鯖虎猫2ヶ月〜1歳
夏の始まりに、小さな君と出会った。
小さいながらも灰色に立派な縞模様が入った毛並みの君は、小さな男の子の両手に抱かれてやってきた。
海辺の街生まれの君は、5匹兄妹のうちの1匹で、三毛模様の姉妹がいる男の子。
君そっくりのお母さんは、男の子の家族に拾われたらしい。(多分お父さんは三毛猫だ!)
お母さんと君と一緒に生まれたうちの1匹の兄妹は、男の子の家族が面倒をみるという。
男の子のお母さんは、君のことをこう話した。
‘他の兄妹達よりも慎重な君は、みんながご飯を食べ終え、動き回った後から動く。
たまにお漏らしをする。’
(きっとのんびり屋で、綺麗なトイレじゃないと嫌なんだ!)
うちにやって来た日から、君にはみんなが手を焼いた。
小さな君はまだ生まれて2ヶ月。
ひとりで眠ることもできない。
僕がいなくなると、寂しくて泣き続けるし、一緒に寝ればおねしょの大洪水。
見つかると、部屋中走り回り、カーテンをよじ登って上へ逃げていく。
とてもやんちゃで、怖いもの知らず。
初めて会う人や動物にも物怖じせず、素知らぬふりして真横をとことこ歩いていく。
(一緒にいるこちらがはらはらする!)
しばらくして、君には新しい家族が増えた。
君の家族の数は全部で5。(君を合わせると6)
君より先に家族になったうさぎの女の子は、君の姉役をかってでた。
君が悪戯をしかけると、カウンターキックをすることに彼女は決めたようで、君はそれから彼女に手出しを控えるようになった。
君のおねしょは止まず、君は1匹寝もできない。
おトイレは増えてもなかなか気に入らず、家族はたまに怒りをぶつけていた。(今では妬けるほど仲が良い)
君は遠くへ車で移動することになった。
小さな君は車の中でじっとできず、時には人の手が届かないダッシュボードの中に入り込んで、泣き続けるような男の子。
鳴かなければ、君が何処へ消えたのか分からない。
車の外に逃げてしまったと探し回った末、小さく鳴く君を、君を探す誰かが見つけた。
ゲージに閉じ込めると、ずっと鳴き続けるから、車を休ませる度に君を、そこから出さなければならない。
君は興味深々で運転席にやってきて、外の景色を伺おうとする。
車の周りが人や車で騒がしくなれば、恐れて足元に座り込む。
小さな君にとっては、大きな大冒険。
君はようやく新しい家に馴染んできた。
一緒に寝てもおねしょしなくなったし、いつの間にかお姉さんうさぎよりも大きくなった。
相変わらず1匹寝は苦手で、誰かが寝ている側で大抵一緒に寝ている。
少し窮屈な場所が好きで、腕や足の凹みや、お腹の上に最初はやってくる。(後で寝返りの下敷きにならない場所に避難しているようだけど)
誰かが部屋に入ってくれば、待ってましたと迎えにいくし、話しかければ、猫の言葉で返事を返す。