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マネージャーびんびん物語  作者: よーたん
1/3

第0章「黒の章」

芸能マネージャーの物語のはずなんだけど、ちょっと違った要素の展開が起こる不思議な物語。

ここから全ては始まった。ってお話しです。

「俺は一体どうなるんだ、、、。」

深いため息と共に、真昼のビル街をフラフラと歩く長身の男が居た。

彼の名は「黒神(くろかみ) 星矢(せいや)

大手芸能事務所プラネット・ザ・サン 芸能1部に勤めるタレントのマネージャー。

芸能1部の中でもトップに君臨する大女優「城戸 アテナ(きど あてな)」のマネージャーである彼は社内きっての「敏腕」マネージャー。

頭はキレて計算が高く、交渉術はお手の物。

しかも背も高く、顔も2枚目なので旗から見たら彼も俳優と思われても間違いないくらいの容姿。

そんなパーフェクト・マネージャーの彼は、今、崖っぷちに立たされていた。


数時間前。

彼は都内にある映画館で城戸 アテナ主演の映画「眩しさの中に君が居たから今がある」の完成披露試写会に立ち会っていた。

映画の後、出演者によるトークショーで彼が崖っぷちに立つハメとなる事件は起きるのだった。

今回の映画は全ての芸能事務所が、あらゆるベテランを1名づつ出演させるといったルールの基で撮影された超話題映画。

予算も通常の映画に比べ、3倍と噂される程の金額がスポンサー投入される規模である。

そう、この映画は全ての芸能事務所が社運をかける程の特Aクラスの映画なのだ。

しかし、いつものアテナならば何の問題もなく、息を吐く様にこなす舞台挨拶。

何の心配もなく黒神も舞台袖で待機していたのだった。


「これが終われば、俺も芸能1部の部長に出世。いや、取締役にもなれるかもね?」

2枚目の顔も緩みまくるくらいのニヤケ面の彼はアテナの挨拶が回る番を待っていた。

今回の映画の主演はアテナだが、年功序列というものもあり舞台上での最初に挨拶をしたのはアテナの父役を演じた業界トップに君臨する芸能事務所「ビック・バン プロダクション」に所属する大物ベテラン俳優「灰沢(はいざわ) 直樹(なおき)」が舞台挨拶を仕切る事となっていた。

彼は場内を沸かせる軽快なトークで場を温めつつ、主演であるアテナへトークの番を回す。

「こんなベテランばっかり登場する超豪華絢爛のこの映画を撮り終えてアテナちゃ~ん。どうだった~?」

真っ黒に焼け焦げた色黒の顔からは真っ白な歯だけが強烈な印象に残る俳優の灰沢。「日焼けの紳士」と異名を持つ彼からのトークバトンをアテナは受け取る。


「さぁ、アテナ!いつもの様に女神が微笑むスマイルで場内全ての人々を魅了しつつ、心暖かい言葉で舞台挨拶を終わらせるのだ!」

黒神の心の声が聞こえたのかは不明だが、チラリと舞台袖に目を向けるアテナ。

アイコンタクトもバッチリと思った瞬間、遂にアテナが口を開く。


「別に、、、、。」


彼女は一言だけ発して口をつぐんだ。

一瞬、何が起こったのか、先ほどまで盛り上がっていた舞台上だったが、カラカラと空調の音が聞こえるくらいまで場内は静まり返ってしまった。

それは、舞台に立つ出演者を含め、集まったマスコミ各社。そして観客。はたまた、舞台袖で所属タレント達を見守るマネージャー陣。勿論その中でも一番、戸惑いを隠せなかったのは黒神だ。

場の空気を取り戻そうと灰沢が再度、アテナへコメントを求めたが彼女は、灰沢をギロリと睨みつけだんまりを決めこむ。


「何?何?何?何が起こっている?アテナさん?今、何て言ったの?それに何その態度??」

黒神は全く理解できない彼女の言動と態度に頭の中は「?」がいっぱいであった。

そして、次の瞬間、場内が唖然となる出来事が起こる。


「もう、うんざり!私は今日限り女優は辞める!」

そう言い放って彼女は勝手に舞台から去ろうとする。

次第にざわつく会場内。慌てふためくスタッフ陣。しかし、アテナは舞台袖へとずんずんと向かう。

黒神を殺す勢いで睨みつけながら。

だが、彼には何もせず通り過ぎようとするが、アテナの腕を黒神は掴んで離さない。

しかし、彼の身体は一瞬で宙を舞う。

そう、彼女は女優でもあるが合気道の達人でもあった。

大の大人が宙を舞って地面に叩きつけられるはずだったが、黒神は地面に叩きつけられる前にくるりと身を丸め低い姿勢で着地体制を整える。

彼もまた無差別格闘で有名な「川上流格闘術」をマスターした男でもあったのだ。

龍虎相まみえる。という雰囲気が舞台袖で漂っていたが、そんな緊迫した雰囲気はすぐに破れる事となる。

黒神の目に見えぬ一歩が、アテナとの間合いを詰める。そして、彼の右手がアテナの衣装の胸ぐらを掴みかかった。だが、彼女もまたその手を離させるべく腕の関節部を両手で強く握り握力を無効化させ、次の一手を封じる動きを見せた。

しかし、それは読まれていた行動であり、黒神は次の一手である左拳を彼女のお腹に鋭い勢いをつけて放っていた。

彼女が綺麗な「く」の字に折れ曲がる。正に模範ともいわれるくらいの「く」の字。

それは黒神の二手目のボディブローの威力かと思われたが、実は寸でのところで彼女がダメージを最小限にする為に自分からワザと大きく「く」の字に曲げていたのだった。

そのまま彼女は後ろに勢いを逃がし、彼とは大きく間合いを取る。

この間、僅か30秒の出来事であった。

「流石だね~。2人共。一部の隙もないよ~。黒神君もあの時より腕を上げているね~」

彼らの闘いを完全に目で追えていたのは、ベテラン俳優の灰沢だけ。あとは、全く何が起こっているのか解っていない様子だった。


「やるな。アテナ。今の攻撃を無効化するとは」

「10年もあなたの下で女優をやっていれば、あなたの動きは感覚で捉える事が出来る。そう、今朝の出来事の様に」

「でも今朝は俺の勝ちだったがな」

彼女達が話す「今朝の出来事」とは。一体何なのか。最早、周りを置いてけぼりの会話の中。

2人の頭の中では今朝の出来事が回想されていた。


それは、黒神が彼女を迎えに自宅へやってきた時の事。

早朝4時に彼女の自宅のインターホンを鳴らした黒神は、何か嫌な予感を感じ取っていた。

その予感は的中したのか、インターホンの返事が無い事で伺えた。

彼女の家は都内の中でも高級住宅街に位置する一戸建て。監視カメラに囲まれた大きな門の前で黒神は目を瞑る。そして、一瞬の気配を裏口に捉えたのだ。

集中力を脚部に回し、全速力で裏口に回るとそこにはスーツケースとスポーツバックを肩から下げたアテナが居た。


「何処へ行く?アテナ」

「知れた事。今日の舞台挨拶はボイコットするという事よ」

「この俺から逃げられると思うなよ?」

「逃げてみせるわ?今日こそは!」


早朝4時の暗がりでの会話はこれで終わる。

次の瞬間、壮絶な鬼ごっこが始まったのだ。

壁や電柱を上手に使って、重力など関係ないかのような動きでジャージ姿の彼女は黒髪から距離を取る。

しかし、直ぐに距離を詰められるアテナ。女優とマネージャーとしての10年間の付き合いから、黒神は彼女の行動パターンを読んでの距離の詰め方だった。

一瞬の迷いが命取り。そう考えたアテナはアクロバティックな動きで黒神の掴みかかる両腕をかわす。

「甘い!」

スーツ姿の黒神が2人、3人と見えるくらい、残像を残しアテナとの間合いを詰める。

華奢な彼女の腕が掴まれるが、大きな円運動の動きで彼が掴む腕を離しにかかる。そして、掴まれた腕が離れた瞬間に彼の間合いへワザと入り込みスーツの襟を両手で掴んで投げ飛ばす体制に入った。

「いける!」

そう思った瞬間に彼女は驚きひしめ動きを止めた。そして、彼女は気づく。自分が羽交い締めされている事を。

そう、彼女は間違いなく彼のスーツの襟を掴んでいた。しかし、肝心の彼は目の前には居なかったのだ。何故なら、彼女はもぬけの殻のスーツの襟を掴んだにすぎなかったのだ。


黒神は襟を掴まれた瞬間に肩や腕の関節を外してするするとスーツを脱ぎ、殺気を消して彼女の背後に周り羽交い締めの体制に入っていた。

人間技とは思えない黒神の動きはさておき。

彼はそのまま、彼女を羽交い絞めにしたまま上空へ飛び、大きな弧を描いて彼女をバックドロップする様に彼女の脳天から地面に叩きつけようとしていたのだ。

いつもの彼女ならば、そこで終わっていた。だが、今朝のアテナはいつもと違っていた。

羽交い絞めされていた彼女のは両足を振り上げてバランスを変える。そして、頭からではなく足から地面に着地する様に勢いと流れを変えたのだった。

そのまま体を逃がしたアテナは、地面に足が着いた途端、背中に重心を傾け羽交い絞めしていた彼の身体を地面に叩きつけようと体をズラす。

彼女の思惑通りに彼女の体重と重力を利用した反撃の威力で、彼は羽交い絞めした両腕の力を失い隙を作っってしまう。

その隙を逃すことなく彼女はそのまま、逃げの体制に入り今日こそは完全に逃亡出来ると喜んだ。


「今日の私を今までの私と思わない事ね!」

そんな捨てセリフを吐いたアテナはスーツケースとスポーツバックを手に取り、裏口近くに待たせていたタクシーに乗り込む。

勝ち誇った彼女は安堵の表情をし、タクシーの後部座席の背もたれによっかかる。

そして、10分が経った頃、ちょうど信号待ちでタクシーが止まった瞬間、彼女は人生で感じた事の無い寒気が全身に行き渡る。

そして、その寒気が恐怖へ変わるまでに時間はかからなかった。何故ならば、彼「黒神」の姿が視界に入ったからだ。

「何故?」タクシーに乗ってから10分近く走り、大分距離は稼いだはず。そう思ったアテナだったが、タクシーのバックミラーには紛れもない黒髪の姿が写っていた。

幻である事を信じて、彼女は振り返り後方を確認すると猛スピードで自転車を立ちこぎして迫る黒神の姿があった。


彼は地面に叩きつけられた後、アテナに逃げられる事は分かっていた。そして、予めタクシーが用意されていて、そこに乗り込む事を予測していた。

だが、彼は慌てない。焦らない。そして、無性に落ち着いた心境だった。

彼が落ち着いているのには理由があった。それは、いつ彼女が自分の手を逃れ逃走しても追いつけるように彼女の家の周りには予め複数の自転車ママチャリを配置させていたのだった。

そして、彼はそれを使ってタクシーを追っていたのだ。そう彼にとってタクシーの後を付ける事は、予め予想の範囲内であったのだ。


「運転手さん!飛ばして!」

信号が青に変わった瞬間、タクシーが動き出す。

しかし、数ミリ動いた車体は急ブレーキとともに動きを止めたのだった。

運転手は危険を察知しブレーキを踏んだのだ。それは、タクシーの目の前には汗だくの黒神が立ちはだかっていたからだ。

数分前まで自転車を立ちこぎしていた黒神は、腕組みして横断歩道の真ん中に立ちはだかっていた。

恐怖を感じたタクシー運転手とアテナ。そして、息をのんだ瞬間、タクシーの後部座席の扉が空く。

凄まじい殺気を感じたのか、タクシー運転手は後部座席の扉を開けるレバーを引いていたのだ。

そのまま、普通に黒神は後部座席に乗り込み、アテナの横に座ってそのまま舞台上である「六本木」まで向かう様に指示を出す。

そして、何事もなかったかのようにタクシーは六本木まで向かうのだった。

後に、この出来事はタクシー業界でも噂される捕り物劇となるのであった。


恐らくそのストレスが爆発したのであろう事から、舞台上での発言に繋がったのであろう。

「アテナ、冗談はよせ。すぐに舞台に戻ってやり直せ」

「嫌よ!私は女優なんてもう沢山!今すぐ辞めたいのよ!」

「何をたわけた事を。君の天職ではないか。考え直せ!」

「朝から晩まで毎日、毎日、台本と向い合せで独り稽古、たまの休みには外出も出来ず、こそこそと変装。これじゃ恋愛だって出来やしない!」

「それが女優業だ!君はそれで食っているんだ!それに今は恋愛している場合ではない!」

「ふん!お金なんて使う暇もないじゃない!長者番付だって今年載るのよ?!ありえなくない?」

「いいじゃないか!中々、ないぞ!?長者番付に載るなんて!」

「あんたバカじゃないの?何が悲しくてうら若き年頃の乙女が恋愛もしないで長者番付に載りたいと思うのよ!」

「アテナよ。話が飛んでいるぞ?意味がわからん。話を戻すが君は女優を続けるべきだ!」

「うるさい!私は普通の女性でありたいのよ!」


誰しもが思う。「20代で長者番付に載り、こんな、格闘漫画に出てくる様な超人的な動きをする普通の女性は居ないよ」と。

しかし、彼女の願いは女優引退。

だが、彼女は事務所を支える看板女優であり、好感度ナンバー1の国民的女優でもある「城戸 アテナ」を、すんなり引退なんてさせるはずもない。

そして何より、彼が言う通り彼女にとって女優業は天職なのだ。


彼女の演技は誰をも魅了する。どんなベテラン女優でも演じきれない難しい演技も自然とこなせる能力があるのだ。年齢も22歳でこれからの女優人生もまだまだ長い。磨けば光るダイヤモンドであり、伸びしろも十分ある。

演技だけでなく、普段の立ち振る舞いも非常によく、業界スタッフや共演者達からの評判もすこぶる良かった。

また凄いのは、天下の大女優であり、業界全体で誰も逆らえず、逆らう輩は業界から一瞬で干されてしまう程の発言力を持つ「ラスボス」の異名を持った女優界の主「大和田おおわだ 杏子あんこ」も絶賛するくらいの天才女優。

そんな彼女が、こんな形の引退など誰も認めるはずはない。

しかし、彼女の引退宣言は会場に居たマスコミに取り上げられ、SNSを通じて世の中に発信される。

そして当然だが、舞台挨拶は中止に終わり、城戸 アテナ引退劇へと変わる事には瞬きくらいの時間で十分だった。


そんな事を気にもしない彼女は予め用意していた煙幕弾により、彼女は舞台袖より姿を消した。

煙に巻かれた黒神は気配を感じ取る能力で消えたアテナを探すが、周りが騒がしかった為に彼女の気配を感じれず取り逃がしてしまう。

そして彼のパーフェクト・マネージメント人生が、あっけなく終わりを迎えるのであった。

この状況はすぐに事務所の上層部へと伝わり、彼は事務所へ呼び戻される事となる。

事務所への帰り道は黒神にとって非情に重い足取りであり、舞台がある第三新東京六本木ヒルズから彼の勤める事務所までは実に徒歩15分圏内の近さ。

それにも関わらず、彼は1時間経っても帰社出来ずに居のだ。


「俺は一体どうなるんだ、、、。」

ビル街をフラフラと歩く黒神の足には鉛の足枷が付いているかの様に重く歩きづらくさせていた。

視界には「プラネット・ザ・サン」の事務所の社屋が入っていた。

あと信号を2つ程渡れば到着する距離。処刑場まであと数分といったところだ。

丁度、信号が赤になり立ち止まった黒神。

その時、誰かが自分を呼ぶ声が聞こえた様に思え、声のする方に目を向けるとそこにはオープンテラスのカフェがあった。

そこには口元を黒い半透明の布で覆い顔全体は分からないが、切れ長の目が非常に印象的である女性が座っていた。

よく見ると紫をベースとしたエジプト民族衣装の様な服装で「いかにも怪しい風貌」の占い師だろう女性。

本来なら目をそらしてその場を離れていくのだが、何故か吸い込まれる様に彼は占い師の対面に座ってしまう。

すると占い師が「あなたの運命が見える」と声をかけた。

そして、テーブルの上に6枚のカードを置く。

「あなたは6つの運命を持った神巫女に巡り合い、人生をやり直すであろう」

精気を失った彼の耳にそんな言葉は届くはずもなかったのだが占い師はお構いなしに話を続けた。

「近くて遠い世界であなたはタブーを犯す。その因果から、この世界でのあなたは断罪されるのです」

「断罪ならもうされたよ、、、。俺のパーフェクト・マネージャー人生もご破算だ」

髪の毛をぐしゃぐしゃに搔き乱す黒神。しかし、占い師は気にも留めず更に話を続ける。

「でも安心なさい。違う世界でも、この世界でもあなたには心強い6つの神巫女との強い縁があります」

「そんな話聞いてもしゃーないよ。俺は6人の巫女さんと一緒より、1人の女優と一緒の方が良い」

「あなたは6つの神巫女の運命を切り開く事で、自分自身の運命を切り開けるのです」

「はいはい、、。」

戯言を聞くかのように話半分も耳に入らない黒神。しかし、不思議と占い師の話を最後まで聞く気ではあった。

「近い将来、いえ、48日、いや10日は勤務するから併せて58日後にあなたの運命は多元世界同様の道へと人生がシフトするのです」

「なんだよ。あんた占い師じゃないの?SF映画作家か漫画家?大の大人がそんな話を信用するかよ」

「信じなくても良いのです。あなたの刻の歯車は既に断罪のキッカケと同時にシフトしましたから」

「あんた占い師より、作家か脚本家になったら?テレビ制作会社なら紹介出来るよ」

「詳しく未来を見たいので、この水晶玉に手をかざしてもらえない?」

占い師はカバンに入れていた水晶玉を取り出そうとするが、黒神は付き合っていられない。と判断し席を立った。


その瞬間、理由は分からないが脳裏に何か分からないが言葉が思い浮かぶ。


「虹巫女、、。いや、虹色巫女、、、。」

ぼそぼそと浮かんだ言葉を呟く黒神。


信号が青になった横断歩道。既に彼は横断歩道を渡ろうとしていた。

「あ?ちょっと!黒神さん!!待って!」

こうして彼は処刑場である事務所へと帰社するのであった。


さて、ここまでが「黒の章」であり、始まりのプロローグ。


半立ちで彼を呼び止めた占い師であったが、ちょっとニヤケて椅子へ座りなおす。

「うーん。この世界の黒神さんって、かなりのイケメンじゃん!」

気分よくテーブルに水晶玉を置いた占い師。

彼女は彼を知っている素振りだ。

そして、陽の光の加減なのかはわからないが微妙に光り輝く水晶玉をのぞき込む占い師。

すると、そこに見えたのは丸まると太った坊主頭の男が6人の少女たちと芸能界を暴れまわる姿が映っていた。

「あれ?やっぱり、黒神さんてこの風貌なんだ、、、。恐るべし58日間」

残念そうに頭を抱える占い師だったが、納得したのかテーブルの上のカードと水晶玉をカバンにしまうと、「さーて、私の役目も終わったし、そろそろ元の世界に帰るかな」と呟くと、足早に人並みに混ざっては何処へと歩いていった。

そして、もう二度とこの世界に彼女が訪れる事はないのである。


「この世界がベースになるんだから、しっかりお役目果たしてくださいね?黒神さん」


一体、彼女は何者であり、何故、彼を知っていたのでしょう?それは、また別の物語で、、、。

現実世界の物語はいつしか、多元世界の物語とも繋がっているらしい。

でも、その物語は別のお話しである。

沢山ある並行世界の一つの物語であり、始まりの世界の物語でもある。



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