表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋愛サロンと家政婦さん  作者: よもぎ団子@はる
1/1

恋愛サロンへようこそ


 ピンポーン

 

 都心からは少し離れた都内某所、2人暮らしでも

十分すぎる広さのアパートの一室に来客を告げる

チャイムが鳴り響く。

「聡一様、お客様です」

機内アナウンスのような無機質な声で家政婦の女性が来客を告げる。

田月聡一(たづき そういち)は壁の時計を一瞥すると読んでいた本から顔をあげ、玄関へ足を進める。


「お持ちしていました。佐城(さじょう)

ですね?どうぞお入りください」

「今日も雪華(ゆきか)さんはいないのですか?」

「はは……妹は今日は駅前のカフェでお茶するとかで、先ほど出ていきましてね」

佐城と呼ばれた男性ー佐城裕樹(さじょう ゆうき)は期待していた出迎えがないことに軽く肩を落としつつ、聡一について客間へと向かった。


「で、今日のご相談は彼女の態度がそっけないことについて、でしたね」

事前に送られてきた内容をプリントアウトしたものを眺め、聡一はふむ、と軽く頷く。

「ええ、特にこれといって思い当たる節もないのに、最近どうもよそよそしくて……その、浮気でもしているのか、僕に興味が無くなってしまったのかなあと」

途中から泣きそうになりながら裕樹が告げると、

聡一は家政婦が持ってきたクッキーの皿を勧め、

ひとまず落ち着くよう促す。

裕樹は泣きそうな顔でクッキーを一枚手に取ると

小さく口を開けて一口齧り、少し顔を綻ばせた。

「ふふ、美味しいでしょう。紅茶も冷めないうちに

どうぞ。自慢するのもなんですが、うちの家政婦は優秀でしてね。雪華が見つけてきた娘なんですが実は頭もよくて、今回の調査にも協力してもらったんですよ。--そうだ、せっかくですから彼女も交えて話しましょうか。女性の意見も参考になるかもしれません。蒼乃(あおの)、こちらへ来てください」

聡一の声に呼ばれてキッチンから顔を出した

蒼乃というさらさらの黒髪ショートヘアの

若い女性は裕樹の前まで来ると、

丁寧に腰を折り曲げた。

「こちらで家政婦をしております、淀池蒼乃(よどいけ あおの)と申します。本日は同席させて頂いてもよろしいでしょうか」

目の前でとんとんと進んでいく事態に困惑気味の

裕樹だったが、聡一の「彼女は信頼できる人物です」という言葉に困惑顔のまま「ああ、どうぞ……」と答えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ