昇格
アイリスに出会ってから数日が経ったある日。
あの日以降、ティラノの魔法攻撃の精度が向上している気がするんだ。
まだ、数日だから正確には判らないけど、今の所1度も魔法を外していない。
おかげで銀貨の稼ぎも順調に伸びているのはいいんだけど・・・。
「ティラノ!すごいじゃないか。魔法の精度がいきなり向上しているじゃないか・・・どうしたんだ!?」
キャオッキャオッ・・・
褒められてうれしかったのだろう。
いつもの鳴き声を何度も上げて喜んでいた。
しかも鳴き声だけでなく、短い尻尾もバタンバタンと上下に振っていた。
喜んでいる姿はいつ見ても可愛いな。
ティラノの頭を撫でながら可愛い可愛いと連呼していた。
そんなティラノを見ながらどうして突然魔法の精度が上がったのかを考えてみた。
間違いなく猫獣人のアイリスに出会ってからだろう。
アイリスが触った後にあの光でティラノが包まれていた。
関係があるとすれば、あれに違いない。
ティラノの体が光ったことは、これまで3回あった。
初めは鑑定士さんの水晶に触れた時だ。
2回目はサリナに抱っこされて、3回目はアイリスだった。
最初の鑑定で、特殊能力は『急成長』『可愛い』『変身』だった。
それが、2回目の鑑定では『可愛い』『変身』『鑑定』『風魔法:中級』となり、『鑑定』と『風魔法:中級』がいきなり増えていた。
最初と2回目の鑑定の間に起こったピカーは鑑定士さんの水晶とサリナの抱っこのあとだったと思う。
もちろん、ティラノの成長でもともと持っていた能力が開花したと考えられなくもないが、成長の期間を考えるとやっぱりピカーが関係していると思われる。
そして、今回アイリスのピカーの後に、魔法の精度がいきなり向上した。
これも、ティラノの急成長が関係していると言えなくもないが、やはり不自然さはぬぐえない。
「なあ、ティラノ。お前の能力は何なんだよ。なんかスゲーな。才能のなかった俺にはほんとっ!うらやましい限りだよ」
キャオッ
声を掛けるときっちりと返事を返してくれるティラノには本当にホッとさせられる。
そんなところもティラノの可愛さのもとなんだろうと思えてくる。
まあ、俺の頭で考えても、よく判らないからあんまり考えても仕方ないか・・・。
こんな事を考えている間に、ティラノは岩トカゲをガジガジと噛みつきで倒していた。
そして、何時ものように岩トカゲを食べていた。
「ティラノ聞いてくれるかい。これで今月の収入は銀貨にしてなんと50枚を超えるんだ。この1ヶ月間は岩トカゲの討伐を頑張ってきたよな。それに、こんなに収入の余裕も出てきたことだし、そろそろ他のモンスターの討伐に向かうのもいいかもって思っているんだ」
ティラノを見ながら今後について話してみた。
キャオッキャオッと鳴き声を上げるがきっとティラノはわかっていないだろう。
それでも喜んで聞いてくれて、何の意図すらなく見つめてくるティラノは可愛くて仕方がないとデレデレしていた。
ティラノの食事が終了したことを確認して、一度冒険者ギルドに戻って今日の依頼達成の報告に向かうことにした。
◆◇
今日は少し早いけど報告だけ済ませたら、後は部屋でゆっくりしようか、ティラノ。
これからのことをゆっくり考えてもいいしな。
ティスはそんなことを考えながら、冒険者ギルドのドアを開けて中に入った。
夕方まではだいぶ時間があるからだろう。
ギルド内にいる冒険者達は少なかった。
もちろん、サリナもいないので安心して依頼達成の報告ができる。
カウンターの向こうでは受付の女性がゆったりと会話を楽しんでいた。
邪魔するのも悪いかと思ったが、気にしてもしょうがないので声をかけようと、
カウンターに近づいた。
「あーーティスさん。丁度良かったです」
カウンターの前で、受付に岩トカゲ討伐の依頼達成の報告をしようとしたら、いつもの受付嬢から呼び止められた。
「はいっ・・・えっと、僕に何かありましたか?」
冒険者ギルドでは何も心当たりはな・・・・くもないが・・・。
それでも、ここ最近は特に呼び止められることもなく淡々と毎日を過ごしてきたはずだ。
「ティスさん。おめでとうございます」
「えっ・・・あっ・・・なんですか?急に、そんなお祝いされることなんで何もないですけど・・・」
僕的には今日で銀貨50枚達成記録になるけど、
そんなことをギルドの職員が把握しているはずがない。
そうすると、本当に心当たりはなかった。
「実はですね。前回の岩トカゲの討伐報告と最近の岩トカゲの素材の買い取り時の状態の良好さが評価されまして、ティスさんはCランク冒険者への昇格が認められたんですよ。よかったですね」
「・・・・昇格・・・!!」
ティスはもはや聞くことはないと思っていた『昇格』という言葉を聞いてその場で立ちすくんでいた。
12歳で冒険者を目指して村を出た。
シャナト達とパーティを組んで高ランク冒険者を夢見ていた。
しかし、才能のない現実を叩きつけられて、気がつけば『最強のモブ』といわれ、
冒険者ギルド内での存在は壁の一部と同じような扱いだった。
そんな僕が昇格する。
目の前にいる受付嬢から、そんなような言葉をかけられた。
・・・・あれっ、聞き間違えか!?
「あのぉ~、今、僕が昇格する・・・みたいな言葉をかけられたんですが人違いですか?」
「あははっ、何を言っているんですか?ティスさん。昇格ですよ。間違いありません。Cランク冒険者に昇格します。まあ、正確には昇格出来るになりますが・・・知っていますよね?昇格するにはランクアップ試験を受けないといけないこと。でも、ティスさんとティラノちゃんなら問題なさそうですけどね」
「ああっ、はい。ランクアップ試験の事は知っていますが・・・。僕がそんな・・・ランクアップなんて・・・してもいいですか!?」
この1ヶ月は毎日ティラノを強くする事と大量に食べる食事の為に岩トカゲの討伐に行っていた。
だけど、僕自身が倒したわけではないので、それほど強くなっているわけではなかった。
「そう言えば、ティスさんの職業は戦士でしたね。ですが、ギルドマスターより職業変更した方がいいと言われているんですよ。それでCランク冒険者になる時の職業はテイマーになりますが、どうしますか?戦士のままでも大丈夫ですが、それだとランクアップ試験を乗り切れないかもしれないですよね・・・」
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