外伝:モーゼの生活
更新分ではないから飛ばしてもええで。
主人公たちと別れたあとの時間軸で、かなり時間が経っています。
「せいや!ハァァァァッッッ!」
煌めく剣閃はまるで英雄を思わせるような格好である。
それもそう思う人はいるだろう。
彼は聖剣の担い手…いや今は聖剣の継承者になり、その町ではかなりの有名人となっている。
聖剣のモーゼと。
そして、斬られたモンスターは消滅した。
「モーゼさん、ありがとうございます!危うくやられるところでした!」
「構わない、今度からはしっかりと装備を整えるもっといい…いや、仲間を作ってパーティでやるんだ。一人でやるのは報酬の分配がないから良くても仲間とやったほうが安全だ。」
「えぇ、そうします。」
新人級探索者の男は剣を握って其の場から立ち去った。
「俺も行くか。」
俺もその場から立ち去り、家に帰っていった。
「ただいま。」
「おかえり、おにいちゃん!」
家に帰り、帰宅の挨拶をすると妹が寄ってくる。
妹はまだ10歳であり、面倒を見ないといけない。
可愛いのもあるが、俺が町を離れるわけには行かなかった。
「あぁ、ご飯はあるか?」
「出来てるよ、今日はビーフシチューだよ!」
「お、美味そうでいいな。」
そう言って机の前の椅子に座り、5分くらい待ってると妹がビーフシチューを持ってくる。
煮込んだ具材やシチューの香りが良く、音を鳴らしていた腹に入ると考えると口の中で唾液が増えるのを感じる。
「どうぞ、召し上がれ。」
「頂くぞ。」
ビーフシチューに持ってきたスプーンを入れて掬い、それを口に入れると想像通り美味い。
妹が作るからなのか飽きない味であり、これを食うために生きてると言っても過言でない。
「美味いな。」
「ふふーん良く出来てるのは当たり前だよ!お兄ちゃんのために美味しくなるように作っているんだからね!」
「良いお嫁さんになれる素質があるな。」
「えへへー」
妹が照れながら頭をかく。
まぁ、美味いし実際に妹は可愛い。
別に俺が家族贔屓だからなのではなく、男の友達からもよく告白されるらしい。
まぁ、控えめに言っても美少女だからな。
俺もその男友達の気持ちがわからなくもない。
だが、誰とも付き合ってはいないらしい。
「あ、そうだ。今日の儲けだ。」
机に稼ぎを置く。
妹は嬉しそうにお金を受け取り何処かへ行く。
するとすぐに戻ってきたのだ。
「お兄ちゃん、ありがと!いつもお兄ちゃんが稼いできてくれるからこうやって生活できてる。でも、お兄ちゃんはこの町に残り続けるの??」
「お前が※15歳になってからどうするかは考えるよ。」
※この世界では15歳になると、成人扱いになり探索者になり一般の労働者になったりと稼ぎを始める歳になります。
「もし、仕事するならお兄ちゃんと一緒の探索者がいい!」
「…そうか。でも、探索者になること以外も選択肢はある。まだ時間はあるからしっかり考えてから答えを出せ。」
「わかった!」
「ごちそうさま。食器は…」
「片付けるからいいよ!」
「ありがとう。」
俺は自分の部屋へ戻り、また明日の英気を養うために眠りへついた。
次の日、なんとまた近くの迷宮で迷宮活性化状態が起きた。
俺も現場に急行し、他の探索者と連携し殲滅を開始した。
結論から言うと圧勝できた。
一緒に組んだ探索者達がかなり強く、違う町から来た探索者達だったが、迷宮活性化状態は経験者であった。
かくいう俺も余裕であった。
終わったあとはまた家に帰り、夕ご飯を食べてベッドへと転がる。
「また有馬たちと探索したいな…」
そんな心を抱えて、俺は目を瞑った。