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EPILOGUE

その後、ダグラスの街改め、ダグラス王国はミノス・ケルディアを国王とし、レイノス王国国王と和解をし、再び両国は友好的になった。

その立会人として、レイノス王国前国王のクラース・デルト・レイノスと、異世界人であり、ミノスを説得した支倉 誠が出席した。

これにより、両国は決してダグラスの街のようにしないために、世界各地に呼びかけ、これを全世界に条約として締結された。

後にこの条約を、ダグラス条約と名付けられた。

全世界はこれを受諾し、争いを起こさないと誓い合った。

だが、問題は未だ山積みであった。

すべての国の王が集まり、会議を開いている。

全てが解決するまでにまだまだ時間はかかるだろう。

だが、全ての国が同じ方向へ動こうとしている。

だからもう心配はいらない。

誠はそんなことを思いながらハルバート達と帰っていた。


「本当に平和になるんかなぁ?」

「なるさ。願わくば、この世にすべての争いがおこらぬように。」


ハルバートは少し心配になっていたが、誠には確信があった。

ミノスの眼はどこまでも真剣でまっすぐ見つめていた。

他の国の王も、同様にだ。

彼らならこの世界を平和にしてくれるだろう。

争いは何も生まないことを知ったから。


「もう、大丈夫さ。」


誠達五人の顔は晴れやかだった。


********************


家に帰った彼らは両親に抱きしめられた。

心配してくれる人が、優しく抱きしめてくれる人がここにいて、温かい人たちがいるそんな世界を守りたかった。

誠はそんな一心でミノスに言葉をぶつけ、世界を変えた。

世界を変えた行動をしたのは彼だけじゃなく、世界のすべての人が変えたのだ。

誠はそう思っている。

そんなことを考えるよりも今は両親に会えたことを喜んだ。


「父さん、母さんただいま。」


ダイスはいつもと変わらない表情だったが、目にうっすらと涙を溜めていた。

シノフィは誠とカノンを抱きしめながら号泣していた。

それを見ていたハルバート達の目にも涙が浮かんでいた。


「おかえり…。」

「よく帰ってきたな。」

「よかったな。」

「そうですね。それよりハルバートにも涙線はあったんですね。」

「本当によかった。」


口々に再開ができてよかったと口にしていた。

だが、そんな彼らにお別れの時間がやってきた。

誠の指先がうっすらと透明になっていた。

全員が言葉を失った。

誠の体全体がみるみるうちに透明になっていく。


「お別れみたいだね。僕はみんなと会えて嬉しかったし、楽しかった。」

「俺だって同じだ!!何でだよ!!これからみんなでもっと遊べると思ったのに!!」

「誠にこの世界の知識をもっと教えてあげようと思っていたのに。」

「お別れなんていやだよ…。」


ハルバート、ケルス、リンネは口々に言う。

誠は心が熱くなっていくのを感じた。


「どうしてよ…。家族になったばかりなのに…。」

「ごめん。」


カノンは俯いて肩を震わせていた。

そんなカノンの肩に手をそっと置いた。

誠とカノンの横にシノフィとダイスもいた。


「父さん、母さん、次はいつ帰って来れるかわからないけど行ってきます。」

「しっかりやって行けよ。」

「気をつけてね。」

「うん。」


シノフィは涙を流しつつ優しく微笑んだ。

ダイスはいつも通りの無表情かと思ったが、思いっきり男泣きをしていた。

誠は彼らを見ながら今までを思い出す。

ハルバートは最初に会ったときから気さくに声をかけてくれた。

ケルスは最初、警戒していたがだんだん心を開いてくれて、いろいろ教えてくれた。

リンネにはたくさん心配をかけてしまった。

カノンは初め、敵意むき出しだったが、家族になってとても優しかった。

ダイスはいつも無表情だが誰よりも家族のことや、周りの人たちに心配りをできる人でとても尊敬できる人だ。

シノフィはどんな人でも優しく接し、どんな時も温かい微笑みを向けてくれる太陽のような人だった。

そんな二人が誠は好きだったし、何度も心を救われた。

もちろんハルバート達も好きだ。

異世界から来た誠を友達として歓迎してくれた。

全員に対して誠は感謝をしてもしきれない。

だが、誠にはやれることはないため、完全に消える前にこういった。


「みんな今までありがとう。またいつか会える日が来ると信じて。」


言うのと同時に誠は消えた。

その場にいた全員は泣き崩れた。

だが、誰もが思っていた。

近いうちにまたいつか必ず会えると。


************************


誰かの声が聞こえる。

誠はその声の主を見るために目を開けようとした。

その瞬間眩しいばかりの光で一回、目を閉じたが再び開けようとする。

ぼんやりとした視界がだんだんとはっきりしていく。

誠の周りには久しぶりに見た顔があった。

日向、徹、麗奈。

彼らの顔を見て誠はほっとした。


「誠くん!!私のことわかる?」

「当たり前だろ。日向。」

「まことっち私のこともわかるよね?」

「あぁ。麗奈だろ。」

「誠!!俺のことは!?」

「えっと誰だったかな…。思い出せない…。」

「お、おい…。」


全員が心配そうに顔を覗き込む。

徹にいたっては本気で泣きそうだった。


「嘘だよ。ごめんよ、徹。」

「びっくりさせんなよ…。よかった。」

「心配させてごめん。」


誠の言葉を聞いた全員は首を横に振った。


「私たち絶対に目を覚ますことを信じていたから。」


日向がそういうと首を縦に振りながら微笑んだ。

誠はまた心が熱くなり泣きそうになった。

今日一日で再開し、別れ、再開した。

誠は様々な感情があったが、信じてくれた友がいることに感謝と共にこう思った。


この世界もあの世界のように温かく、美しい――


*********************


退院した誠を待っていたのはクラスメートの祝福だった。


「みんなありがとう。」


誠がそういうと皆当然と言わんかのような顔をしていた。

そうしてこの不思議な物語のようなことは終わり、誠の耳鳴りもなくなっていた。

その後はいつも通りの生活に戻った。

朝起きて、学校へ行き、みんなとしゃべり、勉強して、遊ぶ。

そんな当たり前の生活が誠は嬉しかった。

その時に誠はこう願った。


こんな平和な日常が永遠に続くように、と。


この話はこれで終わりです。

こんな駄文を読んでくれてありがとうございました。

短かったので読みごたえがなかったと思いますが。

もしよければ感想を書いてください。


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