4.ужин
夕食
「うさぎさん…………」
昨日仕留めたあと捌いて冷凍しておいたその肉を見ながら、彼女は物悲しそうに呟いた。
それから首をぐるん、と回して私を蔑むように睨んできた。
「……何で殺したのっ?」
「スコープに映ったから」
実際そうだった。
別に「無性に食べたい」と思ったわけではなかった。
ただ、視界に入り込んだ手頃な獲物だったというだけ。
「彼? じゃないとダメだったの?」
「別に? ……美味そうなら誰でも良かった」
これも本当だ。
彼はただ私の"狩猟本能"を満たすためだけに殺されたのだ。
「こ、この……人でなしっ! うさ殺し! ……ケダモノっ!」
「け、ケダモノっ?」
最後の一言に困惑しつつ、私はその細切れになった新鮮な肉片を次々と鍋に放り込んでいった。
「うさぎさーーーんっ!」
彼女が叫び、しかし私はそれに構うことなく蓋を閉じ。
「……諦めろ。
……もう、死んでる」
……というようなやり取りを、私たちはテーブルの椅子に向かい合って腰掛けながら繰り広げていた。
時刻は夜の八時。
本当なら今日は彼女を連れて狩りに出ようと思っていたのだが、
急に吹雪いてきたのでやむを得ずトレーラーに籠もっていたのだった。
「……狩るのって、楽しい?」
ぐつぐつと音を鳴らす鍋を隔てて、彼女は静かに尋ねた。
「……ああ。
……まあ、流石に最初は抵抗があった。
でも一度やれば…………もう、それしか考えられなくなる」
「………………ふぅん。
…………"初めて"って、どんな感じだろうね?」
彼女は兎に語り掛けるように、湯気で曇ったガラスの蓋の中を見つめていた。