一つ
とある世界に。Aと、Bと、Cと言う国がありました。
Aは資源は乏しいですが人々は工夫を重ねて、努力を重ねて、我慢も重ねながら高い技術力を手に入れ、周りから尊敬を集めています。
Bはと言うと山の幸も海の幸も豊富でお金にも困らず食べ物も美味しく、陽気な国民性も相まって幸せを集める国としてとても幸せそうです。
2つの国はお隣同士。最初は仲良くしていたのですが、お互いがお互いの持っているものを欲しくなってきてしまいました。
すると?
「Bくん。その鉱石を僕にくれないかい?僕達の方が上手く使えると思うんだ」
「うーん。それはダメだよ。Aくんより高く買ってくれる人が居るから。Aくんの道具便利そうだね?作り方を教えてよ?」
「それはダメだよBくん。これは職人さんが一生懸命頑張って作って特許を取ったんだ。お金を払ってくれないと渡せないよ」
「たかがペンの1つで大袈裟だな。教えてくれてもいいだろ?」
「お前の所も山ほどある石一つにいくら出せと言ってる?」
「お前の融通が効かない性格が前から嫌いだったんだ」
「貴様の優柔不断なところが腹立たしかった」
実際にこんなやり取りがあったかは分かりませんがAとBは戦争を始めることにしたのです。
さて、Cの国はAとBの両国に挟まれたところに居ます。Aのような優れた技術派ありません。Bのような資源もありません。両国のような大きさも無く、2つの国から技術と資源を少しずつ貰って生活している様子から食べかすを漁る『溝鼠の国』とバカにされています。
「2人の喧嘩だから僕は2人に協力は出来ないよ?それに僕が味方になっても…ね?」
戦う力も助ける力も小さいCの国はAとBから無視されてどっちの味方も敵にもならないと決めていました。
だけれども…戦争はそんなに甘いものでは無かったのです。
この物語はそんな小さな、弱っちぃCの国での物語。