば、岩トカゲに似てなくもない。

 しかし、尻尾に合わせて大きな足で立っているのだ。

 尻尾でバランスを取っているようにも見える。

 トコトコと歩いている時には、尻尾が横にヒョコヒョコと可愛く揺れていた。

 手は小さくてあまり役に立たない感じではあったが、鋭そうな爪がついていた。


「それにしても可愛いなぁ。夢中で干し肉を食べているのを見ていると本当に癒されるよ」


 そんなティラノを近くで見ていたら目が合った。

 クリクリとしてまあるい目がぱちくりぱちくりとしていた。


 純粋か・・・。

 そう言えば俺にも純粋に冒険を楽しんでいた頃があった。

 ティラノを見ていると何か大切なことを思い出させてくれるような気になってくる。


 そう思うと自然とティラノから目を離せなくなってしまっていた。


 そのまま見続けていると、


 キャオッ・・・キャオッ・・・


 と鳴いて、頭をカクカクと動かしながら干し肉を探していた。


 ベットの上に降ろして、干し肉を口の前に出すと嬉しそうに食べ続けた。

 可愛くて、面白いのでどんどん干し肉を上げると、口からポロっと干し肉を落としてしまった。

 どうしたのかと思って、よく見てみると、

 目玉がトロッとして、まぶたが半分くらい閉じていた。

 そして、フラフラとするとぽてっと倒れた。


「ティラノ・・・大丈夫か!?どうしたんだ!?」


 突然倒れたので、どうしたのかと思って呼びかけても返事がなくて、

 ティスはおろおろしていた。


「ティラノ・・・・目を開けてよ」


 心配で声をかけても、そのまま、目をつむって動かない。

 近くで見てみると、呼吸はしているようだった。


 スゥー・・スゥー・・・と寝息を立てていた。


「なんだ!眠っているのだけだったのか。心配したぞ」


 干し肉を食べすぎてどうにかなってしまったのかと思ったが普通に眠っているだけだった。

 突然、眠ったので少しびっくりしてしまった。


 干し肉を片付けようと思って目を向けると、ティラノは自分の体と同じくらいの量を食べていた。


「それにしても、すごい量を食べるんだな。あと、のどが渇くだろうから水も準備しておかないとな」


 こうして、ティスはゴロゴロとしながら、3日間ティラノに干し肉をあげながら過ごした。


 4日目の朝に不思議な現象が起きたのだ。


 朝、何時ものように干し肉と深皿に水を入れて、ティラノの朝ごはんを準備していた。


「そろそろ起きるかな。スゥー・・スゥー・・と寝息を立てて眠っている姿も可愛いなぁ」


 優しく声を掛けると、ティラノの体が急に大きくなり始めた。


「何・・・何が起きているんだ!?」


 ティスは自分が寝ぼけているのかと思って、ほっぺたをつねってみた。


「夢じゃない。こんな成長の仕方って変だ。どうなってるんだ・・・」


 不思議に思ってみていたが、成長はすぐに止まった。

 手のひらに軽々と乗るくらいの大きさから、手のひらに丁度乗るくらいの大きさになっていた。


 キャオッ・・・キャオッ・・・


 ティラノは目を覚ますと、何も変わらないとでも言うように鳴き声を上げた。

 ティスは何時ものように干し肉を口元にもっていくと、変わらずにおいしそうに食べていた。


「・・・でも、やっぱりかわいさは変わらないな。いいぞ、こうなったら、ティラノがどれくらい大きくなるのか、逆に楽しみになってきた・・・」


 ティスは新たな楽しみが増えて嬉しくなった。


 そう言えば、冒険者に成りたての頃は毎日が楽しかった。


 仲間と連携をどうやってとるか、回復は度のタイミングか・・・。

 そんなことを、冒険から帰ってきたら、あれやこれやと話し込んでいた。


「あいつらも、Bランク冒険者で今は王都で活躍しているんだよな。すごいな。俺に才能が少しでもあれば、今頃一緒に王都にいたのかな」


 ふと、思い出したことがあった。

 そう言えば、ミレイはどうしているのかな。


 ミレイは最初のパーティの神官だった。

 幼さの残る少女だったが、将来はきっと美人に、いや、かわいい系かな・・・になるだろうと思っていた。

 ダメな俺にいつも回復魔法をかけてくれて、ヘトヘトになっていた。


 それなのに、そんな俺にいつも優しく声をかけてくれていた。


「ティス君は頑張っているから、大丈夫だよ。戦士として先頭に立つのは大変だから、私が頑張って回復してあげるよ。ねっ」


 いつも、そう言って優しい笑顔で励ましてくれていた。


 しかし、俺が解雇されたときは、何か言いたそうだったが、結局何も言わないままだった・・・。

 ミレイはそのままイケメンで才能もあった魔法師のシャナトと一緒に新しい戦士をパーティにいれた。

 そして、別れの挨拶もなしに、次の町に向かったのが最後の記憶だ。


「ミレイは今頃シャナトと恋に落ちているんだろうな・・・」

読んでいただきありがとうございます。


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