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はぐれフォレストウルフ③

 おっ、ティラノは眠ったか。


 スゥー・・スゥー・・と気持ちよさそうに寝息を立てている。


 たき火に新しい木をくべながらティラノの様子を見ていた。


 日が暮れてからも、ティラノは熱心に周囲を見回していた。


 自分もパーティメンバーとして活躍でもしているつもりなんだろう。


 だが、そんな姿も可愛く見えてしまうのは、

 だいぶおかしなことになっているような気がする。


 まあ、色々失うものも多い中で、これくらいの楽しみはいいだろう。


 夜もかなり更けてきた。

 夜が明けるのも後半分くらいかな。

 今日は一日歩きづくめで少し疲労もたまっているから、

 うっかり眠ってしまわないように気を張っておかないとな。


 カバンの中で横になっているティラノを撫でながら、

 眠い目をこすって気力で眠気と戦っていた。


 ・・・・・・・


「はっ、だめだ。ついウトウトしていた。こんな所で眠ってはいけない」


 ・・・・・・・


「だめだ、眠っては・・・、だめ・・・だ・・・・」


 今日1日の疲労の積み重ねのせいでティスは眠気を耐えきれずに眠りについてしまっていた。


 ◇◆


 ガルゥゥゥゥッッ・・・!!

 ギャグォオ・・っ!!


 ガルゥゥゥゥッッ・・・ギャンッ・・キャウィィ・・ン!


 ギャグォオ・・


 ギャンッ・・キャウィィ・・ン!


「はっ、なんだ。どうした・・・」


 はぐれフォレストウルフかっ!


 何かが戦っている音に目を覚まして、側にあった剣を探した。


 まだ、目がはっきりとしていなくて、ぼやけた中で3匹のモンスターが戦っていた。


 1匹はすでに横になり倒れていて、白っぽいモンスターはその巨大な尻尾で残りの1匹に止めを刺している状態だった。


 眠い目をこすって、はっきりと見ようとしたが、視界はぼやけたままだった。


 側にあったはずの剣が見つからずに、まだモンスター同士が戦っている間に、視線を外して剣を探した。


 剣は後ろの大岩に立てかけてあった。


 昨夜、風で驚いたときに立てかけていたのを忘れていたようだ。


 そして、もう一度振り向いたときには、2匹のフォレストウルフが横に倒れているだけで、先ほど戦っていた白っぽいモンスターはいなくなっていた。


「はっ、ティラノは・・ティラノっ!」


 キャオッ・・


 大岩の反対側から姿を現すと、倒れているフォレストウルフを足蹴にしていた。


「ティラノ大丈夫か!?」


 キャオッ・・


 声を掛けると、ティラノはこちらを向いてトコトコと歩いて向かって来た。


 俺は駆け寄って、ティラノを抱きかかえると、

「すまない、うっかり眠ってしまった。大丈夫だったか?・・・だが、先ほどの白っぽいモンスターは何だったんだ!?」


 1m近いサイズのフォレストウルフを上回る大きさのモンスターだった。

 はっきりとは見えなかったが、どことなくティラノに見えなくもなかったが、サイズが違いすぎて明らかに違うと感じた。


 ティスの頭に浮かんできたのは、以前岩トカゲの夢に出て来たTレックスだ。


 夢が現実かわからない中で、卵は現実だった。

 だから、もしかすると、あのTレックスという岩トカゲの仲間が不思議な世界から助けに来てくれたのかと思った。


 いやいやいや・・・そんなことはあるはずがない。

 きっとこの森の主か、最近住み着いたよそのモンスターに違いない。

 助けてくれたというよりも、たまたま、抗争の近くにいたと考えるのが妥当だろう。

 運がよかったんだ。


 倒れているフォレストウルフの死体を丁寧に解体して、討伐証明の耳と牙をカバンに収めた。


 あとは、残った肉をたき火であぶってティラノと一緒に食べるだけだ。


「ほらティラノ焼けたぞ。熱いから気をつけて食べるんだぞ」


 ティラノは倍近い大きさのフォレストウルフ2体のほとんどを独りで平らげてしまった。

 俺もお腹いっぱいに食べることが出来て満足だった。

 肉が残れば足りない干し肉の足しにしようと思っていたが、持って帰る肉はひとかけらも残らなかった。


 帰る途中で川によって、汚れた体を綺麗にして、ティラノも初めての川に喜んでじゃぶじゃぶとしていた。

 川から町までは2時間くらいの距離なので、念の為に水筒は満タンにして帰路についた。


 こうして、ティラノと一緒のはぐれフォレストウルフの討伐は完了した。


 今回の件で、ティラノの強さがスライム並みというのはやはり問題があると感じた。

 それは、自分が守れる範囲であれば何とかなるが、そうでない時の心配が半端ない事に気がついた。


 ティラノは可愛いだけじゃだめだ。


 次は可愛くて、強いを目指すことにした。

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