異世界ならではの夢の国の料理
俺がももかんやガラさんと共にテーブルについていると、店内に場違いな男が駆け込んできた。いや。女性客が中心の白い清潔な店内には俺も場違いな気がせんでもない。
「おい!ネズミを持ってきたぞ!!買ってくれ!!」
俺がイメージする典型的な冒険者風の若い男は入って来るなりそんな事を言った。
「困りますねぇ。食材の買取は厨房にてお願い致します」
タキシードオークが多少眉をひそめながら。だが穏やかな口調のままで言う。
「ネズミ!今ネズミといいましたか?!」
ももかんが桃色の声をあげた。
「ああ。袋一杯のネズミだぜ嬢ちゃん」
そんなもんどうするつもりだこいつ。
「ならいいじゃない。ももかん。折角だからネズミの蒸し焼きを頂きましょう」
ガラさんはいきなりとんでもない事を言い出しやがった。
「ネズミの蒸し焼きぃい?!」
「デンプン質の多いシダ植物を添えたネズミの蒸し焼きよ。アマゾネスの民族料理ね」
「もしかするとふるちんさんのいた異世界にはネズミなんて生き物はいないかもしれませんね。味わって食べてください」
「なんでぇ兄ちゃんネズミを見たことがないのかい?ほら、こいつがネズミだよ。一匹銀貨一枚で買ってくれるんだぜ?」
冒険者らしき兄ちゃんが袋から取り出したのは。
紛れもない夢の国の住人であった。
彼は兄ちゃんの手から尻尾を掴まれ、ぶら下げられていたが、『ハハッ!』と元気な声で叫びそうな勢いで飛び跳ね、白い丸テーブル。即ち俺の眼の前に華麗に降り立った。
ズダンッ!!
タキードオークがフォークを投げると、臓物をぶちまけて夢の国のプリンスはダンスを辞めた。
「重ねてお願いしますが、次からはネズミの買取は直接キッチンでお願いいたします」
「ああ。わかったよ」
冒険者らしき若い男は店内から出て行った。
「・・・ハッ!!?何かとんでもない事があったような?」
何か、大切な事を忘れていたような気がする。
「ふるちんさん。注文した料理がもうできてますよ」
俺の眼の前には旨そうなステーキが置かれていた。
「おお!美味しそうなステーキだな?」
「ねぇふるちん。貴方冒険者になりたいとか言ってたけど、それなら野山でネズミを捕まえて食べれるくらいには図太い神経をしてた方がいいわよ?」
「わかってるてガラさん。それにしても美味しいステーキだな」
サイコロステーキ。つまり成型肉だが、これは間違いなくステーキの味だ。




