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ランクアップ試験③ vsカラリア

「お前ら、準備の出来ているやつから誰でもいいかかってこい」


 ガイドロスにとってDランク冒険者の相手など大したことないと考えていた。


 Aランク上位の冒険者であるガイドロスは以前にドラゴンを前にしたことがある。


 その時の緊張感と較べると、Cランク間近とはいえ4名全員が同時にかかってきても簡単にさばける自信があった。


 ガイドロスにはある思惑もあった。


「試験官、まずは俺から始めさせてもらうわ。もしも俺があんたを倒した際にはギルマスに飛び級の話を頼みますよ」


 そして予想通り、そんなガイドロスの余裕な態度に真っ先に反応したのはタイランドだった。


 見た目も中身も全て生意気な戦士のこいつだろうと思ったが楽勝で反応してきたな。

 たしか、火魔法を使えるんだったよな。


「ああ、俺を倒せたらな」


 タイランドは右手にロングソードを構えて、左手は丸盾のバックルを装備した。


 そして、怒声を上げながらガイドロスに向かって突撃してきた。


 おいおい、上位戦士である俺に正面から突撃って、脳みそ筋肉にもほどがあるぞ。

 まあ、軽くさばいてやるが・・。


 タイランドは走りながら最上段に長剣を構えるとガイドロスの真正面に切り下ろした。


 しかし、その長剣はわずかに届かず空をきって剣先は地面にぶつかろうとしていた。


 ほう、脳みそ筋肉かとおもったらなかなか対人戦は得意なようだな。


 タイランドの剣は地面にぶつからずに、手首を返し、体を1回転ひねらせて斬撃の勢いと体の回転力を加えた一撃をガイドロスに追撃した。


 ガギィィンッ!!


「なにっ!!」


 タイランドはまさか今の所見殺しの技がはじかれると思っていなかったようで、驚きつつも反動を殺すようにバックステップを行い距離をとった。


「ほう、今の攻撃はなかなかよかったぞ。だが、休んでる暇はないぞ。どんどんかかってこい」


「チィッ!!」


 タイランドはこれまで今の所見殺しの技で、格上の相手であっても大ダメージを与えて、


 そこから有利に戦いを進める事を行って来た。


 しかし、ここまで見事にはじかれた上、さらに余裕を見せられたのは初めてだった。


「くそぉぉ、ビビらせるつもりで、俺がビビッてどうするんだぁぁ」


 自分に気合を入れる為に怒声を上げて、ガイドロスに切りかかった。


 なんだ大技に頼った単調な攻撃をするだけかと思ったが、意外に堅実な動きもできるんだな。

 上から、下から、けさ切りに突きとなかなか剣も走っている。

 飛び級を狙う為の訓練を積んできたんだな。

 まあ、若いが故、少し疲れが見えたのかな。

 動きが単調になってきた。


 ガイドロスは分析しながらタイランドの攻撃を全て受け切っていた。


 タイランドは息も切れ切れで剣筋も単調になってきていた。


 これだけの剣筋を取れるやつがこれくらいで疲れを見せることはないか。

 そう言えば、炎魔法はまだ使ってなかったな。

 そろそろか・・・。


 タイランドは大振りのけさ切りで長剣を地面にぶつけていかにも最後の攻撃に失敗したと見せかけていた。


 そうして、バックルをひっくり返すと、左手から初級炎魔法をガイドロスに向けて放った。


「かかったなっ!!」


 タイランドはバックルをひっくり返すと同時に長剣を持つ手首を返していた。


 そして、炎魔法をガイドロスに向けて放ち、相手が怯んだ隙に長剣を下から上に向けて一気に切り上げるのだ。


 これは、所見殺しの技が避けられた後の2つ目の所見殺しの技だった。


 タイランドはこれまでこの2段階の所見殺しの技をよけられたことはなかったので、絶対の自信を持っていた。


「終わりだよ」


 タイランドは長剣を切り上げることは出来なかった。それだけでなく、冷たいものがこれ以上動いたら次はないぞとでも言わんばかりに頬に触れていた。


 タイランドはどうして長剣が動かなかったのかを視線だけで確認すると、自分の長剣はガイドロスの足で踏まれていてびくともしなかった。


「炎は・・・・」


「悪いな。炎耐性もちだからな。初級程度なら目くらましにもならないんだよ。よし、次だ」


 タイランドは茫然としていたが、周囲の観客たちは拍手喝采で喜んでいた。


「次は私が行かさせてもらいます。炎耐性持ちということは水耐性は無いと考えていいでしょうか?」


「そうだな。さすがにお前たち魔法師の使う水魔法に関する耐性は持ち合わないよ。もちろん、風耐性もないぞ」


 2番目に名乗りを上げたのは、カラリアだった。


 カラリアは事前に情報を集めていたのをガイドロスは知っていたので、隠す必要はないと思って正直に答えた。


 通常、スキルや耐性は秘匿するものだが、Aクラス上位にもなれば初級~中級程度の耐性やメインのスキルなどはすでに知れ渡ってしまっているのだ。


 これはきちんと情報収集をしたカラリアだったからガイドロスは答えたが、情報収集を怠ったタイランドが聞いても伝えるつもりはなかった。


「わかりました。では尋常に勝負!!」


 カラリアの体が揺らめいたかと思うと、バックステップでガイドロスから距離をとった。


「身体強化魔法か!魔法師ならではの戦い方だな」


 通常Cランク冒険者で戦士が行うバックステップでは5~6m程度だが、カラリアはその倍の10m近く距離をとった。


 おそらく身体強化魔法だけでなく、風魔法でその距離を増加させたのだろう。

 なかなか魔法の使い方もうまいな。

 でなければ、俺を倒すと豪語するはずがないか。

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