大規模探索⑤
それは更新と呼ぶにはギリギリ過ぎた。
昏き地下洞窟 B15F
B15Fに来てそいつは現れた。
大司教が来そうな服装にまるで王冠のような冠を頭に付けており、右手には儀礼用に見える剣を握っている。
そう、うまくは言えないがこいつはやばい。
すぐにステータスを確認する。
大罪の大司教 ???
???/???
やばい…こいつステータスがわからないほど俺たちより遥かに強い可能性が高い。
俺は叫ぶ。
「全員逃げろ!すぐに!」
事前にシャドウにはこういうことがあった時の為に緊急脱出用のアイテムを渡しており、迷わず使う。
しかし、俺だけは脱出が出来なかった。
何となく理解していた。
こいつ、俺だけに転移用の封殺魔法を無詠唱で唱えていたんだ。
俺だけでも道連れにするために。
「ほぅ…なかなかの判断力だな…私に勝てないと踏んで最悪の全滅を回避したか。」
「俺は負けるとは思ってないがな。」
「まぁ、貴様に逃げられるのは気に食わないから転移は封じさせてもらったよ。」
こいつは話せるタイプか。
「俺も本当は逃げたかったがな…」
「誇るが良い、私に全滅させられないで鮮やかに撤退出来たのはお前だけだ。さて…自己紹介をさせてもらおうかね。私は大罪の司教 アウラ=コルニという。お前は?」
「ニルヴァーナだ。」
「ふむ、まだ負けるとは思ってない目だな。いや…隙があれば逃げようと考えているな。」
考えがバレてる!?なぜだ…
「違うかもしれないぜ?」
「ふむ…まぁよい。存分に壊し合おうじゃあないか。」
感じたことのないプレッシャーを受けている。
今まで不利な場面はたくさんあった。
しかし、こいつはその中でも俺の直感が警鐘を大音量で鳴らしている。
勝てるのか?こいつに。




