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愚者とふるちん  作者: 虹色水晶
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その冒険者はゴブリン退治という楽な仕事を引き受けた

 ふるちんたちが木炭車で国境の街を去った後。警備兵たちの亡骸を埋葬する街の住人達の様子をうかがう小さな影があった。小さくて当然だ。彼らは子鬼。即ちゴブリンなのだから。

 この街には国境の砦が。つまりそれなりの数の兵士達が常駐していた。その兵力を恐れ、彼らはこの街に手を出すことはできなかった。

 彼らはそこまで愚かではない。だが。

 この街の方向に黒い煙が立ち上るのを確認するだけの視力を彼らは持っていた。何かがあった。ゴブリン達が喜ぶような事が、何かが。

 そう。砦が焼け落ちていたのだ。

 最早自分達の邪魔となる兵士達はいない。そう考え、ゴブリン達は町の住人達に襲い掛かった。


「うあぁ!!」


「ゴ、ゴブリンだべべ!!」


 驚きおののく街の住人達。


「ウキキキ・・・」


 さてどうしてくれよう?当然女と食料は頂いて、男は皆殺し。ゴブリン達は石斧やら錆びたナイフを手に街の住人達ににじり寄り。


「しっかりするべイサーク。ほれヒール」


 ぺかー。


「ひー。とっても痛かっただよ」


「ウキ?」


 国境の街の住人はイサークはすっかり傷が回復し、立ち上がった。


「お前らゴブリンだな?最近近くの畑の野菜が果物がなくなると思うたらおまんらの仕業だったべか。許さへんぞ」


「キ、キキキ」


 しかしゴブリン達は冷静であった。ショートボウを構えると住人達に向けて放つ。


回避上昇アヴォイドアップだべー」


 シュシュシュシュシュシュ!!!


「ウキウキウキ!!?」


 イサーク達は無数に分身した。アイエエエ?まるで忍者のようである。


「当たったら怪我するだべ。もう許さへんでえ」


「ほれ。命中上昇ヒットアップや」


「あんがとナオミはん。いくでぇ」


 ゴドン!


 おおっと!クリティカルヒットのようだ。ゴブリン大将の首から上が綺麗に吹き飛び、胴体から下がその場でゆっくりと崩れ落ちる。


「キ、キイイイイイイ!!!!!」


 逆立ちしても街の住人達に敵わないと思ったのか。ゴブリン達は我先にと逃げ始めた。だが。


「逃がさへんでぇ。速度上昇スピードアップだべぇ」


 ゴブリン達の前に辺境の街の住人Aが立ちふさがった。


「知らなかったのか?オラたちからは逃れられない・・・」


「キ、キヒヒヒイイイイイイ!!!!!」


 ゴブリン達は、知らなかった。

 街の住人達が、直接相手を傷つける攻撃魔法以外を有料で教わる事ができるような国に住んでいるという事に。

 そして、治癒魔法も能力上昇魔法も、相手を直接傷つける魔法ではない。



 翌日。国境の街に一人の冒険者がやってきた。


「そこの薬草と保存食と。あと真新しい毛布を貰おうかな」


 街の雑貨屋で冒険者は買い物をしている。


「保存食に毛布ですか。どこか、遠くに探索ですか?」


「いや。冒険者ギルドからの依頼でね。この街の国境を守る砦が破壊されたから、代わりの兵が来るまでゴブリンやら盗賊やらから街を守ってくれ。期間はとりあえず10日間。一日頭金貨一枚。以後延長ありだが、街が悪党から襲われなくても報酬は支払われる。こいつが一番重要だな。俺は昔から運には自信があるんだ。うまくいけば何もせずに。一ヶ月間ゴロゴロ寝ているだけで数十枚の金貨が手に入るって寸法さ」 


「へぇ。そいつはよく考えたもんですなぁ。で、今夜はどこの宿に?」


「いや。出来る限り野宿と自炊で済まそうと思うんだ。その方が『仕事してる』風に見えるし、宿代と食費が浮きそうだしな」


「ハハァなるほど。まぁ確かに儲かるかもしれませんよ。昨日もゴブリンが襲ってきましたが、街のみんなで叩きのめしてやりましたからね。当分その手のやからは来ないでしょう」


「そうかい」


「あ。野営をするならランプや松明が必要なんじゃありませんか?」


「ならそいつも貰おうかな・・・。お、これは」


 冒険者は店の陳列棚に並べれている真っ赤な骨に興味を示した。


「こいつは禍々しい骨じゃないか」


「おや。お目が高い。そいつはあっしらが昨日ゴブリン共と戦った時に手に入れたもんでして」


「100匹ゴブリン仕留めて5個も手に入らないっていう貴重品だ。薬草やら錆びた短剣なんかはわりと手に入るんだが」


「お高いですよ?」


「大丈夫。サルディスの魔法道具店に持って行けばもっと高い値段がつくんでね。おっと、もう値段の交渉はさせないからな?」


 冒険者は有り金を叩いて15本の在庫があった禍々しい骨。そのすべてを引き取った。

 この街の住人達は俺以上に運がいいようだ。なにしろめったに手に入らないこのアイテムをゴブリンから15個も。

 それともそんなに大量のゴブリンを村人だけで?

 いや。それはないだろう。

 そう思いながら、彼は今日の寝床を探すことにした。

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