表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【ハイファンタジー 西洋・中世】

二人の悪戯

作者: 小雨川蛙

 

 ある平和な時代。

 二人の悪戯好きな青年がとある悪戯を思いついた。

 夜の暗闇の中で一人が言う。

「大丈夫かな? こんなことをして」

「なんだよ、今更ビビっているのか?」

 相方にそう言われた青年はムッとした顔になって答える。

「そんなわけないだろ! ただ、もしこれが真実だったらって……」

 それを聞いてもう一人の青年は笑い出す。

「まさか伝説を信じているのか? あるわけないだろ? あんなの滑稽な作り話さ」

 相方の言葉に青年は一度口をつぐみ、そして笑った。

「信じているわけないだろ」

「なら、出来るよな?」

「もちろんさ」

 二人の青年はニヤッと笑うとスコップを取り出す。

「それじゃ、早い内にやっちまおう」

「滅茶苦茶に長かったりしてな」

「そんなわけねえだろ」

 二人の悪戯を夜の闇が舐めるようにして見つめていた。


 やがて二人の青年は自分達の悪戯の成果を前にして大声で笑っていた。

「ははは、まさか本当に出来るなんてな」

 彼らの眼の前には一本の剣が転がっていた。

 その切っ先は深々と大きな石に突き刺さっていたが、石ごと持てば問題なく運ぶことも出来るだろう。

「勇者にしか抜けない聖剣ね」

 そう。

 この剣は勇者にしか抜けないと呼ばれた聖剣なのだ。

 しかし来たるべき日に備えて眠っていたはずの聖剣は二人の悪戯者がその周りを掘ったことであっさりとその場を離れてしまった。

「さて、こいつをどこに隠したもんかな……」

 ・

 ・

 ・

 この日、彼らがした悪戯によって、後の時代に多大なる影響を与えた。

 数え切れないほどの人々が死に、数えるのも厭われるほどの歳月を人々は苦しむ羽目になったのだ。

 全ては、二人の悪戯によって。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ