第一夫君レオンハルトの恋 20
ルイスには『マナの可視化』によって『彼女』に『マナ』と『マナの流れ』をみせてもらうことになっている。
それができるのは『マナの可視化』という特殊な能力を持つルイスしかできない。
双子の弟であるルイスにその能力が発現したのは私たちが六歳の誕生日を迎える少し前だった。
もともと私より『マナ』の感受性が高かったルイスだったが、『マナの可視化』が発現したことで父王は王太子であった現在の国王であるフリードリッヒ兄上を除いた、自分の息子達、兄弟から魔力やマナの量が著しい者を四名選出し、『渡り人』の伴侶になるための特別な『夫君教育』を施した。
それが現在の東西南北の大公国の領主だ。南大公国のアレクサンダー叔父上は今回辞退されたが、叔父上も有資格者だ。
父王は選抜した四人を含む、自分の息子達全員に『大聖人』か『大聖女』クラスの『渡り人』がくると『夫君教育』を始める前にそう話した。
全員に『夫君教育』第一段階を受けさせ、さらに選抜した四人の候補者達に第二段階を。そして王位継承者第一、第二継承者(叔父上はすでに父王と共に既習済)に特殊な秘儀と共に第三段階の奥義を受けることになった。
奥義とはいっても最終的に『渡り人のマナの暴走』を封印するものだ。
王位第一継承者である兄王が第三段階である奥義を共に受けたのは第二継承者レベルでは封印できなかった最悪の場合が起きた時、この星最大の魔力とマナを受け継いだ国王がこれを封じるためだった。
そして『渡り人』が聖女(女性)ではなく聖人(男性)であった場合、国王の娘がその伴侶になるが、彼女達では『渡り人』の『マナの暴走』を封印できない為、国王がそれを封印することになっていた。
国王の聖樹は特別なもの。本来は男性性の聖樹しか刻印されないが、国王は違う。ある意味彼らは両性である。
男性の『渡り人』と婚姻ができる唯一の『夫君』なのだ。
『渡り人』のマナの暴走は『マナ欠乏症』を発症が起因になっている。
『マナ欠乏症』を発症後は延命する為に『マナの供給』が必要とされる。とはいえ、伴侶が女性の場合限界があるのだ。それを補うのが聖樹の雌雄の刻印を持つことが可能な為両性であるとされている『国王』だ。
『渡り人』が男性であっても『成婚の儀』を唯一可能な存在だ。
その為『マナ欠乏症』を発症した『渡り人』を延命し、最後は封印する為に時の国王は『成婚の儀』の前に王太子へと譲位するのだ。
間近では『バルト国王』と『大聖人・光様』の関係だ。
『光様』は『マナ欠乏症』を発症した後、『バルト国王』と『成婚の儀』以降、別宮『月の光』で共に過ごし、そしてその最期を迎えることになった。
『彼女』のマナはとても美しかった。ルイスほどではないが、『魔力』や『マナ』の量によっての差異はあるけれど『マナ』を見ることができるのだ。ただ第三者にそれを見せることはできない。それができるのは『マナの可視化』という能力を持つことができるルイスだけだ。
一千年に一度『大聖女』の渡る時、発現する『マナの可視化』を持つ大魔法士。それが双子の弟のルイスだ。誇りに思う気持ちの中に、『彼女』の輝くような瞳と笑顔を独占し得ることができるのだろうと考えると、胸の奥がチリチリと何かが燻ってしまった。
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