大規模探索:第二波 終幕
これにて、大規模探索第二波は終わりです。
「失礼ですね、貴方達は。喋るのは人間だけの特権ではないでしょう?」
我輩はステータスを相手の確認する。
大罪の枢機卿 Lv95
HP 66666/66666
MP 28888/28888
SP 12222/12222
ATK 18888
DEF 12585
INT 10053
MND 15005
AGI 6211
DEX 1258
CRI 20
LUK 2888
ORI 60
なんだこいつは…今まで見てきた中でもとてもじゃないが、勝てる気がしない。
こちらの全ステータスの2倍以上はある。
幸い、パーティの一人が※このフロアへ足を踏み入れておらず前のフロアへと繋がっている階段のところにいるため、まだ退却が出来る。
戦っても勝てる相手ではないのだ。
しかも、勝つための攻略方法も思いつかない。
我輩は全員に告げた。
※ボスフロア系の場合は、普通ならボスを倒さないと戻ることも進むことも出来ないが、誰か前フロアへと繋がる通路や階段などところに仲間を置いておけばボス戦になってもすぐに退却が出来る。
「全員、退却だ!すぐに逃げろ!」
全員一斉に駆け出しだ。
それもそのはず。
全員見たのだろう、ステータスを。
我輩以外も見てたからこんなにもスムーズに退却するのだ。
しかし、それを大罪の大司教は簡単に許さなかった。
「逃げるなよ、罪人共。」
既に回り込まれていた。
自分達よりも圧倒的なAGIがあるため、余裕で追いつかれてしまう。
「※アルファ!先制攻撃!※ベータと※ガンマは私と随伴して!みなさん!逃げて下さい!私が囮になります!」
※アルファ、ベータ、ガンマ…レヴァンが偵察機に名付けた名前。
レヴァンは既に大罪の枢機卿と戦闘を始めていた。
「おい!何してんだ全員で」
「逃げるぞバカ!レヴァンの時間稼ぎを無駄にするつもりか!」
「そうなんよ、ここで助けに行ったらみんな死んでしまうんよ。アヴァランチ、行こうよ。」
「く、クソがァァァァァぅっ!!」
「逃がしませんよ、ここで」
「よそ見してていいんですか?」
敵が晒した隙を狙い、レヴァンは相手を突く。
その攻撃がヒットし、武器のスタン効果により動けなくなる。
「やってくれますねぇ…死にたいなら貴女から殺しますよ、えぇ殺ってやりますとも!!」
怒気を孕んだ声で吠える。
あぁ、私はここで死ぬんだろう。
でも、彼女たちを逃がせて良かった。
なにせ、私の憧れた探索者達のなのだから。
「アヴァランチさん、ソーメイさん、コーデックさん、イージスさん、ラーヴァさん。またどこかで会いましょう。」
レヴァンは覚悟を決めて、スタンロッドを強く握る。
そして、スタン効果が切れて改めてこちらを見据えていた。
「貴女は許しませんよ、えぇ絶対に許さない。この私に恥をかかせた。よって、貴女を侮辱罪で今ここで断罪します!」
「そうですか、でしたらさっさとかかってきて下さい。本気で私を倒す気があるなら。」
私は虚勢を張る。
勝てないとわかっていてもちょっとでも時間を稼がないといけない。
じゃないとこいつが彼女たちのところへと向かってしまう。
そして、追いつかれては意味がなくなる。
「健気ですねぇ…勝てないとわかってて強がっているのがわかると私の怒りも少し収まりますね。でも、メチャクチャしてやります。これは決定事項です!」
相手は二チャリと笑顔でどこからともなくハンマーを握っていた。
アルファは気付けばスクラップにされており、こちらの眼の前まで来ていた。
そして、無事に彼女たちが脱出したあとB29、30F
情報が公開された。
折れぬ心は解散にはならなかったが、大罪の枢機卿を倒すための探索者の協力を他にも煽った。
しかし、判明したステータスから他の英雄級探索者ですら絶句しており、協力を得ることは困難を極めたのであった。




