表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹の聖樹 外伝 夫君達の恋  作者: 天の樹
第一部 第一夫君の恋
18/19

第一夫君レオンハルトの恋 18

 『彼女』のための『食事』を本格的に用意したのは初めてだった。一応ルイスやクリストフとの話し合いで記録に残る『彼女』の国の食事を出そうということになった。

 レシピは『青の星の核の記憶』から選んでみた。星四つのレストランという食事処のレシピから選んだのだが彼女は気に入ってくれるだろうか?

 

 私たちの星では『マナ』を食事で補う必要はない。

 何もしなくても『マナ』自体は体内で生成されるからだ。


 しかし『渡り人』である『彼女』達の場合はそうではない。

 『渡り人』の体内では『マナ』は生成できない為、食事によって他から『マナ』を取り込む必要があるのだ。そして取り込んだ『マナ』を消費しながら生命活動を続けている為、常に『食事』が必要なのだと『夫君教育』の中で教わっていた。

 

 今日のメニューは極上の和牛のステーキ。と『彼女の国の主食』である星五つの米飯。野菜も新鮮なサラダ。スープも極上コンソメ? というものを選んだのだけれど、気に入ってもらえただろうか?


 『彼女』を見ると美味しそうに瞳をか輝かせながら嬉しそうに口にする。どうやら満足してもらえたようだ。ホッと胸を撫で下ろす。


 ある程度落ち着いたところで『彼女』から『マナ』についての質問が出たので、それについて簡潔に『返答』をした。

 

 基本的に『マナ』を食事から摂る必要がないこと。本来は各々『マナ』を自己生成できるので他者の『マナ』を取り込む必要がないということを説明する。

 

 つまり『食事を摂る』のはマナを多めに消費して足りなくなったエネルギーの補充をしたり、誰かと団欒してコミュニケーションをとるためのものだったり、単純に娯楽として楽しむためのものであるということ。

 

 そう話すと『彼女』は納得したみたいだ。


 それとハルカのように伴侶が『マナ欠乏症』に罹患した場合は常に伴侶に対してその『マナ』を供給する為、食事等で『外部』から『マナ』を多めに摂取する必要があること。

 自分の場合はマナや魔力が膨大なので本来はさほど影響を受けないが『マナ』を全く生成できない『渡り人』である私の場合、大規模な浄化のために消費された『マナ』が大量すぎる為、自分だけでは賄いきれず、同程度マナや魔力を保持したルイスやクリストフも必要なのだと付け加えて説明をする。

 

 すると『彼女』は食事の手を止めて考え込んでしまった。ふと見ると『彼女』の『マナ』が揺らいでいる。


 『彼女』の嗚咽。

 大きく揺れ動く『彼女のマナ』を鎮めるために『彼女』をぎゅっと抱きしめ、背中をポンポンとあやすように軽く叩きながら『鎮静と安眠』の魔法を展開するとすやすやと幼子のように私の腕の中で『彼女』は眠りに落ちていった。



 翌日、『彼女』を迎えに来た第二夫君であるルイスの作った衣装を身に纏った『彼女』を見送る。


 ルイスの手を取り転移ゲートから姿を消した『彼女』のいなくなった空間はひどく虚無的で色褪せたように見えた。 

 きゅっと心が締め付けられる。『彼女』を誰のものにも手渡したくない、独占したい。その気持ちがどんどん強くなり、支配されそうになるのをギリギリのところで踏ん張れたのは『彼女』を失うことよりはマシだと思い込めたからだろう。


 『彼女』のことを一番に考えなくては。


 『彼女』をルイスに引き継ぐ時に『彼女』の意志も伝えた。同じことを第三夫君のクリストフにも通信機を使って共有した。ルイスは一応それを受け入れたがクリストフは難色を示したが最終的には受け入れた。



 ここで『彼女』が過ごしやすい環境を与えなくては。そう思うことで気持ちを切り替えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ