自分の行き先
そうこうするうちに、手配したというもう1人のお迎えがやって来た・・・、が、今までいたお迎えはかしこまり、女の子は怯えている。
見た目は、気さくでセレブな若社長、という感じでかしこまったり怯えたりするような雰囲気ではない。
「な、何故あなた様のような方がこんなところまで?」
「いやなに、手空きが僕しかいなかったのと、こちらの手落ちが判明したから、謝罪をと思ってね。」
「・・・、えっと、この方はどういった方なのでしょう?」
「控えおろうっ、こちらにおわすは、閻魔皇太子殿下におわすぞ!」
すごい剣幕で怒鳴りつけるので、とりあえず、宙に浮きながら片膝をつくような姿勢を取ってみる。
「あ~~、いいよいいよ、今回はこっちのミスなんだから。」
「えっと、どんなミスなのでしょう?」
「そうだね、話がちょっと長くなるから、冥界へ移動しながら話そうか。」
光のトンネルをくぐり、花畑を通り抜け、脱衣婆に渡し賃を払って三途の川を渡り、冥界へ入り、その道すがら聞いた話を要約すると・・・。
死ぬと定まったら死者台帳にその事が浮かび上がり、浮かび上がった死者をお迎え予定表に書き写してその後の予定も組むのだそうだ。
だが、死者台帳に浮かんだ私のことを示す内容の近くによく似た内容が浮かんでいたため、お迎え予定表への転記漏れが起きたらしい。
このため、お迎えが来なかったのだが、更に困ったことにこの先の身(?)の振り方も未定だというのだ。
「とりあえず、そっちの娘は別世界に転生させて、子を産み、育てることが次の魂の修行なんだけど、君はまだ予定が組まれていないんだ。
だからしばらく森羅殿で待機して貰うことになるよ。
あぁ、見えてきた、あれが森羅殿だよ。」
・・・、時代劇の奉行所のお白州みたいなのを想像していたのだが、指さされた森羅殿の建物は、近代的な高層建築のオフィスビルそのもの。
「現世に伝えられている森羅殿の様子と違っていて驚いているようだな。
我々も、世の移り変わりに応じて服も替えるし、建物も建て変える。
まあ、古くなった服や建物を更新するついでにデザインを一新したとも言うのだがな。」
「あたしはもう何度も見ているから驚きもしないけど、あんたは初めてだよね。」
「えぇ、よくある絵巻物に書かれた地獄の森羅殿と違いすぎてビックリだよ。」
「お嬢さん、君はこれまで記憶消去無しで転生させてきたけど、今度は普通に記憶洗浄して・・・、いや、違うな、死後の記憶だけ残して妊婦と子供を守ることを魂の修行とすることになるよ。
裁定室には君の守護霊団が待っているから、彼らとどんな人生を歩むかを相談してね。」
「そしてお前はこちらの控え室で待機だ。
瞑想しながら待っていろ。」
入れられた部屋は、ビジネスホテルの一室のような部屋。
暑くも寒くもなく、そこそこに心地よい。
生きているときには関節が硬くて出来なかった結跏趺坐も出来ると来た。
さてさて、瞑想ねぇ・・・、丹田に力を入れて、チャクラを意識して・・・。
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瞑想を始めてからどれだけ時間が経ったのか、突然声がかけられた。
「喜べ、お前の行き先が決定したぞ。」