表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

9つ

男の人は泣いていました。鼻で荒く息を吐いて子供のように泣いていました。無くした下半身を骸の残骸で取り繕って歯を食いしばって泣いています。

男の人はズルリ、ズルリと30体分のスケルトンを器用に使って腹足運動でヘレンに近ずきます。その速さはナメクジより少し早い程度ですが体が動けないヘレンには十分危険でした。


「_/>\◆○ヾ仝〆ゞ-+’!!#´゛;;/.厂Σ/●´\;仝々!!/#/;++?」


男の人は泣いて身振り手振りも交えながら異世界の言葉で叫びます。でも、一瞬泣き止んで


「アアアアアアアアアアアアアアア!!ゝヾ〒ゝ♀/灬〃ゝ;;Σ!!!!!!!アアアアアアアアアアアアアアア!!」


両手で顔を包んで部屋全体が震える程の大声で叫びます。すると下半身の髑髏からプシュー、プシューと男の人の感情に反応してモヤが現れます。これはヘレンが動けなくなった原因です。

激しい動悸、目眩、吐き気、発汗、そして何より猛烈に漂う匂いでアルコールだと気付きました。


これは、危険だ……


若い頃飲み潰れた時とは比べ物にならない陶酔感と疲労感、心臓の悲鳴は血流に乗って耳を叩きザーーーと言う大雨のような耳鳴り大音量で流れてきます、呼吸も浅く、もしかしたら痙攣してるのかもしれない程の早さです。目も流血して明るい部屋が赤くなりつつあります。こんな状態で立つ事が出来るはずもなくヘレンは何とか這ってゆっくり近ずいて来る男から離れようとします。

外から見れば二匹のナメクジの鬼ごっこ、命懸けの鬼ごっこです。

でも、鬼側の男の様子が変わります。涙が枯れたのかいつの間にか血涙を流してヘレンを見つめる男、理由は分かりませんが視線に殺意を乗せているのがヘレンには痛い程分かりました。下半身の髑髏もただの山だった形が移動して、再配列して、手足が伸び、蛙と百足とイモムシを足して、蛇にも見える醜悪な姿。醜いです。

両手を前に突き出して前に出る男は下半身を引き摺り蛇行しながらヘレンに迫ります。


あっ、死んだな


景色が5重にも重なって男に殺されるよりもアルコール中毒で死にそうです。視界は真っ赤で悪寒が悪寒で痙攣してるのに汗は止まらない。上で待つ部下も王宮も国民も目の前の男に大勢殺されると思うと押し潰されそうですが…


両国も…滅茶苦茶にしてくれるなら


そう考えると皆許してくれると感じるのは酔っ払ってるから?それとも壊れたからでしょうか?

そう考えているうちに男の掌は目の前。

男は血涙を流して、ヘレンは引き攣った顔で笑っています。

スライムはどんな顔で2人を見ていたのでしょう。

暗転したヘレンの意識の中で声が・聞こえます。



力が欲しいか?


欲しければ。


叶えましょう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ