プロローグ
あぁ、どうやら死んだようだ。
自分の通夜葬式初七日法要に四十九日法要まで見ることが出来たのは良しとして。
浮いているし、物をすり抜けてしまうし、誰も気づいてくれないし・・・、そして何より切れた「魂の緒」が見えてるし。
しかし、上からの光とか、お花畑とか、三途の川とか見当たらなくて普通の光景だし、お迎えとやらも来ない。
時々他の人(?)を迎えに来ているのは見かけるのだが、脇目も振らずに仕事をしているので声をかける隙もない。
このまま浮遊霊になるのもいやだな、私を担当しているお迎えが方向音痴なのか?
とにかく、仏様でも鬼でも死神でも何でもいいからお迎えに来るなり、上からの光を当てるなりして欲しいものだ。
そう思いながらフラフラしていたら、突然大きな叫び声が聞こえてきた。
どうやら小さな子供らしいが、この身(?)で聞こえると言うことは、死者の声であろう。
・・・、もしかすると近くに行けば一緒に連れて行ってくれるかもしれない。
「うぅ、ひっく、・・・、また殺された」
血走った目の女、地面に叩きつけられて脳漿を撒き散らした嬰児の死体。
そして泣きながら宙に浮いている嬰児の霊体。
何が起きたかは一目瞭然。
とりあえず、会話が出来そうな霊体に近づくことにした。
「誰っ!」
「う~~ん、通りすがりの浮遊霊、かな?
お迎えとかも来ないし、困っていたところに君の声が聞こえたものでね。」
「あいつらが来てないって、そんなことあるわけ無いじゃん。」
「と言われてもねぇ・・、「おいっ、そこの浮遊霊、動くなっ!」」
見上げると、お迎えらしき姿の・・・、面倒だから人、と言うことにしておこう、がいた。
「あぁ、ようやくお迎えの方とコンタクトが取れました。
いい加減、あの世とやらに連れて行って欲しいのですが、お迎えは来ないし、四十九日の法要は終わったし、たまにお迎えらしき方を見かけても目を向けてくれないしで困っていたのですよ。」
私が逃げようとも抵抗しようともしないのを見て、困り切った私の話を聞きながら、何やら手帳・・・、いや、スマフォというかタブレットと言うべきかを見ているお迎えの方。
「ここ3ヶ月以内でお迎えを振り切って逃げた霊の中に該当者はいない・・・、でも君は死んでいるようだね。」
「はい、生きているときに聞いていたあの世への道先案内がなくて困っていたところにこの子の声が聞こえたので、近寄ってみたのです。」
「少し待っていてくれないか。
1人で1人しか連れて行けないので、今森羅殿に連絡して1人来て貰うよう手配した。」
そこで気になっていたことを女の子に尋ねてみる。
「そう言えば、また殺された、って言ってたけど、また、と言うのは?」
「・・・最初は死産、あとは流産だったり降ろされたり、そして今回みたいに母親に殺されたり、父親に殺されたり。
もう、生まれ変わりたくない・・・。」
「バッキリ心が折れてるな。
もしかして、生前にそう言うことをやったのか?」
「それがそいつへの罰だ。
心折れるまで自分がやったことを繰り返し体験させて反省させる。
が、心が折れて反省したようだから、次の段階だな。」