出発
なるほど3年にわたる引きこもり生活もあって平均よりかなり低いな、まあこれは予想できていたことだ。
それより問題は能力だ。色々疑問はあるがやはり試してみるしかないか
結論から言うとこの能力はかなり使えるが分かった。
まず能力は対象物は言葉にすることで発動できる。
次にどの程度のものが浮かせられるかだが、検証の結果重さ50キロまで大きさはおそらく関係ない。
これが予想以上だったのだがどんな障害物があろうと30㎝浮く。
10円玉の上に布団をかぶせてみて能力を使うと毛布ごと浮いた、その後天井近くで10円玉を浮かせてみると天井を貫通して浮いたのだ。
おそらく上に物があるときはそれごと浮こうとするがあまりにもその物が重かったり、大きかったりすると貫通してしまうのだろう。
後は複数のものを対象にはできない、ものを浮かせた状態で別のものを浮かせてみると元々浮かせていたものは能力が解除された。
持続時間は俺が解除と唱えない限り半永続的に続くと思っていいだろう。
外部からの接触でさえ動かなかったのだから間違いないと思える。
それと半ば分かっていたことだが自分で浮く距離を決めることはできないみたいだ、どう使ってもちょうど30㎝浮く
さて自分の能力が大体分かったわけだけど
「これからどうするかな?」
なんてこと言いながら、もう決意は固まっているダンジョンを探索してそれで生計を立てる。
ニートになって以来出てこなかった生きる気力が湧いてくる。
世界が変わったんだせっかくだから俺も変わってみようと思える。
なにより我ながら子供っぽいと思うが興奮していのだ、子供のころに夢見ていたように自分の能力でダンジョンを冒険してみたいそんな気持ちが抑えきれない。
先ほども簡単に調べてみたがダンジョンにはモンスターがいて、そのモンスターを倒すとレベルが上がったりアイテムをドロップするらしい
それでドロップしたアイテムを売ったり倒したモンスターの数で報酬を得て金を稼げる。
そしてボスもいる流石に倒した人はまだいないらしいが、一時間ダンジョンでモンスターを倒して報酬が500ゴールドほどになったという
ゴールドというのはそのダンジョン内で使える通貨だ、ダンジョンには係員が配置されていてその係員に聞くと300ゴールドあれば一日を過ごせるとの返答があったらしい。
他にも色々情報はあったが最低限の情報だけ詰め込んだ。
さっそくダンジョンに行ってみようと思う
ラッキーなことに俺の県にあるダンジョンは家から徒歩10分の所にある。
引きこもっていたというわけでもないで外に出るのに抵抗はないが、ニートというだけで外出するのにはなんだか負い目を感じてしまう。
だが俺はこれから変わるのだこんなことでつまずいては駄目だ。
「行ってきます」
誰もいない自宅にそんなことを言いながら玄関を開ける。
今年の夏は暑いな道を歩いていると本当にそう思う、スマホで地図を確認しながらダンジョンを目指し、目的地が近くなってくると人だかりができていた。
「ちょっと失礼」
その人だかりの中に入っていくと前方に看板がみえた。
【ダンジョン入口】
と書いてありそこには地下鉄の階段によく似たものがある。
これがダンジョンの入り口か、なんだか見慣れた感じのもので拍子抜けしたが緊張間もなくなってしまった。
少しの間観察しているとちらほら入っていく人もいる。
いつまでも観察しているわけにもいかない俺も早く入ろう。
やっぱりいざ入るとなると緊張するな一歩進むたびに心臓がドキドキする。
さあこれから俺の冒険が始まるんだ。