残酷な報告
そうは言っても全滅はせんでしょ
大規模探索にて結成された「明かす為の道」は失敗で終わる結果となってしまう。
理由としては、犠牲者が出るのは想定されていたがまさか全体の指揮を取っていたニルヴァーナが行方不明になり、恐らくは迷宮で死亡した可能性が高いからだ。
幸い、ニルヴァーナですら簡単にやられてしまうような状況をすぐに他のメンバーにも伝えた結果、ニルヴァーナ一人の被害で済んだのだ。
同行していた英雄級探索者達も目視しただけで、勝てないと判断できるほどの脅威が出たことを確認出来たので、被害はかなり抑えられたというべきか。
一番の功績はニルヴァーナがもし、全員で立ち向かうという判断をすれば完全に崩壊し、もっととんでもない被害を出す結果となっていたとその場の探索者達は理解していた。
「クソ…ニルヴァーナだけが逃げ切れなかったのか…」
「あぁ、アタイもあれは勝てないってすぐに判断出来たよ。ニルヴァーナが囮にならなければ大変なことになってのがわかるよ。」
「あいつは…俺を信用してくれたのに…もっと情報を集めていればこんなことには…」
シャドウはこんなにも不甲斐ないと感じたことはない。
ニルヴァーナだからこそ今回は被害が抑えられたというのが理解できたからこそ余計に助けられなかったのが悔しいのだ。
「シャドウさん、今回は私達にも責任はあります。ニルヴァーナさんに全体の指揮や準備を任せすぎていたことに起因してると思います。ましてや、私達は英雄級探索者。これは私達の傲慢さが招いたことなんです。一人でも背負わないでください。」
「プロヴィデンス…ありがとう。」
その場は重たい空気が流れており、どんよりとした暗い雰囲気であった。
「なるほど、失敗したのか。」
「有馬、本当に言う通りだったな。」
シャドウ達から離れたところから有馬達はギルドの併設されている食堂で休憩していた。
「それはそうだろう。途中の強力なモンスターにボコボコにされたんだろうな。いや…あの感じだとそうなる前に一人の犠牲で抑えて、撤退した感じか。」
「すごいのか、それは。」
「あぁ、ニルヴァーナが優秀だからだろうな。本来なら全員で戦って全滅してレイドが半壊しかねない自体になることが多い。しかし、ニルヴァーナはおそらくすぐに勝てないと判断して囮になって他のメンバーはすぐに逃げたんだろうな…優秀なリーダーだよ。」
「へぇー…俺たちも気をつけないとな。」
「そうだな、だからまだレベリングはやるぞ。」
「うへぇ…かしこ。」




