ワークス編LAST「予想外」
ワークス編はおしまい!
その後、B7Fを踏破してB8F、B9F、B10Fと順調ではないが進んで行く。
途中で何回か死にかけたが、そもそもある程度の階層まで行けば死線を潜ることは理解していた。
だからこそ、メンバー選出をして今回はこのような無理気味にフロアを進めている。
そこではアイテム、武具や素材をたくさん手に入れた。
手強いモンスターとも何度もやり合った。
そして、ワープポイントを活かしてB10Fまで漕ぎ着けた。
俺は今、ボスの部屋の前まで来ている。
以前のような弱い俺ではない。
俺は、有馬を助けるためにここへ来た。
「みんな、行くぞ!!」
大きな扉を開け、俺達は中へと進んでいく。
そこに鎮座していたのは完全に見た目が人である少女。
人である見た目からは酷く重く苦しいプレッシャーを放っている。
しかし、負ける気はしない。
「ふむ、お主らがここへ来たということは挑戦者か??」
「いや、俺達は探索者だ。」
「まぁ、それは見てわかる。訊きたいのは我へと挑戦するのかと訊いておる。」
見た目が少女なだけで明らかにやばい雰囲気を放っているのを感じる。
「和解とかできるのか??」
「うーん…そうじゃの、出来るのではないかのぅ。」
え、これっもしかして…有馬が言ってたやつか??
時は二人(有馬とワークス)で探索していた時に遡る…
「なぁ、噂で聞いたんだけど迷宮の主って倒さなくても和解できるって本当か?」
「出来るときがあるよ。だって、迷宮の主は迷宮を発展させる義務があるし、話して交渉出来れば戦わずにして迷宮に囚われた奴らを解放できるし、何ならギルドとか提携して人類と協力してくれるはずだよ。確か…ギルド提携迷宮って形に出来て、迷宮の主も死なずに発展できるならそっちの方が良いって話だ。」
「へぇ〜できるんだ。仲間に成るってこと??」
「というより、人類に寄り添ってくれる迷宮ってところだな。そうなると、迷宮で人が死んでも最初の入口で戻るだけで済むんだよな。迷宮のクリア特典はなくなるけど、ある程度知ってる迷宮を周回して素材とか武器をゲットできるのは良いことだよ。」
「え、迷宮の主のメリットなくないか?」
「確か、人が死んだ時に得られるアイテムや感情等を資源にしているから多分、損はないはずだ。殺し合いにならないからな。迷宮の主と探索者が。これだけで主としてもいいはずなんだよな。」
「そういうもんか?」
「そうだよ。」
そして、話を現在へと戻る。
「戦わずにして、和解できる?」
「いいのか?我からさクリア特典はあげられることはできないぞ。」
「いらねぇんだ、それは。囚われた仲間を助けたいんだ。良ければ探索者達を解放してくれればこのまま殺し合いにはならず、お互いにギルド経由で提携できるはずだ。」
先程から放たれていた凄まじいオーラは消え、そこには不思議な顔をした少女がいる。
「え、本当かそれは?」
「あぁ、ギルドと提携して探索者は迷宮を攻略して資産を得る。迷宮の主は死んだ探索者のアイテムや資産、感情?を得て迷宮を進化させる。Win-Winじゃないか?探索者はまぁ、死んでも復活はさせるけど、アイテムや武具は奪えばいいしそれで迷宮が運営できるだろ?」
「「「「「マジ(なのじゃ)!?」」」」」
ワークス以外は全員が驚愕の声を上げる。
「初めて聞いたぞワシは…じゃが、それなら確かに命を脅かされないで迷宮を運営できるのじゃ!!」
「じゃあ、それで頼めるか?」
「任せろなのじゃ!!」
こうして、俺達はこの世界で初めての迷宮の主を討伐しないで迷宮をクリアした第一人者になったのであった。




