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汚染者  作者: 皇蝶々
2/11

いつも通り 1

___ピピピピピ


目覚ましの音で意識が急速に覚醒する。東窓からの朝日が室内を淡橙色に染める。


「__夢か。」


嫌な夢だ。最近はほとんど見なかっただけに、唐突昔の夢を見るのはなんとも不吉だ。

うるさい目覚ましを黙らせる。温かい布団の誘惑に抗いたくないのが本音だが、今までこれに痛い目を見たことは数知れない。大人しくベッドから降りる。

荷物をまとめ、部屋を出る。階段を降り、リビングの隅に荷物をかためる。

眠気はまだ抜けてくれない。ストーブは最近撤去したばかりでこの時期ではこの部屋は少々肌寒い。


「おはよう」

「おはよう。今日は昨日と違って早いのね。」

「朝ごはん抜きはもうこりごり。」

「フフフ。そんなにしんどかったの?」

「死ぬかと思ったよ。」

「ならそのぼさぼさの髪を早いうちに直してきなさい。」

「はーい」


リビングを抜け、洗面所に行く。

冷水で顔を勢いよく洗う。


「冷た!」


おかげで目は十分に冴えた。洗顔料で優しく洗い、今度は温水で流す。大分すっきりした。

髪を軽く濡らし、はねていた毛をつぶす。手櫛とブラシで丁寧に整える。最近髪も大分伸びてきた。半年近く美容院にも行っていない。伸びる度に毛先を整えていただけのせいで髪の傷み具合も無視できない。また美容院いかなきゃな…。


トイレを済ませ朝食をいただく。

私の朝食に納豆は欠かせない。夜の間に乾燥した喉に心地よい。ねばねばになった口周りを味噌汁できれいに洗い流す。


「ごちそうさま」


邪魔にならないように食器を洗い場に入れる。


「お弁当できてるから持ってってよ。」

「ん。」


お弁当をリュックにしまい、歯磨きを済ます。化粧は面倒だからしていない。その分ほかの女子よりは朝の用意は楽だ。そのまま制服にも着替えてしまう。


昨日と違い少し時間が余った。いつもは夕方に目を通している新聞を朝の内に見ておく。


『本日の"汚染者"6人 都内2人 犠牲者1 状況分析 感染経路追跡も虚しく感染源の特定には至らず』


いつも通りの内容だ。特に目新しいものはなかった。強いて言うなら都内で殺人事件が一件あったことぐらいだ。犯人の特定には至っていないそうだが、物証が多く特定は時間の問題だそうだ。

天気予報だけもう一度見る。午後からは雨。本当に嫌な一日だ。傘の準備も今のうちに済ませておく。

新聞をたたみ、雑誌置きの場所に置いておく。家で新聞を読むのは私だけだ。


時間的に少し早いがもう家を出ることにする。


「お義母さん、もう行ってくるわ。」

「もう出るの?じゃあゴミ捨てお願いしてもいい?」

「いいよ。それぐらいどうってことないし。」

「じゃ、お願い。」


ゴミ袋を玄関まで運び、靴に履き替える。雨が降るのでローファーはやめ、スニーカーにする。


「いってきます」

「いってらっしゃい。気を付けてね」


見送らなくて良いと言っているのにいつも窓から見送ってくれる。寒いから早く閉めるようにとだけ言ってゴミ捨て場に向かう。セーラー服の上に上着を着こんでいるのにまだ少し寒い。


「もう少し分厚いの着てこればよかった。」


今から戻るのはめんどくさい。ゴミ捨て場に放り込み、とっとと駅まで向かうことにした。

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