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豊葦原国防實記  作者: 高瀬よいち
開戦へ向け
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開戦へ向け

やっと本編スタートです。

おじさんたちの言い争いです。



とある極東の島国『豊葦原国』

また嘗ての『日本国』である。

『豊葦原国』もまた、『日本国の明治時代』のように古き時代から新しい国づくりの真っ只中であった。その国づくりの中でも度重なる内乱などは起こったが、今は内乱の頃の面影もなく、からきし落ち着いていた。

しかし世界情勢はそう簡単に平和とは言える状況下ではない。

豊葦原の周辺国では度重なる戦争が行われていき、敗戦国は戦勝国に吸収され、所謂植民地となっていった。無論豊葦原にとってもこれは無関係な話ではない。



いや、無関係では無くなったのだ。



「何、?!冗談じゃないだろう!」

「冗談でしたらどんなにいいことか!」

怒号を交え言い争いをするのは内務大臣であ

り陸軍中将大石源蔵と、外務大臣、大町壽一郎である。政府の重鎮達も通る国会の大廊下で言い争いをする彼らもまた、国を担う政府の重鎮であった。我を忘れ言い争いをするあたり、彼らにとって、いや()()()()()重大なことであった。

「それに大石さん!貴方も先ほど書状を見たでしょう!」

大町の言う書状とは、大国である嘗ての『露西亞(ロシア)』こと帝政ラスィーイスカヤと『(中国)』こと唐土から豊葦原へ渡された書状のことである。内容は豊葦原周辺の島国の譲渡を求めている旨だが、これは恐らく建前であろう。

「応見たぞ見たぞ!この目で!しかし何故あの両国が?!何かここも狙ってるんじゃなかろうな!」

大石の言う通りこの話を受けたとて、島国から何かとワケをつけて豊葦原本国を狙う可能性は十分に高い。無論断れば三国の衝突は避けられない。が、丸腰状態の弱小国が大国二国を相手にするのは無謀にも程があった。

「まあ、2人とも落ち着きたまえよ」

喧騒とした2人とは非常に対照的な落ち着いた声が聞こえた。

声の持ち主は陸軍大臣、大神正矩である。顔に刻まれた一文字の傷とは裏腹に、目を細めて微笑んでいる。

「まあしかしな、君達が慌てんとするのもわからなくはない。だがな、彼等にとっては何もかもの都合がいいのだよ、豊葦原(ここ)は。」

大神は続けてそう言ったが、彼の言っている事はもっともであった。適度な風土、忽ち侵略さえすれば覆すのは容易い国内情勢、何かと都合の良いこの国を狙うのも無理はない。

「そうは言いますが陸相!どうすれば……!」

「外務大臣とあろう君がそんなに慌ててどうする。」

未だ焦りの消えない大町に対してピシャリと叱咤する。大町、ついでに滅多に見ない大臣の叱咤に驚いた大石が固まる中で大神は淡々と説明を続けた。

「今の私達がそれを受け入れないように、彼等もこちらの断りを受け入れはしないだろう。もっともどちらにせよ私たちに完全な勝ちはないに等しいね」

「イヤ待ってください大臣。完全勝利はまず無理ということは、戦争を有利に運ぶことは可能……ではあるまいですか。」

静かに、重苦しい口調で大石が尋ねた。彼の言うことには、二国に豊葦原が敗北するという最悪のシナリオを未然に防ぐ完全ではなく、戦局を有利に運んだ上で条約を結ぶ、という最善の方法は可能か、ということだ。

「そういうことになる、と私は考えている。多少の犠牲が出るということは否めないが最善の策がそれしかあるまいよ。」

「では大臣。議会内でもその考えに固まっていることになっているんですか?」

次いで大町が問いかける。国内で意見が固まっているか否かで外務大臣である己の仕事もまた変わるからであろうか。

「いやまだ。しかしだからと言って開戦に踏み込もうという人は居ないだろう。そこでだ。君たちの力も十分必要になる。これから君たちは忙しくなるぞ。」

これから忙しくなる、開戦へ向け、意味深な一言を残した大神はその場を後にした。

「これから忙しくなるですってね……」

大神が去ってからポツリと大町はぼやいた。

「ぁあ……。いやはや、大事ではすまないな。」


内務大臣、後の総参謀長大石源蔵の目は大局を見据えているかのようであった。

ここまで読んで頂きありがとうございました!


やっと、やっと本編スタートです。まだまだ勉強と実力不足が見えますね…お恥ずかしい。

あと今見返すと「大○」という苗字ばかりですね。いやぁわかりづらい。

この先も人物は出てきますが、全員苗字に実在された方の苗字の一部の漢字の意味を逆転させた字や、そこから連想される漢字を使っています。

例えば外務大臣の大町さんだったら

大⇔小

町⇔村 だったり…なんて。今ではなくてもいつかピンときて頂けたら嬉しいです。

こういったのも楽しめる1つの要因になればいいなぁなんて思っています。

閲覧ありがとうございました!

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