撤退戦
ミノタウルスを何回か狩っては一階の休憩エリアへと行っている。
ていうか、結構安全策でやってて驚いたというのが正直な感想だった。
そもそも、安全策取りながら休憩エリアに行って瞑想とかHPとSPを回復し、瞑想をMP回復したスキル「精神統一」を使うとか想定してなかった。
精神統一…動かない間、MPを回復する。なお、誰でも出来るスキルのため、スキルリストには乗らない。
そのせいかスキルレベルが存在しない。
ゲームの先輩探索者は割とこういう安全策を取ることは出来なかった。そのため、プレイヤーが安全を取りながら探索をする羽目になっていたのだが、何故このような動きができるか聞いてみたのだ。
すると、「誰も死にたくはないし、何も考えず進むより休憩エリアが次のエリアと近ければ、安全に効率良く往復するほうが楽。」だそうだ。
やはり、昏きがリアル化した影響は結構大きそうだ。
ゲームのようなアホAIムーブはないみたいだ。
そして、最後の効率周回のときに事件が起きたのだ。
「おい、嘘だろ!?こいつはブラックミノタウルスじゃないか!?こんなレアモンスターこのフロアでは普通は出ないはずだぞ!?」
「とりあえず、逃げよう!」
ブラックミノタウルスはミノタウルスより能力が2倍くらいあるのだ。
逃げることにしたが、ブラックミノタウルスは足がミノタウルスより速いため、逃げても割と距離を詰めてきている。
休憩エリアまで逃げるか。
でも、あのタイプのモンスターはフロアを跨いでくるし、休憩エリアの前でガン待ちしてくるんだよなぁ。
よし、確率の高い方法でこの場を凌ぐか。
「ワークス!俺が囮になるから、早く行ってくれ!!他の高ランク探索者を呼んできてくれ!早く!」
「え、でも」
「早く!俺が時間稼ぎして俺よりも足が速いアンタなら!!いいから早く!!こいつを野放しにしたら被害がかなり出る!!早く!!」
「わかった!!生き残っててくれよ!」
ワークスはその場を離れ、俺はブラックミノタウルスと戦闘を開始する。
ファイアを放ち、ブラックミノタウルスは俺だけにヘイトが向く。
そして、ステータス確認だ。
ブラックミノタウルス Lv20
HP 480/500
MP 0
SP 50/50
ATK 286
DEF 192
INT 10
MND 89
AGI 100
DEX 20
CRI 10
LUK 20
ORI -20
あーやべぇな。攻撃食らったら即死だな。
ブラックミノタウルスは大斧を振り上げ、凄まじい勢いで俺を目掛けて振り下ろす。
俺は回避するが、地面が凹む。
うん、受けたくはないな。
「グモォォォォォォッ!!!」
相手は鼓膜が破れそうな咆哮を上げる。
あまりの咆哮に耳を塞ぐ。
そして、突撃してくる。
それをギリギリで回避し、その直後にファイアを撃ち込む。
そんな感じで攻撃を避けてはファイア、又は剣で攻撃を繰り返す。
しかし、ブラックミノタウルスは今までにないパターンの動きをしてきた。
それは大斧を投げてきたのだ。
咄嗟に回避したが、その後相手は目の前にいた。
そう、大斧を囮にして俺を捕まえに来たのだ。
「なっ…」
俺はブラックミノタウルスに捕まり、地面へ叩きつけられ死亡した。




