Cランク冒険者ランクアップ試験 受験者
冒険者ギルドでは冒険者評価としてランク分けをしている。
Dランク冒険者までは一般冒険者と呼ばれている。
ある程度の強さと依頼達成状況で評価され、才能がなくてもそれなりに冒険者として活動する事が出来る。
それに対してCランク冒険者はベテラン冒険者とも呼ばれる。
パーティを組んで高ランクのモンスターの討伐や指名依頼が来るのもこのランクからになる。
その為、Cランク冒険者になるには、特別に冒険者ギルドが準備した筆記試験と実技試験が課されるのだ。
筆記試験は薬草関連、罠関連、適切な防具の選別から簡易マッピング、それに、報告書の作成など多岐にわたる。
しかし、Cランク冒険者のランクアップ試験ではそれほど専門的な内容は含まれない。
それは、Cランク冒険者は筆記試験よりも圧倒的に実技試験が求められる。
理由は簡単だ。
実際の依頼の中には命がけの状況を乗り越えないといけない場面が何度も出てくる。
冒険者ギルドは死なせる為にランク判定をするわけではなくて、生き残る為にランク判定を行っているということを命題としているからだ。
その為、試験内容は簡単だ。
ただ試験官と模擬戦闘を行うだけである。
受付嬢はティスの最近の討伐達成に関してティラノの功績であるということは、毎回の達成報告の際に確認されていて、今回、それを踏まえてのランクアップとなった。
それに、ギルドマスターはティラノの鑑定持ちの能力にもそれなりの評価を下していたので、今回その両方の条件でランクアップを認めたという裏もあった。
「そうですね。僕自身ではきっとランクアップになれるような強さはないですもんね・・・」
ティスは突然、特別な力が湧いて出ることはないということを嫌ッというほどわかっていたので、はっきりと言われたことに対して、なんとなく清々しさを感じることが出来た。
それに、テイマーということはティラノの強さが認められたという風に考えられるので、ティラノをこよなく愛するティスにとって気持ちを切り替えるよい機会になった。
「職業をビーストテイマーに変更します。それからCランクへのランプアップ試験を受けたいと思います」
「それは良かったです。冒険者ギルドでもCランク冒険者が増えるというのはありがたいですからね。それに、ティラノちゃんは可愛いからきっとみんなの人気者になるかもしれませんね。ふふふっ」
確かにティラノが有名になれば、人気者になる可能性は高いよな。
フフフッ・・・・それにしても、僕がCランク冒険者かぁ~。
ティスはもう冒険者ランクが上がらないと思っていたところに降ってわいた昇格の話に、顔がにやけてしょうがなかった。
「ティスさん。そんなにうれしいですか?顔がにやけたり、素になったりとしていて変ですよ。はははっ」
「そんなに変ですかね。でも、そうかもしれません。今日は嬉しい事ばかりで、もうニヤニヤが止まりませんよ」
「でも、ティスさんとティラノちゃんはこれからもっと、もっと、もぉ~と強くなるかもしれませんね。楽しみですよ。この後のランクアップも絶対にここのギルドで行ってくださいよ」
ランクアップはどこでも出来るから関係ないはずなのになんでだろう。
まあ、いいか。
「それから、ランクアップ試験は3日後の午前中から合同で開始しますので、早めにギルドまで来てくださいね。今すでに3人のランクアップ試験がきまっているので、ティスさんで4人目ですね」
俺一人かと思っていたけど、他にもランクアップする冒険者がいるんだ!?
「僕の他に3人もランクアップする冒険者の人たちがいるんですね。どんな冒険者なんですか?」
「ごめんなさいねぇ。今は名前と職業しかわからないのよ。ティスさんも出場するからいいわよね。見せてあげる」
受付嬢はこそっと受験者名簿を見せてくれた。
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Cランク冒険者ランクアップ試験 受験者
レイリス 女性 魔法師
カライア 女性 魔法師
タランド 男性 戦士
ティス 男性 ビーストテイマー
受験場 ギルド会館裏の大型モンスター解体所
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女性2人で共に魔法師で、男性が1人で戦士と書かれてあった。
へぇ~女性が2人もいるんだ。
俺はティラノがいなければ、決して届かなかっただろう。
そんなCランク冒険者に女性でもなれるなんて・・・・。
きっと、才能があるんだろうなぁ。
ぶるぶる・・・いけないよ。
俺もこの試験に合格してCランク冒険者に成るんだ。
才能なんか気にしたらだめだ。
俺にはこんなに強いのに、こんなに可愛いティラノがいる。
それだけで十分だろ。
どんな人がランクアップ試験を受けるのか分からない。
でも、誰かと競うための試験じゃないから気にしてもしょうがない。
俺は俺の戦い方で・・・・・・って、違った!!
俺はティラノに頑張ってもらってCランクのビーストテイマーになるんだ。
「ありがとうございました。では、3日後に大型モンスター解体所があるこのギルド会館の裏に来ればいいんですね」
「そうですよ。頑張って下さいね。それから、ティラノちゃんもね!」
受付嬢は側にいたティラノにも頑張るように声をかけて来た。
声を掛けられたティラノはキャオッキャオッと鳴き声を上げて応えていた。
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