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あの世でのお仕事  作者: 座久間 真眼
4/11

任命の裏事情・冥官たちの事情

どうにか前回の投稿から1ヶ月が経過する前に投稿することが出来ました。

 バーバラ達が現世に飛んだのち。

 皇太子は執務室で事後処理に追われていた。


 「やれやれ、縁の無い異世界へ転生させたのは、かなり無理を通してしまったなぁ。」

 「しかし、大王様のご意向でもございましたし。」

 「転生させただけじゃ終わらないからねぇ、事前に転生先の魂の数を調整しなければならなかったし、元の世界の魂の数も調整する必要があったし・・・、まあ、今のうちから面倒事に慣れさせようという父上からの教育の一環だったからねぇ。」

 「この件に関しては、あといくつかの御裁可をいただければあとは我々の方で処理できます。

 ですが、もう1つの案件は・・・。」

 「あぁ、待機室に入れたあの魂の件だよね・・・、どうやって輪廻の中に乗せ直そうか、参考までに一緒につれて上がってきた君はどう思う?」

 と、あの魂を発見して連絡してきたお迎えに軽く意見を聴いてみる。


 「申し上げます、こちらへ移動しながら観測しましたところ、あの魂は、あの魔力のかけらも無い世界に有りながら、かなり魔力を使う力を持っております。

 しかしながら、解脱しかけてもおりますので、輪廻に戻すにいたしましたも、元の世界では力を生かせないかと愚考いたします。」

 「ふぅむ、となるとやっぱり魔法がある別世界へ移動させるしか無いか・・・、あの娘の魂を転生させるのに無理をしたばかりだからなぁ・・・、困った。」

 「急がねばならぬ案件ではございますが、至急と言うほどではございませんので、腰を据えて事に当たればよろしいかと。」

 「ふうっ、やっぱりそうするしか無いよねぇ・・・、明日っから転生させる余裕がありそうな世界の検索かぁ、面倒だねぇ。」


 と、その時、執務室に入ってきた冥官が、報告をする。

 「待機室に入れた魂が瞑想を始めましたのですが、その事についてご報告いたします。」。

 「ん、聞こうか。」

 「はっ、まだ魔力の伸びしろがあるようで、瞑想を始めたとたんにわずかながら増えつつあります。

 あのまま半年以上あの部屋で過ごさせますと、部屋の結界が保たなくなるかも知れません。」

と冥官が報告をした。


 「うわ、これで期限が切られちゃったよ。」

 渋い顔をして頭を抱える皇太子たちであった。

 「ん~~、とりあえずの措置として、あの魂に魔力の使い方を教えよう。

 教官は・・・、今回の転記漏れをした冥官・・・。」

 「エド、でございます。」

 「ありがとう、では、エドは、配置転換のために待機させていたから、任せて今回の処罰としようか。」

 「それならば、一挙両得ですな。」

 「期間は最低4ヶ月、長くても1年、その間に魔力コントロールを身につけさせることが出来たら元の書記官へ復帰、出来なければ別の所へ配置転換。

 命令書はすぐに作るから、その事をエドに伝えて、待機室に向かわせてくれ。」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 待機室に1人の冥官が入ってきた。

 「少し、よろしいですか?」

 「はい、何事でしょうか。」

 瞑想を中断して答える。

 「相馬颯真さん、君が瞑想している間に漏れ出てくる魔力が、少しずつ増えてきているのです。

 今のペースで増えていきますと、早ければ半年、長くても1年でこの部屋を守っている結界が崩壊してしまいます。」

 「えっ、まさか、私は魔力などとは縁のない世界で過ごして、こちらへ来たのですよ?」

 驚く颯真。

 「驚くのも無理ありませんが、事実です。

 私は、あなたに魔力制御を身につけさせることと、魔力の使い方や原理について教えるよう、皇太子殿下から命じられたエドと言います。」

 「はぁ・・・?」

 「まあ、あなたへの魔法指導は、冥官としての私への処罰でもあるのです。」

 「処罰、ですか?」

 「えぇ、あなたのことを書き漏らした書記官というのが私でして、後始末の道筋を付けろ、と言うことです。」

 「なるほど、まぁ、過ぎたことは仕方ありませんね、ご教授の程よろしくお願いします、エド・・・、なんとお呼びすればよろしいでしょうか?」

 「師匠とか導師とか先生とか大げさな呼ばれ方をすると、また何かやらかしそうなので、さん、くらいで。」

 「わかりましたエドさん、魔法についてのご教導、よろしくお願いします。」

 「実践はやりながら慣れて貰うしかないので、理論から行きますね。」


 魔法は大まかに言うと、肉体と魂の相性によって決まると言う事らしい。

 魂が持つ力に対して、肉体に四則演算の符号と係数があり、その組み合わせによって現世での体で使える魔力が決まる。

 颯真のいた現世では、引き算と割り算の符号を持った肉体がほとんどだったため、実質的に魔法を使える者がいない世界となっていたと説明された。

 ごく稀にいた予言者や超能力者は、引き算の符号しか持たなかった上に係数も小さく魂の力が大きかったか、足し算を持っていても係数と魂の力が小さかったらしい。

 足し算や掛け算の符号を持った血筋は、恐れられて滅ぼされたようだ。


 「使うときはイメージが大事でね、呪文や陣はイメージを補助するだけなんだよ。」

 「呪文を唱えるのを失敗したり、魔方陣を書き損なうと、魔法が発動しなかったり暴発すると聞いていますが?」

 「それもイメージなんですよ。

 失敗したら発動しない、或いは暴発する、と言うイメージをどこかで植え付けられてしまっているのでそうなるのです。

 例えば・・・、やって見せますので見ていてください。」

 エドが腕を伸ばして手のひらを上に向け、簡単な呪文を唱える。

 「炎よ、ここに。」

 手のひらの上に炎のボールが浮かぶ。

 「一旦これを消して、今度はわざと噛んでみますね。

 ・・・、ひょっ、ひょにょおりょ、きょっ、きょきょに。」

 若干の揺らめきはあったが、同じ大きさと明るさの炎のボールが出現する。

 「なんか、すごい噛み方ですね。

 でも、呪文は聞いていたほどには重要ではない、と言うことは理解できました。」

 「あはは、冥官に成り立ての頃、よくやらかしたんですよ。

 颯真さんの今の魔力では、これを作るのも厳しいので、まずは魔力を外に漏らさない事から始めましょう。

 魔力の増加は、今までどおりに瞑想をつつけていけば大丈夫・・・、いや、増えるペースも上がるでしょうね。」

 と言うことで、魔力を内に閉じ込めることと出し方使い方の指導が始まった。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 そして4ヶ月ほど経ったある日のこと、冥府の入り口で騒動が起きていた。

 中へ入ろうとした霊体を、入り口警備の冥官が押しとどめている。

 「請願のために参りました、お願いいたします、中にお入れください!」

 「ならぬ、冥官以外でここに入れるのは、審議を受ける者達だけである!」

 「では、せめて請願の内容を中へお届けいただけませんか!」

 「やかましい、毎日毎日押しかけて来おって、仕事はどうした!」

 オスカーのソウルマスターであるクロードが冥府へ直訴に来ていたのであった。

次もなるだけ1ヶ月以内に投稿するつもりです。

よろしくお願いいたします。

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