食事量
初めて風魔法でウインドカッターのような・・・ウインドカッターよりも強力にみえたが・・・魔法を使用してから、10日が過ぎた。
遠距離で攻撃できるためティラノはたいしたダメージを受けずに戦いを行えるようになった。
しかし、風魔法を使えるのは1日1回が限界のようで、毎日もう1発打てるのかたずねても、
キャオッ・・
と元気なく返事をするだけで、無理なようだった。
それでもこの10日間は毎日岩トカゲを討伐に来ていて、
1日1匹仕留めて帰るといった簡単な討伐を繰り返していた。
しかも、風魔法1発で倒せる為、傷の少ない状態での岩トカゲの素材はかなり高額で引き取ってもらった。
いいことづくめだった。
ただ、もう少し欲を言えば、命中精度が悪いということだ。
1日1発の魔法なのに2日に1度は外してしまう。
魔法を外すとティラノはこちらを向いて、少し悲しそうな顔で、
キャオッ・・
と小さく鳴き声を上げるのだ。
残念な思いとその悲しそうな顔がこれまた哀愁を漂わせて可愛く思える。
「魔法がだめなら、ガジガジいったれぇーーー」とティラノを応援する。
すると、一気にティラノの顔に生気がよみがえり、ガジガジと岩トカゲを倒してくるのだ。
いつもと変わらずにお尻をフリフリして走って行く姿も何とも言えない。
その後は、もちろん解体を俺が行って、肉はティラノが美味しそうに食べていた。
あの可愛い姿で肉をガジガジ食べる姿は、何度見ても他の人には見せられないなぁとつい思ってしまう。
それよりも、この10日間で銀貨をなんと14枚も稼ぐことが出来た。
たったの10日間でだ。
これまで、1ヶ月でようやく銀貨10枚にギリギリ到達するかどうかといった状況が突然一変した。
たったの10日間でこれだけ稼ぐことが出来たことになんだか信じられないような感覚で、
今だに夢を見ているんじゃないかと思ってしまう。
「ティラノ、お前は凄いな。こんなに稼げるようになったのも、全てお前のおかげだよ。でも、こんなに稼いでも、俺どうやってお金を使ったらいいかわかんないんだが・・・・」
貧乏な・・・といっても、銀貨10枚あれば、それなりに普通の生活が出来ていた。
贅沢な生活が出来ない程度だった。
しかし、12歳から村を出てがむしゃらに戦ってがんばってきた。
そして、稼いだ費用はポーション代や武器、それに武器の修理などでほとんどを消費してきた過去がある。
それに比べると、武器の消費も減って、銀貨を10枚前後稼ぐ生活は普通だ。
まあ、お金はあって困るものではないというからな、
先々必要になる時が来るかもしれないから、使い道が分からなくてもとりあえず稼いでおくか。
今日もティラノと一緒に岩トカゲの狩りに来ている。
風魔法は1日に1発が限度なので、風魔法で岩トカゲを倒した後は、俺がヘイトを稼いで、その隙にティラノが攻撃を加えて倒すのが、いまでは普通の戦い方となってる。
さらに10日間が過ぎた。
俺たちは順調に銀貨を稼いでいる。
最近では、岩トカゲの討伐がもう日課のようになってきている。
朝起きて、冒険者ギルドで討伐依頼を受け付けに依頼する。
そして、ティラノと一緒に岩トカゲを倒す。
最近では少し命中精度も上がり、風魔法が外れるのも3回に1回くらいに減っている。
順調すぎて怖い位だ。
ティラノにとって岩トカゲはもう無理しなくても倒せる位に強くなっている・・・みたいだ。
「ティラノ、お前は強くなっているよ。間違いなくな。もしかしたら、すでに俺よりも強いんじゃないのか?」
キャオッ・・!?
変わらずに可愛く鳴き声を上げた。
「そうなんだよ。強くなっているのに、その可愛さが変わらないのはなぜなんだ。それに、体の大きさも全然変わらないんだよなぁ。普通は体が大きくなって、それに合わせて強くなるんじゃないのか!?」
キャオッ
やっぱり返事も可愛い。
つぶらな目をパチクリパチクリさせながら、ガジガジと甘噛みしてくる。
最近、頭を撫でてあげると、犬のように気持ちよさそうにしているので、しばしば、頭をなでなでしてあげる。
すると、ティラノもガジガジと甘噛みしながら、キャオッキャオッと鳴き声を上げるのだ。
「まあ、可愛いからいいんだけどな」
そう言えば、違うところがあった。
それは、食事量だ。
岩トカゲは何匹倒しても、討伐報酬は変わらない。
だから、風魔法で倒した後は、ティラノの食事として好きなだけガジガジさせている。
最近は、この岩トカゲ5匹とペロッと平らげてしまうのだ。
あの小さな体のどこに入って行くのだろう!?
不思議だ!?
そして、ティラノが5匹目の岩トカゲを食べ終わった所で、水を飲ませた。
ついでに、血だらけの顔を水で洗って綺麗にして休憩していると、遠くから自分を呼んでいる声が聞こえて来た。
声の主に聞き覚えはあったが、こんな岩トカゲの生息地であるロックキャニオンで会うことは今までなかった。
声の主はいいんだが、嫌なのはその取り巻き達だ。
冒険者ギルドでも出来るだけ、合わないように気をつけていた。
そういえば、最近は冒険者ギルドでその姿を見なかったなぁと思いながら声のした方に顔を向けた。
「ねぇ~、そこにいるのはティスさんじゃないの!?」
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