ギルドマスター
「ちょっと待っててもらっていいか」
鑑定士さんはギルドマスターの部屋の前でそう告げると、中に入って行った。
ここはそれほど大きな町ではないので、
冒険者ギルドは2階建ての建物だった。
1階には受付があり、冒険者向けの依頼が掲示され、
討伐した小型のモンスターや採取した植物や鉱物の買い取りなどが行われていた。
そして、2階は高ランク冒険者や領主に貴族など、
なかなか一般の民と接点のない人たちとギルドマスターが交渉をする応接室、
それと、何かトラブルが発生した時に方針を決定したりする為の会議室が設けられていた。
そして俺は応接室の前でまたされていた。
「ティラノ。お前はもしかして問題児なのか?」
キャオッ!?
「ははっ、そんなとぼけた顔も可愛いお前がそんな分けないよな。それにしても、どうして、突然、連れてこられたんだろう」
しばらく待っていると、応接室のドアが相手、中から鑑定士さんが出て来た。
「すまない。待たせたな。ギルマスが待っているから入ってくれ」
「はっはい。・・・いくぞティラノ」
ティラノに声をかけて、一緒に入って行った。
戦闘を重ねることで、最近では俺の言っている言葉もかなり理解できるようになっていた。
ティラノ自体はキャオッとしか話せないけど・・・。
普段ギルドマスターを見ることなど全くなかったDランク冒険者のティスであったが、
正面に立ってにっこりと笑顔を向けている男はきっとギルドマスターに違いないと思った。
正面の男は片方の目に大きな傷があり、筋肉質な体を見せつけるような皮鎧をまとっていた。
その皮鎧は、なんとなくぼわっと光っているようにも見えたことから、
もしかすると、あれは、魔法の鎧なのかもしれない
さすがギルドマスター、使用しているものも違いすぎるなどど考えていた。
「初めまして、君がティス君で、その可愛らしいリザードみたいなのが!?・・・とにかく、それが例の従魔なんだな」
返事をしようとしたら、横から鑑定士さんが口を挟んできた。
「はい、その従魔で間違いはありません。そして、その従魔からはあり得ない鑑定結果が出たのです」
「たしか、【鑑定】を持っているんだったな」
「そうなんです。この従魔はモンスターにしてスキル【鑑定】を取得しているのです。確かにまだまだ、鑑定のレベルは低いですが・・・」
はいぃぃぃ・・・・!?
何をいているんですかぁぁ・・・・あなた達・・・・!?
ティラノが鑑定のスキルを持っているですとぉぉ・・・・。
そんなことあるわけないでしょうもん。
モンスターですよ。
話をすることも出来ないんですよ。
鑑定のスキルを持っていても、意味ないじゃないですかぁぁぁ・・・・!?
いけない、頭の中で少し暴走してしまった。
少し落ち着こう。
とにかくわからないことは聞いてみるしかないしな。
うん、聞いてみよう。
「あの・・・ティラノが鑑定を持っているからといって、どうしてそんなに大事になるんですか?」
「あまり細かい事を言うのも苦手だからな。まあ、あくまで仮定での話になるが、鑑定をもっているモンスターは最終的に魔王になる素質を備えていると言われるんだ」
「ははっはっ、ちょっと待ってください。こんなに可愛いティラノが魔王ですか!?まあ、百歩譲ったとしても勇者でしょう。こんなに可愛いんですよ」
俺が冗談だろうと笑い飛ばそうとしたのに、ギルドマスターは眉間にしわを寄せて、真剣な顔で口を開いた。
「ティス君だったな。こんな事を冗談で話せると思うのか」
ギルドマスターの口調は穏やかだったが、何だかわからない、そして、恐ろしいような、威圧のようなものが、ギルドマスターの体からあふれ出しているように感じた。
突然の事で体が緊張してこわばってしまっていた。
何だ怒られてビビッてしまったのか!?
仮にもDランク冒険者だぞ・・・。
あっ、ティラノもなんだか怖がっているみたいだ。
なんなんだこの人!?
「ギルマス、威圧が漏れていますよ。抑えて下さい」
側にいた鑑定士さんがギルマスに伝えると、ギルマスから出てくる恐怖がすぅーーーと消えていった。
「すまない。俺としたことが・・・」
えぇぇーーーなんだ、威圧って!
やっぱりギルドマスターまでなると、とんでもないものを持っているみたいだ。
それにしても、ちょっと怒っただけで、あんなものを出されたら大変だよ。
「ティス君はその従魔が想定以上に強く感じたことはないか?」
「いいえ、そんなことは・・・・」
そんなことはないと言おうとして、ふっと思い出した。
これまで、俺が説明しているから、相手の弱点を踏まえて戦っているんだと思っていた。
しかし、今のギルドマスターの言葉でもしかしたらという考えが浮かんだ。
「そんなことはない・・か?」
「これまで、ティラノと戦闘訓練をしてきました。ティラノは俺の教えた通りに戦ったから、強くなったと思っていました」
「ということは、違ったんだな」
ギルドマスターは先に結論を述べてきた。
「ティラノは俺の言葉を理解しているものと、思っていたんです。ですが、本の数日間でモンスターが人間の言葉を理解するなんてありえないですよね。そうすると、ギルドマスターの考えている通りです」
「従魔自身が相手の弱点を知っていたということになるというわけだろ」
ギルドマスター当然の事とでも言うように答えを述べて来た。
「ギルドマスターはモンスターがスキル【鑑定】をもつとどうなるか知っていたんですか?」
「いや、知らない」
「「えっ・・・!?」」
側にいた鑑定士さんも、ギルドマスターが流れるように話を進めて来ていたので、俺と同じように考えていたらしく、おそらく俺と同じような顔をしていたように見えた。
読んでいただきありがとうございます。
「面白い」
「続きが読みたい」
そう思っていただけましたら是非ブックマークと評価をお願いします。
評価☆☆☆☆☆↓を少しでも埋めていただければ、物語の続きを書く励みになります。
足跡のつもりで記入していただければ本当にうれしいです。
よろしくお願いします。m(_ _)m




