第2話
何故無事なのか?
なんで僕は生きているんだ?
確か......僕は死ぬ事を決めて...... 『命の免罪符』を外そうとし......ああ!!
『命の免罪符』。凄まじく高価だが、即死の攻撃を受けた時にHPギリギリを残して耐える事が出来る使い捨てのアイテム。
ダンジョンが出現して初期の時代、活躍した今は亡き祖父に幼い頃に貰ったマジックアイテムだ。
本来、レベルアップによる回復は微々たるモノでレベルが一気に上がる事は考慮されていなかったため、『すぐプリースト職にヒールして貰え』と言われていたのだ。
しかし、今回は運良く間違った使い方が発動した。
運良く足元に『即死級地雷』、祖父に与えられた『命の免罪符』。密集された『モンスターハウス』による『大量の経験値』でのレベルアップ時の急速回復。
全てが重なり、敵だけが死んでそれを踏んだ僕に経験値が流れ込んだ。
更に経験値は近くにいないと割り振られないため、パーティでもソロ扱いでレベルアップしたのだろう。
試しにステータスを確認してみる。
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探索者:秋谷 周
探索者レベル:〈Lv.115〉
職業:【暗殺者】
称号:【殲滅者】【下剋上】【幸運なる者】
【ドラゴンキラー】【デーモンキラー】【孤高なる者】【超越者】【黒騎士殺し】
STR:105→953
DEX:125→1157
VIT:53→750
INT :66→833
AGI:135→1359
LUK:100→200
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すごい......!!これが100レベル台なのか!!
ネームド討伐の称号もパラメーターに影響与えるって聞くし、間違いなくネームドを三体も倒せた、このステータスは強い!!
あの黒騎士が爆発でHPが予め削られていたとしても、今のステータスならタイマンで勝てるのではないか?
そう思ってしまうほどの数値だ。
僕を罠に突き落とした彼らのレベルは80台だし、間違いなく、今の実力はSランクすら余裕で届く。
そうだな......僕を下にしか見てなかったアイツらにちょっとした仕返しをしてやろう!
そう意気込んで、彼らの元に向かう......前にまずはアイテム回収だ。
爆風に巻き込まれた魔物の死骸はとうに昔消えており、素材がキューブに入った『アイテム』となっている。
それをアイテムボックスに入れるだけだ。
ほかの罠を避けつつ、アイテムを回収する。
『ヘルハウンドの皮』×15 、『ヘルハウンドの角』×7、『ゾンビトロールの血液』×8、『コンドルバットの皮膜』×23、『ケルピーの蹄』×4、といったAランクの素材の巣窟の他、ネームドのアイテムが凄かった。
『赤き竜の逆鱗』×1、『赤き竜の鱗』×23、『赤き竜の爪』×6、『赤き竜の角』×2、『竜血』×32、『赤き竜の肉』×27。『火竜の衣』。
『悪魔の皮』×2、『ロイドの三又槍』。
『魔剣エルディート』
大量の竜素材に装備品は三つもある。試しに『魔剣エルディート』を持ってみる。
黒いが宝石が散りばめられた様にキラキラと光る。漆黒で美しい刀身。それはサラリとどんな魔物でも切ってしまいそうだ。
構えてみるがシーフ職なので、あまりにも長すぎる。
そう思っていると不思議な事が起こった。魔剣の刀身と持ち手が少し小さくなり、スムーズに動かせるようになった。
これがマジックアイテムの武器なのか。
次に『火竜の衣』を広げてみる。赤く鮮やかだが、僕にとっては派手過ぎる。しかし、今の服装は爆風でボロボロなので着るしか無いだろう。
そして『ロイドの三又槍』。三又の槍でこれまた、黒い。しかし凄く鋭利で魔力的なものが感じれる。おそらく、魔法をこれで放てるマジックアイテムでは無いか?
とまあ、良い結果だった。さて、アイツらと合流するか。
モンスターハウスの大部屋からは1本しか通路が無い為、そこを通る。
しかし、そこは行き止まりだった。
あれ?なんでだ?......いや、こういう壁は壊せるって言うし、とりあえず、ロイドの三又槍を試して見よう。
だけど、槍術とか知らないし、とりあえず投げてみよう。
僕は槍を投げるために、一歩下がって全身を使うように投げる。
すると三又の槍から、紫の怪しげに光る三又槍が9本発射される。
そう一本の三又の槍から十本になり、ダンジョンの壁へと刺さる。
『ドゴォオオオン!!』と大きな音を立てて、壁が崩れ落ちる。薄くは無い厚さだが容易に人が一人通れる程に広がる。
「はい?」
シーフ職で火力が無いはずの僕なのにこの威力。驚愕せざるをえなかった。更にその投げたはずのロイドの三又槍はいつの間にか手に戻っており、これまた、驚愕だった。
壊れたダンジョンの先は普通の通路のようで、二つに分かれていた。とりあえず行ってみないと分からないし、適当に右側を進んでいこう。
......あ、最悪だ。目の前にはアイツらとのパーティで避けて通った『ヘルハウンド』の大きな群れだ。血走った目には間違いなく僕が入っている。
ヘルハウンドはあのモンスターハウスにいた大きな黒い犬であり、それが十数体もいる。
僕、不運過ぎないか?
そう思っていると、ヘルハウンドが距離を急激に詰めて、こちらへと迫ってくる。
ロイドの三又槍を軽く投げ、ひよったヘルハウンドを魔剣エルディートで叩き切るか。
そう思って、ロイドの三又槍を投げると十の槍が真っ直ぐ綺麗に飛んでいった。
グサグサとヘルハウンドの体を突き、次のヘルハウンドに刺さる。
そして大体のヘルハウンドは絶命してしまった。
「あれ......?」
真っ直ぐに飛んだロイドの三又槍とこのダンジョンの通路が真っ直ぐ過ぎたため、相性が良すぎたのだろう。ヘルハウンドは残り二体となり、間近に迫ってくる。
なので魔剣を構え、一体目は首、二体目は心臓近くを刺突した。まるでゼリーのように、ヘルハウンドを切り裂き、流血させる。
一体目は即死、二体目は少し暴れたあと、動かなくなり死んだ。
「あれ?これ、アイツらと苦戦してたはずのヘルハウンドだよね?」
そう思ったが、十数体のヘルハウンドの死体がそれを証明している。
まあいいか。
そうして、僕はヘルハウンドの死体から
『ヘルハウンドの皮』×11、『ヘルハウンドの角』×5を回収し、ダンジョンを進んで行く————
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