あなたは果実
私のメガネ 濡れた銀色で
ゆがんだ水晶のように 何もかもを映すから
赤いトルソー 映してしまった
ベッドに横たわる 一房のあなた
胸から二つの小さな玉が 目の中でコロコロと転がり落ちて
優しく手のひらで受け止めた
かじると脳が少し痺れるような味がした
丸い果肉 パンパンに
かわいらしく 膨らんで
つまむ 小指に 汗の玉 光った
唇が笑う 私の中で
唇が歪む 鏡の中で
ベルベットの液体 グラスに注いで
唇に運ぶふりをして
こぼして
それで浴槽を満たしたなら
赤い紫蘇の 色のドレスを 身に纏った私
最後のあなたにキスをした
私はいつまでも生きられると
私はいつまでも生きられると そう思わせてくれる
あなたは果実