5.Уход после еды
食後の愛撫
「美味しい?」
「ぐぅっふっ」
ボイルだけして結局使わなかった兎の部位に食い付きながら、相棒は彼女に頭を撫でられていた。
因みに私は彼の頭を撫でたことはない。
撫でようとすると「え? ……いや、そういうのいいよ……やめろよご主人……」とでも言うように、嫌そうに拒絶されているからだ。
(……いいな、あいつ……)
彼女ではなく彼に嫉妬したことについては、この時はそれほど気に留めていなかった。
ともかくそんなことを思ったのは、いい感じに食後の穏やかな眠気が襲って来ていたからだ。
「……してあげようか?」
「…………何を?」
流れ的にそれ以外ありえないのだが、私の頭は上手く働いていなかった。
……そうして一瞬でも、違うことを想像してしまった自分を恥じて目を閉じた。
「頭、撫でたげるよ。夕食のお礼」
「……じゃあ、頼む」
彼女は真横にしゃがみ込み、病人を介護するように私の頭を撫で始めた。
「撫で加減は?」
「……いい」
――心地いい。
眠気を誘う、優しい手のひらの愛撫。
それが一定のリズムで、問答無用で私を楽園へと誘っていく。
「………………すぅ」
深く息を吐き、まさに眠りかけていたその時。
彼女は、何の脈絡もなく尋ねてきた。
「…………ね、ねえ。
……好きな人って、いる?」
「……………………いや」
「…………そう」
会話が終わり、再び楽園が見え始めた。
――神は信じていないが、引き金を引く時、それに祈りを捧げる。
楽園の先で、それが私に向かって微笑んだ。
想像はしていたが、やはり女性だったのか。
……いや。
……違う。
……彼女は……。
「……んん?」
突然、赤みのあるグレーだった眼の前が真っ暗になり、やがて私はその違和感の正体に気が付いた。
私の顔に、まだ温かい何かの布が覆い被さっていたのだ。
(………………ブラウス?)
私はそれを取り払い、彼女がいる方を向いた。
「………………………………」
私は息を呑んだ。
だって、そこには…………。
…………雪のように白い肌が、一面に広がっていたからだ。