霊体へ
これって多分流行り物だよね?そうかな?
気づけば、霊体になっていた。
死んだからである。
俺の知るゲームの「昏き迷宮の探索者」に出てくる迷宮の仕様と似てる。
それは迷宮での死亡は完全な死亡ではないからだ。
というのも迷宮が踏破される、つまりは迷宮の主が倒されるか認められたら、死んだものは復活できるからだ。
逆に言えば、迷宮が踏破されなければ一生迷宮に捕われ続けるのだ。
霊体お散歩でもするか。
そう決めた俺は霊体状態で迷宮を練り歩いた。
霊体お散歩とは言ったものの、やることはなかった。
他の探索者の戦いを見たり、他の霊体とお話したりと本当にたいしたことはしていなかった。
暇だから、シャドーボクシングをしていた。
すると、目の前にステータス画面が出現した。
今まで出てこなかったのはステータスを確認しようとも思わなかったのであるが。
スキル一覧に体術Lv1と出てきた。
ゲームでも死んだときは霊体の時は何もスキル獲得は出来なかったのに、これはなぜだ?
疑問に思った俺は他の徘徊している霊体に聞いてみることにした。
「お、お前はさっき話してたやつじゃん?どした?」
先程話していた準一般級探索者だ。
「いやさぁ、もしかして霊体のときもスキル獲得やスキルLvって上げられるのか?」
「あぁ、出来るぜ。真面目な探索者は多くないが、また迷宮で死なないように何かしらのスキル獲得又はスキルレベル上げはやるやつはいるぜ。俺はあんまりしないけど、何かしらやるときはけっこうやるぜ。」
「そうなのか、ありがとう。」
「そうだ、なんかお前さぁ異世界から来たって言ってたじゃん?スキルないなら俺がオススメスキルを教えてやるぜ。」
本来ならゲームやってたから分かると言いたいが、このような霊体時の仕様はなかったため、どうすれば獲得出来るかわかるのはありがたい。
「助かる。」
「いいってことよ!暇だしな!」
俺はまず、剣術を教わった。
剣がなくても、剣があると思って素振りすると獲得又はスキルレベルが上がったり、スキルの経験値を獲得出来るみたいだ。
それはたくさんやってたせいか何故か瞑想も獲得できた。謎の仕様だ。
瞑想…目を瞑り、静止状態でいると徐々にHPとSPが回復する。
まぁ、安全地帯で使えるスキルだ。
他にもスキルを覚えた。
体術、投擲、魔力操作等の汎用スキルを獲得した。
霊体時でも獲得できるスキルとできないスキルがあるらしいが、今はとりあえず獲得できるスキルに専念していった。
それから2ヶ月後くらいだろうか。
迷宮がクリアされたことによって迷宮から解放されたのだった。
迷宮から解放されるときは、服以外の装備は消失する。
なので、衣服類以外は何もなくなっていた。
元々、あまりなかったが。
解放されたあと、セミコモン級の探索者のことレインと一緒に町へ向かった。
探索者ギルドへ向かい、事情を説明してもらって探索者になることを伝えた。
ギルドの受付嬢から色々とルールや探索者についてのランクなど細かいことを聞く。
ゲームである程度は理解していたが、細かいところが違ったりしていて、ゲーム感覚でやろうとしていたこともあったので聞いといてよかった。
「説明は以上ですが、何か聞きたいことはございますか?」
「いまのところはない。」
「かしこまりました。では、新人級からスタートになります。それとこれが探索者用のカードです。」
受付嬢が出したのは自分の探索者の階級がわかるためのクラスカードと言われるものだ。
これで自分の職業もわかるようになる。
ちなみに俺は設定してないのでフリーターと書いてある。無職じゃないんだと思いつつ、受付嬢に感謝の意を伝え、ギルドから出た。
レインはやることがあるらしくどっかに行ってしまったのだ。まぁ、探索者は路銀やら毎日の生活資金を稼がないと生活できないので、恐らく迷宮に囚われていた分を
どうにかせんとならんのだろう。
俺も探索を始めるために職業神殿のこと通称ハロワへむかった。